美空のキャラビルドについて



ブルキラを通して美空のキャラビルドについての解説と、PL視点での美空の姿や個人的な感想などです。


シナリオの感想というより、完全に幻覚の残り香みたいなもんですが。





『ギター弾けるのがアイデンティティのアイドルにしたいなぁ。』


と、ぼんやり作成したキャラクターが美空で、サブカルオタク趣味なのは割とPLである私のRP精度を上げるためだったので、ふんわり、デレマスの夢見りあむとか、ウマ娘のアグネスデジタルの系譜で行こうかなーと考えていました。


与田かすみとの関係は製作段階だと普通に幼なじみとして認識してRPしていたのですが、かすみちゃんが結構世話焼きだったり、美空のギターをべた褒めするので。


これは美空、かすみちゃん大好きじゃな?


という気付きを得て、じゃあこの思春期真っ只中の陽キャ系のオタクである美空が何をするかと考えたら、オッサンのセクハラを過激にした行為くらいはしそうだな、なんて思い、匂いを嗅ぐというロールが生まれたんですね。


というのも、美空は両親にちゃんと愛されて育ってるし、両親も美空が反抗期の兆候を見せた時に赤飯用意してケーキ買ってくるような、謎のパーフェクトコミュニケーション(SNSで学んだのもとりあえず試してみる)をぶつけてくるタイプなので、そんな両親の元で育った美空がするコミュニケーションがかなり異質なものになっているというのはずっと意識してRPしてました。


両親について軽く触れておくと、彼らはどちらも自分の趣味や仕事周りの人間関係でかなり苦労したタイプで、尚且つ、自分の受けた苦痛を子供に与えるべきではない、という点で意識が一致しており、一人娘である美空を自由に趣味へ没頭させつつも、芸能関係の知り合いと交流させることで、陽キャ科コミュ強属のオタクに育て上げた、と、考えています。


ただ、両親が想定していなかった部分として、美空は共感性が著しく低かった部分があります。


美空は感情的な部分で他人と共感することが非常に困難であるものの、他人が自分に何を求めているのかだけは思考の回転力の高さで補えてしまうため、パッと見しっかりコミュニケーションが出来るように見えるタイプなんですね。




──さて、美空のモデル、ベース、あるいはイメージソースの1つとして、Fate/stay nightの主人公、衛宮士郎をかなり意識しています(歯車とか正義の味方とかへの拘りetc……)。


そこに、ギターを扱うミュージシャンの要素としてマクロス7の熱気バサラや、歌手のスタイルとしてマクロスFのシェリル・ノームを参考としたエッセンスを加え……。


『アイドルオタクのアイドル』という属性を持つ夢見りあむやアグネスデジタルのフレーバーを付け加えたのが、春田 美空というキャラクターです。


ですので、春田 美空はサブカルチャーを自身の生きる糧とし、強く尊び、文化を愛する人として行動するのが基本的な行動理念になります。


かすみちゃんにアタックしまくるのは、両親の娘、という看板ではなく、春田 美空という1人の人間に賞賛を与えてくれたことが、何より嬉しく、美空は彼女のために生きて行きたいと心に決めていたからなんですね。


こういう方向性に至るにあたって重要な要素があります。


春田 美空は言わずもがな、クトゥルフ神話TRPGをプレイするために作成したキャラクターですので、ステータスが存在します。


美空のステータスは以下の通りです。


STR 9 DEX16 INT 16 アイデア 80

CON10 APP16 POW16 幸運 80

SIZ 9 SAN75 EDU 8 知識 40

HP10 MP16 DB-1d4 最大正気度99


ここに、個別導入終了後にAPP+3、EDU+1の補正が入り、本編で探索を行うこととなりました。


美空のステータスで目立つところと言えば、DEX、INT、APP、POWが全て16と高水準(APPはシナリオの都合上、固定値ではありますが)で、CONは平均、STRは平均よりやや低く、SIZ、EDUはとても低い(EDUも学生探索者である以上、固定値です)ことがわかります。


