第7話 使者なのか親ばかなのか

 現在城門の中に招かれた2つの勢力。

 1つはバカ親父ことアラギリ領地の領主ガイバであった。

 1つはアララスタ王国の使者としてやってきた、古い腐れ縁のジェイクであった。


 領主ガイバの周りには10人の兵士がいて、ジェイクの周りには30人の兵士がいた。


 合計42名がどかどかとジスタ領地に入ってきたわけで。


「殺していいか?」


「斬り裂きジャックそれはダメだ」


「うむ、殺していいとき教えろ」

「そうするよ」


 ぼろぼろのジスタ領地の領主の屋敷にて会合が始まった。


「まずはどうなっているのだ? ここに1000人以上の住民がいるがどこからやってきた? 国民表に登録されていない人達ばかり、どこかの難民なのか?」


 親父がそう呟くと。


「それは困りましたねー、アララスタ王国に国民登録されていない人がこの大地に住んでいるのはいけません、即刻登録しましょう、ですが、これは何の冗談ですか? どうやってオリハルコンの城壁を作ったので? 何もない大地にどうやってこんだけの設備を? 見たこともない技術もあります。カイル・オリゲート、いや、かつてバナレス様を騙したいかさまをやった愚かな人間でしたな」


「あれは俺の勝利で片が付いた蒸し返すなジェイク」


「そうですか? バナレス様はお怒り心頭です。バナレス様は国王様の側近です。一言声を上げるだけでジスタ領地など滅びますよ?」


「おいジェイク、余計な事してみろ」


「どうなさるので?」


「どうもしないさ」


「あなたにはファイガスタ帝国またはジェイグルンド共和国のどちらかの援助を不正に受けた疑惑があります。これより王国首都に護送し審議を重ねた結果処罰を」


「ふざけるな! カイル様は改心なさって領地を経営しているだけだぞ」


「ジーバ落ち着け」


「そもそもどこにもファイガスタ帝国の技術も、ジェイグルンド共和国の技術も使われていないじゃない」


 これはリラメイド長であったのだが。


「お、これはファイガスタ帝国の紋章では?」


 とジェイクの足元にそれは落ちていた。

 明らかにジェイクが落としたものであっただが。


「という事で護送です」


「なぁ、1ついいか?」


「なんですかカイル」


「ここは今俺の領地だ。つまりお前が部外者だってこと」


「ジスタ領地はそもそも国王様の領地でありあなたが管理しているだけです。国王様が声を上げれば没収など簡単です」


「へぇ、この国には国民登録していない住民しかいねーぞ」


「それが?」


「てことは、国王様に従う必要がないじゃないか」

「それは謀反という事ですか?」


「何でもとらえてくれていいぞ」


「者共こやつを捕らえろ」


 兵士30名がカイルを取り囲む。

 ジーバ執事長とリラメイド長が青ざめているが。


 今のカイルのレベルは100を超えていた。


「斬りかかれ」

 

 ジェイクが叫ぶが。

 カイルは異次元ボックスよりクワを取り出す。


「なんだその力は」


 カイルは伝説のクワを振り落としただけで。

 ジスタ領地の領主の屋敷は崩壊した。


 兵士達は吹き飛び、ジェイクも吹き飛ぶ。 

 それに巻き込まれて領主ガイバも吹き飛ぶ。


「あーあやっちまったな」


 にんまりと笑うカイル。


「そうですね」


 リラメイド長が笑い。


「さすが一撃ですね」


 そんなことを言うリラメイド長もレベル100を超えていて。

 ジーバ執事長もレベル100を超えている。

 スキル共有とは経験値でさえも共有してしまうという恐ろしいスキルであった。


「こ、このふざけるな、つ、捕まえろ」


 兵士30名が埃を払ってこちらに近づこうとすると、巨漢が前をよぎった。

 一振りしただけで、1人の兵士の頭が落ちた。


「ぎ、ぎやあああああ」


 ジェイクが叫ぶ。

 初めて人が死んだ所を見たのはカイルも同じであった。

 体に違和感を覚える。

 それでも斬り裂きジャックは止まらない。

 次から次へと兵士を惨殺していく。

 そのスピードは素早く。

 肉料理を仕上げるように解体していく。


「ひ、ひいいいいい」


「斬り裂きジャックそいつはいかしておけ」


「うむ」


「ば、ばけものおおおお」

 

 ジェイクは涙を流しながら城門に向かって逃げて行った。


「まったく誰に似たんだか」


 領主ガイバが立っていた。

 彼はこちらをぎょろりと見ると。


「今ここで親子の縁を絶つ」


「まぁ、覚悟していたよ」


「これより敵となる事になるだろうな、わしは国王様に恩を受けているからな」


「そうか」


「お前はこれからどうする、戦えるのかたった領民1000人で」


「いや、こっちには凄いスペシャリスト達がいるからな」


「そうか、期待していよう、我が息子よさらばじゃ」


「何がさらばじゃだよ、涙がなしてんじゃねーよバカ親父」


「お前もだばかたれ」


 カイルはガイバという父親の背中を見ていた気がした。


「おーい皆聞いてるか、これから戦争おっぱじめるから覚悟しといてねー」


 オーディンの共感力の力で全ての住民に言葉が伝わる。

 それは英雄達とて例外ではないのだった。


【英雄への一歩達成】×5


 ガチャ15回使用出来るようになっていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る