1人の魔王と99人の勇者。
◆◆◆
:
勇者A:かつて『
勇者B:『世界を終わらせる力』を持つとされ、
勇者C:そんな彼の者を打ち倒し、世界に平和をもたらさんとする救世主、或いは挑戦者を、人々は『勇者』と呼んだ。
勇者D:そして今宵。
:
魔王城『玉座の間』。
玉座には
:
魔王:……来たか。
:
扉を開け放ち勇者(
:
勇者A:(
魔王:
:
勇者(
:
魔王:ふむ、やはり多少威力は落ちるが、十分か。
:
その光景を勇者(
:
勇者B:(
勇者D:(
勇者C:(
魔王:
:
勇者(
:
魔王:ふははははは!! 油断したな、
勇者D:(
魔王:だぁぁぁぁ!!
勇者B:(
勇者C:(
魔王:させねぇよ――
勇者A:(
魔王:重ねてゆくぞ!
:
四人同時に。
:
勇者B:(
勇者C:(
勇者A:(
魔王:――
:
勇者B:(
勇者C:(
勇者A:(
魔王:……
:
倒れた勇者たちの向こうから、軽やかな靴音を響かせて
:
勇者B:(
魔王:くそ!
勇者D:(
魔王:横でごちゃごちゃと……! 時めいてないわ
勇者C:(
魔王:――からの
勇者A:(
魔王:
勇者C:(
勇者B:(
魔王:拒め
:
辺りは霧に包まれる。
:
勇者D:(
:
霧の中から、影でできた槍のようなものが飛び出してくる。
:
魔王:穿て
勇者A:(
魔王:――
:
闇の殻が内側から弾け飛び、三人の勇者(
:
勇者B:(
魔王:常識なぞ
勇者D:(
魔王:さらばだ命短き
勇者C:(
魔王:ふんっ、察しが良いな
勇者A:(
魔王:
勇者D:(
勇者C:(
魔王:と、噂をすれば
勇者A:(
魔王:
:
魔王に向けた光魔法が反射されて天井を穿つ。
:
魔王:天井に穴空いたじゃねぇか、なんて
勇者B:(
魔王:いや、お前は何もしてないし弱いのも知ってるから帰っていいぞ、
:
魔王を囲むように四人の勇者(
:
魔王:この闇の気配は……。
勇者C:(
勇者A:(
勇者B:(
勇者D:(
:
:
魔王:――っぶねぇな
勇者D:(
魔王:不意打ちかまそうとした奴がどの口で……! あと
勇者B:(
勇者C:(
魔王:拒め
勇者A:(
魔王:……えぇい
勇者C:(
勇者A:(
勇者B:(
勇者D:(
魔王:心底ムカつくな、闇黒勇者四人衆。……しかし、属性が被る故、決定打に欠ける。面倒な相手だが、ならば手数で攻めるまでか。いくぞ――
勇者C:(
魔王:
勇者A:(
魔王:
勇者B:(
魔王:からの混沌の劫火――『ブレイズ・オブ・カオス』!!
勇者D:(
魔王:なに……!? 拒め
勇者D:(
魔王:――によって、生じた影より出る
勇者D:(
魔王:ひぃっ! ふぅっ! みぃっ!
:
勇者C:(
勇者A:(
勇者B:(
勇者D:(
:
:
魔王:……はぁ。
勇者C:(
勇者D:(
勇者A:(
勇者B:(
魔王:
勇者D:(
勇者B:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者D:(
勇者B:(
魔王:
勇者C:(
勇者A:(
勇者D:(
勇者B:(
:
四人の勇者、眠るように倒れる。
:
魔王:ある意味、先程の闇黒勇者四人衆よりも闇の深い連中よ。
:
魔王:しかし、それなりの数を仕留めた筈だが、勇者はあとどれほど……ぁぁ。
勇者D:(
魔王:相変わらずいい
勇者D:(
魔王:……もし次があれば、搦め手を覚えてくることだ
勇者C:(
魔王:貴様っ――!