ここからある程度、キャラクターの性格……というより、行動指針の方向性がわかります。


注目すべきはINT、POW、EDUです。


美空はINTとPOWが高く、EDUが低いのですが、総合すると、美空は『頭の回転が早く意志は強いが、経験や知識に乏しい』キャラクターということになるでしょう。


頭の回転が早いということは、ある程度自身の置かれた状況を素早く認識することが出来、その処理能力も高い。


意志が強いということは、それだけ頑固だったり、一本筋が入っている証拠でもあります。


しかし、彼女には人生経験が圧倒的に足りません(学生なので当然ですが)。


ここで更にDEXの高い彼女は、素早く手先が器用ということなので……。


『地頭が良く、勇気や行動力がある一方で、とても迂闊』


と言った要素が浮かび上がってきます。


美空の性格を一言で表すと、まさに上記のようになるわけですね。


……まぁ、実際は彼女の後ろにプレイヤーである私が控えているので、多少捻じ曲がることはありますが。



──そんな感じにキャラクターが固まったと思ったのも束の間、個別導入で例のショッキングな出来事に出逢うわけです。


そこで、美空が3年でどのように心象の変化を起こすのか考えてみたところ、彼女は幽谷きららの死を受けて『大事な文化を最悪の形で穢された』と認識しました。


あくまで、美空は幽谷きららのファンとしてマナーとモラルを守って接することを心に誓っているのですが、彼女はそれを破ってでも硫酸を掛けられた彼女の居る舞台に上がり彼女の身を案じるべく行動しました。


自分の着ていた上着をかける程度のことしか出来ませんでしたが、若く勇猛であった彼女は、この事件そのものに凄まじい憎悪を覚えました。


美空はライヴ前に深町みつるに出会っているのですが、その際に彼の周りや後ろに複数人の仲間が居ることを知ってしまいました。


それ故、これが単独犯ではなく、計画的な犯行であることに気付いた訳ですね。


ならばと、美空はその身に宿した憎悪を持って、素晴らしい文化を破壊する者たちへ報復することを決意します。


幽谷きららの死から受けた自殺願望を報復心へと変えた彼女は、彼女と同じアイドルとなることで、幽谷きららが不滅の存在であることを証明すべく、幽谷きららに成り代わろうと考えました。


そこにタイミングよく幽谷きららの幻影が見えるようになり、これを先鋭化していくことにしたわけですね。


ただ、美空はここで保険を掛けます。


感情に支配されると、正常な思考を保てないことに気付いた彼女は、『報復のためにアイドルとなった少女』の思考パターンを生み出しました。


個別導入終了時点で、『報復を誓ったアイドルである獅童 美空』そして『幽谷きららの幻影』の2つを、本来の自分とは別の思考パターンも持つ存在である、として定義付けて、自分をコントロールしやすくした訳です。



──美空の心象変化に対応すべく、PLである私は美空のキャラクター像に更に2つのフレーバーを加えました。


それが、メタルギアシリーズに登場するオセロットとヴェノム・スネーク、そして、Fateシリーズに登場するアトラス院の魔術師達や、FGOやロードエルメロイ2世の冒険に登場するサーヴァントのプトレマイオスです。


オセロットの自己暗示や多重思考、ヴェノム・スネークの報復心とカリスマ、プトレマイオスからは分割思考というワードを切り出し、美空に付与したんですね。


これにより、美空に『事前に強い自己暗示を掛けることで思考パターンを分割し、状況に応じてそれを使い分ける』という、突拍子もないRPに無理やり理由付けが出来るようにした訳です。


ぶっちゃけアウト寄りギリギリなラインの設定を付与したので、獅童 美空を名乗っている状態の彼女は、異様なレベルで頭の切れる決断能力の鬼みたいになりました。


結果として、彼女は自分の感情を封印しつつ、獅童 美空というアイドルが最も効率的に活動出来る状況を選び続ける、というスタイルになったのです。


イカれた女が出来ましたね……(白目)。



──卓中、PLである私はずっと、『コイツ怖いよォ〜!』って言いながらプレイしてたんですが、サラッと警察とか救急に頼ったり、衣装を切り刻んだ黒見麗奈に、その行動に関しては然るべき措置は受けてください、言い放つなど社会的に正しいとされる行動を優先することが増えました。


推しにすらそんなこと言うのかお前は……。


というか、衣装を作ってくれたかすみちゃんの気持ちを横に置いて、自分がライヴを続行出来るかどうか、黒見麗奈の処遇に関する発言、まるでスタッフのような行動を自ら取るので、獅童 美空を名乗っている時の彼女はまるでマシンのよう。


城木に襲われそうになったことや、あられもない写真を取られたことに対して、コレも利用しようとするなど、あまりに自分を蔑ろにするので、かすみちゃんから苦言が入るほど。


それでいて初ライヴ前、衣装を切り刻まれる前のかすみちゃんにプロポーズしてたりするので、傍から見るとまるで別人のように見える振る舞いが非常に目立つキャラクターになりました。


一体何なんだよお前ェ!?


