美空の日記

2025/4/2x

日記を書くというのはあまりに不慣れなので、とりあえず、印象に残ったことを書き残しておく。

推しの黒見麗奈が私の推しだった。

初めて訪れたスタジオ、帰りがけに出会った彼女は私が城木に所属したと知って随分嫌そうにしていたが……。

どうにも、彼女からすれば私は次の犠牲者とやららしい。

3年前のことを考えれば、城木オーナーがどんな方針転換をしたのかなんて、想像に難くないけど、これは私の決めた覚悟だ。

彼女が再び私の推しになってくれることを願う。

そしてやはり、黒見麗奈は相変わらず愛らしい人だ。

煌めく金色の髪、白くきめ細やかな肌、人形のように整った顔立ちは黒いゴシックロリータの衣装が良く似合う。

次彼女に会う時はちゃんと連絡先を聞こうと思う。



2025/5/31

今日は本当に多くのことがあった。

初ライブ以上に、城木社長の異様な行動が頭から離れないでいる。

3年前、幽谷きららのクリスマスライブ。

あれは誰もが強い衝撃を受けた出来事だ。

社長の受けたショックは私に測り知れるようなものではないが、彼の変貌ぶりを見ればある程度のことは察しが着く。

きっと私以外のアイドルにも出資のために彼に抱かれて来たのだろう。

ひょっとすれば、それが彼なりのせめてもの罪滅ぼしだったのではないか、などと思ってしまう。

すんでのところで晴音さんが駆け付けてくれて、私への行為は未遂に終わったし、これでこの件は良かったのだと思う。

しかし、問題は山積みだ。

結果的にとは言え、私が彼に身体を許さなかったということは、彼が私の活動のためにしてきた資金調達の条件を満たせなくなったということ。

あのメール、儀間貞人、黒いレインコートの男達。

反社会的な人達の影が見えているような気がして流石に気が滅入ってくる。

が、しかし、その程度で竦んでいては私の目的は夢のまた夢だ。

私のそれが、幽谷きららという、サブカルチャーにおける大いなる財産を、最も屈辱的な方法で舞台から引きずり下ろした卑怯な者達への報復であることを忘れてはならない。

私の居るべき場所は、天国の外側にある。

アウターヘブン、私から送る第一の歌は、反撃の狼煙なのだから。

だからこそ、私は。


世界で一番のアイドルになる。


──報復のために。



2025/12/x

今日はとても濃密な1日だった。

ニュース番組の収録に始まり、ドラマの撮影、バラエティ番組の撮影。

儀間貞人のことは気掛かりだけど、今日はそれ以上にかすみちゃんと、晴音さん、私の3人でふたご座流星群を見に行けて良かった。

とても良い夜だった。

また、こんな星空をみんなと見に行けると良いな。

パンデミックレッド、ようやっと書く決心が着いた。

始めよう、私の信念が、意志が、世界に広がるように。


2025/12/23

無性に今、かすみちゃんに会いたい。

事務所に戻っても今日はかすみちゃんはライヴの準備で忙しくて一目見ることすら叶わなかった。

家に帰ってすぐ、新曲の最終調整をして、明日に挑むことにする。

──私は他でもない私だ。

これまでの迷い、決意、行動、その全てに嘘は無い。

幽谷きららの、あの脳裏にこべり付いている姿を思い返して、私が私であることを確信している。

きっかけが彼女だったとしても、選択したのは私で、この想いに変わりはない。

1番のアイドルになるのは、彼女ではなく私だ。

それは私の意志であり、与田かすみを愛しているのが紛れもなく私であることに変わりはない。

誰も私に代われるものなど居るものか。

例えそれがあの幽谷きららであっても。

私は彼女に勝つ。

私はカタツムリにはならない。

ましてや、水槽の魚などでも。

舞台に立つ私は獅童 美空。

燃え残った全てすら焼き尽くす不死の黒い鳥。

証明して見せよう、私は幽谷きららをも焼き尽くしてみせる。

時代が私を選び、幽谷きららが安心して眠れる未来を掴むと。


Dear Blue

相棒、私はあなたを忘れない。

どんな姿を晒していたとしても、あなたの煌めきが、世界を揺らしたことも。

あなたは私にとって世界で1番のアイドルだ。

呪いは祝福に、奈落は空に、その輝きは永遠に私が語り継ごう。

だから、あなたは永遠に私という水底で溺れていて。

From Red

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END-OUTER HEAVEN- あかつきマリア @akatsukimaria

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