勇者C:(
勇者A:(
魔王:手足の動きを封じられたか……。なるほど、これで両手両足塞がった。しかし、残念だな美の勇者共。貴様らの戦いは美しいが、その分、軽く脆い。戦いとは泥臭くてなんぼだぞ?
勇者A:(
魔王:分かっておるではないか。そう、まだ口が残っておる。――
勇者C:(
勇者A:(
魔王:——
勇者A:(
:
魔王、三人の勇者(
と、拍手が響く。
:
勇者B:(
魔王:お前は――
勇者B:(
魔王:
勇者B:(
魔王:ようやくここにきてまともに話せそうなやつが現れたか?
勇者B:(
魔王:迂遠な物言いよな。
勇者B:(
魔王:ふむ。まともに話す気は無いらしい。
勇者B:(
魔王:ならば最後に一つ質問をしてもいいか?
勇者B:(
魔王:っふ、ぬかしおるわ。それで、今日の勇者ご
勇者B:(
魔王:は?
勇者B:(
魔王:馬鹿か! たった1人の魔王に。
勇者B:(
魔王:ならば早くこの馬鹿騒ぎをどうにかしてほしいのだがな、
勇者B:(
魔王:
勇者B:(
魔王:異常者か暴君の如く言うが、好きなものか。
勇者B:(
魔王:貴様もその口であろう、
勇者B:(
魔王:来るか。
:
:
勇者B:(
:
振るった
:
魔王:『
勇者B:(
魔王:よもや
勇者B:(
魔王:良かろう。
:
2、1、同時に台詞。
:
魔王:『
勇者B:(
:
間。
:
勇者B:(
:
:
魔王:……さて。次はどいつだ?
勇者A:(
勇者B:(
勇者C:(
勇者D:(
勇者A:(
魔王:……はぁ。
:
魔王、四人の勇者(
:
魔王:つまらんな。
勇者B:(
勇者C:(
勇者D:(
勇者A:(
魔王:
:
四人の勇者(
と、すぐさま十人(
:
魔王:言ったそばからわらわらと。
勇者B:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者D:(
魔王:
勇者C:(
勇者D:(
勇者B:(
勇者A:(
魔王:
勇者C:(
魔王:何を言っているのか分からんな、
勇者D:(
魔王:百倍だ計算もできんのか
勇者D:(
魔王:っちぃ!
勇者B:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者D:(
勇者C:(
勇者D:(
勇者B:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者D:(
魔王:――
:
勇者、4人同時(気持ち10人同時)に。
:
勇者B:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者D:(
:
玉座の間が爆炎に包まれる。
長い間。
:
魔王:……『
:
屋根も壁も玉座も消し飛んだ虚空から魔王が現れる。
:
魔王:……
勇者B:(
勇者A:(
魔王:む……?
:
と、そこに二人の勇者(
:
勇者B:(
勇者A:(
魔王:
勇者B:(
勇者A:(
魔王:なるほど、先ほどの馬鹿共の自爆は貴様の差し金だな?
勇者B:(
魔王:おおよそ、勇者と称される者のやり方とは思えんがな。
勇者A:(
勇者B:(
魔王:……
勇者A:(
魔王:そうか。
勇者A:(
勇者B:(
勇者A:(
勇者B:(
勇者A:(
魔王:ふん、言う割には大したこと事は無いな。――『
勇者A:(
魔王:ああ、確かに悪くは無い、精度も、威力も。そして、複数の属性、多彩な魔法を並行して行使できる
勇者A:(
魔王:あぁ。
勇者A:(
魔王:貴様の攻撃は見えている――。
勇者A:(
魔王:浮かせた岩を
勇者A:(
魔王:
勇者A:(
:
:
魔王:っぐ、見事――と、言うとでも?