──図らずしてかどうか分かりませんが、マジで衛宮士郎含め型月主人公みたいなやつになってしまったので頭を抱えました。


終盤になるにつれて、かすみちゃんの苦言がかなり効いたようで、意図して思考を切り替える動作や、幽谷きららの幻影を使うようなRPが増えていき、思考のコントロールをスムーズに行うようになっていきます。


思考と感情の切り離しもやり始め、真実を知る毎に幽谷きららの幻影へどんどん抗っていく様を見せた彼女は、最終的に『メモリーフィッシュこそが文化を破壊する権化』として認識するに至りました。


最終盤の彼女は獅童 美空の思考を使いつつ、春田 美空としての願いである『サブカルチャーを守り、より良き文化の発展を促す』ことを目的に、幽谷きららの幻影を袂を分かちます。


真相を知ってからの彼女はことある毎に『メモリーフィッシュを焼き尽くす』と発言して、最終的には『メモリーフィッシュの影響を受けて育った獅童 美空というアイドル』そのものを焼き尽くすことに執着していきました。


春田 美空という人間は、たまたま音楽芸能のサラブレッドとして生まれ、卓越した技術を持ち、それを披露することが日常だったのですが、あくまで、彼女自身の願いは『与田かすみのために生きる一人の人間で居たかった』ということに気付きます。


だからこそ、美空は獅童の名を捨て、これから産まれてくるコンテンツを在るべき姿に戻し、与田かすみと生涯を共にすべく、アイドルであることを捨てられた。


その意志こそ、メモリーフィッシュや幽谷きららと自分の違いであるとして、獅童 美空の物語に終止符を打ったわけです。



──ここからはPLから見た景色の感想なんですが、コイツ、トロッコ問題に真正面から答えをぶつけたんですよ。


いや、シナリオのルート的には反則気味なんですが。


メモリーフィッシュの曝露抜きで美空を応援してくれるファン達、アイドルにとっての世界の全てであるそれをかなぐり捨ててでも、連続殺人鬼の犯人になってしまった初恋で最愛の与田かすみという一人の人間との共存を選ぶっていう。


誰かの味方をするってことは、誰かの味方をしないってことなんですよね。


それがどれだけ大きな罪であることは美空も理解していますし、その上で、美空は自分の感情と与田かすみと共に生きる人生を優先した訳で。


与田かすみが殺してきてしまった人々の死と、それにまつわる責任も全部引っ括めた上で、正義の味方を目指していた彼女は与田かすみのために邪道に堕ちたんですよね。


悪に堕ちる、愛のために……。


美しい景色ですね(感涙)。


それはそれとして、儀間貞人もそんな美空の決断に心突き動かされるっていうのがマジで痺れました。


メモリーフィッシュの曝露から解放されてるってことは、心の底から自分の意思で美空の言葉を信じて応援してくれてるってことなわけで、滅茶苦茶コイツいい人じゃん……。


そんな彼に憧れて正義の味方になりたいとか言ってますけど、邪道にもう堕ちてるのは理解してるので、彼女が昔から憧れた誰からも賞賛される正義の味方にはもうなれないんですよ。


与田かすみにとっての正義の味方になったのだから、美空が守りたかった筈の普通の人間達の社会からは爪弾きにされて当たり前な選択をしている訳です。


それでも彼女は目を逸らさずに、そんな人達がこれ以上生まれないように、儀間貞人に協力し、憧れ、人知れず悪を滅する正義の味方になるって言ってるんですよね。


これからの美空は、かすみちゃんと生涯を共に過ごすために、かすみちゃんと共に人知れず、法で裁けない悪を裁いて行くんでしょう。


──しばらくは、麦茶の入ったグラスで鳴る溶けた氷の音を聞きながら、左手の薬指に着けた指輪を2人で重ねて過ごしてください。

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