勇者A:(
魔王:『
勇者B:(
:
:
勇者A:(
勇者B:(
魔王:ほう、分かるのか。そうだ。
勇者A:(
魔王:どうして――。思い出せぬか?
勇者A:(
魔王:その手の、その剣の感触を。
勇者A:(
:
間。
:
勇者A:(
勇者B:(
勇者A:(
勇者B:(
勇者A:(
勇者B:(
魔王:恨んでくれて構わん。我は魔王故な。
勇者B:(
魔王:そうか。
勇者A:(
魔王:あぁ。
勇者A:(
勇者B:(
勇者A:(
勇者B:(
魔王:――『
:
二人の勇者の笑い声が、炎と氷と風と岩の渦に消えていく。
:
魔王:さらばだ、
:
四人の勇者(
:
勇者D:(
勇者C:(
勇者B:(
勇者A:(
魔王:クソ! 相変わらずイカレたやつらよのぅ!
勇者D:(
勇者C:(
勇者B:(
勇者A:(
勇者D:(
魔王:月光の
:
四人の勇者、声を揃えて。
:
勇者D:(
勇者C:(
勇者B:(
勇者A:(
:
月が落下を始める。
:
勇者C:(
勇者D:(
勇者B:(
勇者A:(
:
魔王:
勇者D:(
魔王:お前らだけには愚かとか言われたくないが、――命ず。
:
魔王、何もない空間から巨大な
:
魔王:我、虚無の女神の矛にして、
:
振るった
:
勇者A:(
勇者D:(
魔王:――
勇者B:(
魔王:『
勇者C:(
魔王:
勇者D:(
勇者A:(
魔王:――
:
月が消滅する。
:
勇者B:(
:
四人の勇者、瞳から光を失いその場に斃れる。
:
魔王:それほど大切なモノならば、
勇者D:(
魔王:貴様らは……。
勇者D:(
勇者A:(
勇者B:(
勇者C:(
:
四人の勇者、声を揃えて。
:
勇者D:(
勇者B:(
勇者C:(
勇者A:(
:
勇者D:(
:
夜空に月の光が戻る。
:
魔王:……消した筈の月が、戻った? いや。月光だけか。
:
勇者A:(
勇者C:(
魔王:その
勇者B:(
魔王:馬鹿を言うな、
勇者D:(
魔王:何が言いたい、
勇者D:(
魔王:それこそ
勇者D:(
魔王:それで、今度は我を消し去るつもりか? 舞い戻った貴様らが。
勇者B:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者D:(
勇者C:(
勇者D:(
魔王:
勇者D:(
勇者B:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者D:(
魔王:……そうか、すまんな。
勇者D:(
:
四人の勇者、月光に溶けていく。
:
魔王:夢物語、か。だとすれば、これは悪夢に違いないな。
勇者B:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者D:(
魔王:
勇者B:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者D:(
魔王:心にもない
勇者B:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者D:(
魔王:ふん、やはり痛いところを突いてきおる、しかし言葉で我は倒せんぞ?
勇者B:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者D:(
勇者B:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者D:(
魔王:っく……ふっふ……、なるほど、気力や精神力を
魔王:嘆け――
勇者B:(
魔王:吠えろ――
勇者C:(
魔王:叫べ――
勇者A:(
魔王:唸れ――
勇者D:(
魔王:朽ちても踊れ――
勇者B:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者D:(
:
四人の勇者、昏倒する。
:
魔王:よもやこの程度で
:
その場に新たな四人の勇者(
:
魔王:貴様らは
勇者A:(
勇者B:(
勇者C:(
勇者D:(
魔王:魔王と話す舌など持たぬか? ――否。
:
勇者達、無言のままに各々戦いの構えをとる。
:
魔王:武によって語る、か。面白い。ならば――こい!
勇者A:(
魔王:ふんっ! はぁっ!
勇者B:(
魔王:ぐっ!? らぁ! はぁ!
勇者D:(
魔王:っちぃ! 放せ
勇者C:(
魔王:くそっ、手数が!
勇者A:(
勇者C:(
魔王:ぐ、この……!
勇者D:(
魔王:っく、身体が動かぬ……! こうなれば、あまり気は進まぬが――『
勇者D:(
勇者A:(
勇者B:(
勇者C:(
魔王:
:
四人の勇者、それぞれの奥義を放つと、周囲が衝撃波で粉砕され、瓦礫と粉塵に包まれる。
間。
:
魔王:…………げほっ。
:
瓦礫の中から魔王が現れる。
:
魔王:無茶苦茶しおって……。もはや我が城が
勇者C:(
魔王:
勇者C:(
魔王:強いて仕留めずとも、直に消えるのではないか? これまでの戦いを見る限りはな。
:
魔王、周囲を見渡す。
その場には瓦礫ばかりが残り、倒した勇者の亡骸は無い。
:
勇者C:(
魔王:そうか、では、最期に言い残すことは?
勇者C:(
魔王:
勇者C:(
魔王:そうか、ならば眠るがいい。我が宿敵よ。
勇者C:(
:
:
魔王:ふん、虚しい闘いだ……。
勇者A:(
魔王:
勇者A:(
魔王:――『
勇者A:(
魔王:ごちゃごちゃうるせぇんだよ。
勇者B:(
勇者C:(
勇者D:(
勇者B:(
勇者D:(
勇者C:(
勇者D:(
勇者B:(
勇者C:(
魔王:……ここに来て
勇者B:(
勇者C:(
勇者D:(
魔王:っく、範囲攻撃……!
勇者B:(
勇者C:(
勇者D:(
魔王:
勇者B:(
勇者C:(
勇者D:(
魔王:
:
倒された勇者たちが砂に溶けて消える。
その中から四人の勇者(
:
魔王:さて、次は
勇者A:(
勇者B:(
勇者D:(
勇者A:(
魔王:ここで楽にしてやることこそ我の
勇者A:(
勇者B:(
勇者D:(
勇者B:(
勇者D:(
魔王:偉そうなことを言う、
勇者D:(
魔王:冷めた勇者だな。
勇者C:(
魔王:
勇者C:(
魔王:しかしその間合いでは食らいつくこともできまい?
勇者C:(
:
:
勇者C:(
魔王:っく、振りほどけぬ! よもや捨て身か
勇者A:(
魔王:貴様もか
勇者B:(
魔王:やはり
勇者D:(
魔王:おぉ、ドライな反応。それでこそ冷静な貴様に相応しい――
勇者D:(
魔王:……けど?
勇者D:(
魔王:おい「ニヒる」ってなんだ? じゃなくて馬鹿なことはやめろ! 自分を失うな! 貴様は貴様のままでいい!
勇者D:(
魔王:どうもならねぇよ! はぁ!? 貴様にそんなことができるわけないし、今更無駄だからやめろ!
勇者D:(
魔王:クソが! 最悪だ!
勇者D:(
魔王:だあぁぁぁぁぁぁ!
勇者C:(
勇者A:(
勇者B:(
勇者D:(
:
激しい爆発。
爆炎に包まれた世界が、次いで静寂で満たされる。
そこに足音が響き、新たに四人の勇者(
:
勇者A:(
勇者B:(
勇者A:(
勇者B:(
勇者A:(
勇者B:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者D:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者D:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者B:(
勇者A:(
勇者B:(
勇者D:(
勇者A:(
勇者D:(
勇者A:(
勇者B:(
勇者C:(
勇者D:(
勇者C:(
勇者D:(
勇者C:(
:
地面から魔王が飛び出す。
:
魔王:そこだ――
勇者D:(
魔王:っち、仕留め
勇者D:(
魔王:ああ。そうだ、
勇者D:(
魔王:ふむ。勇者である貴様がこの魔王に教えを
勇者D:(
魔王:まぁ良い。答えは簡単だ。
勇者D:(
勇者C:(
勇者B:(
勇者A:(
勇者D:(
魔王:その評価、
勇者C:(
勇者D:(
魔王:我に有効である光魔法で戦いを決する算段か? 悪くは無いが――
勇者C:(
魔王:
:
魔王、
しかし、同時に複数の
:
魔王:……何?
勇者B:(
魔王:
勇者D:(
魔王:なに? やけにチャージが早いだと?
勇者C:(
勇者D:(
魔王:しかし光ならば反射するまで――
勇者A:(
魔王:よもや光線を増やすか! しかし空間ごと
勇者C:(
勇者B:(
勇者A:(
勇者D:(
魔王:回避も反射も……! ちぃ! 拒め
勇者D:(
魔王:ぐうぅぅぅぅぅぅ!
:
世界が眩い閃光と静寂で満たされる。
間。
:
勇者D:(
勇者A:(
勇者B:(
勇者A:(
勇者D:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者B:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者D:(
勇者C:(
勇者B:(
勇者D:(
勇者B:(
勇者D:(
勇者B:(
勇者D:(
勇者B:(
勇者D:(
勇者B:(
勇者D:(
勇者B:(
勇者D:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者B:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者C:(
:
魔王:――
:
大地には魔王だけが立ち、その周囲に四人の勇者(
:
魔王:せめて
:
魔王の四方に新たな勇者(
:
勇者A:(
勇者B:(
勇者C:(
勇者D:(
魔王:いや、『魔王』を最低な
勇者A:(
魔王:貴様が馬鹿だろ
勇者B:(
魔王:心底嫌そうな顔だな
勇者C:(
魔王:それは
勇者D:(
魔王:貴様にだけは言われたくないな
勇者A:(
勇者B:(
勇者C:(
勇者D:(
魔王:どの口で外道とか鬼畜とか言ったのだ貴様らは。
勇者A:(
勇者D:(
勇者B:(
勇者C:(
魔王:やれるものならやってみるがいい。――『
勇者D:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者B:(
勇者A:(
勇者B:(
勇者C:(
勇者D:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者D:(
勇者B:(
:
四人の勇者同時に。
:
勇者D:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者B:(
:
魔王:っは! 面白いそう来るか! 馬鹿でかい
:
魔王、何もない空間から巨大な
:
魔王:我、虚無の女神の矛にして、
勇者A:(
勇者C:(
勇者D:(
勇者B:(
魔王:ふん、
魔王:行くぞ――
:
魔王、闇を纏った斬撃で風を切り裂いていく。
:
勇者A:(
勇者D:(
勇者C:(
勇者B:(
勇者A:(
魔王:はぁぁぁぁぁぁぁ!
勇者A:(
勇者B:(
勇者C:(
勇者D:(
魔王:|滅神劫火嵐翔破断崩天狂喜冥界羅刹罪業災飾魔王奉攻葬送双極剣《めっしんごうからんしょうはだんほうてんきょうきめいかいらせつざいごうさいしょくまおうほうこうそうそうそうきょくけん》!!
:
魔王、巨大な竜巻を断ち斬る。
その衝撃に巻き込まれた勇者たちが吹き飛ばされる。
:
勇者A:(
勇者C:(
勇者D:(
勇者B:(
魔王:――
:
四人の勇者(
:
魔王:……はぁ、はぁ。
勇者D:(
魔王:な!?
:
勇者(
:
勇者D:(
魔王:
勇者A:(
魔王:
勇者B:(
魔王:っく! 少し溶けたが
:
魔王と勇者(
:
魔王:――
勇者C:(
:
魔王:なっ……!
勇者C:(
魔王:
勇者C:(
魔王:『
勇者C:(
:
魔王の闇を勇者(
:
魔王:なに……?!
勇者C:(
:
勇者(
:
勇者B:(
勇者C:(
勇者D:(
勇者A:(
:
魔王:――
:
煙の中から闇の矢が飛び出し、勇者(
:
勇者C:(
勇者A:(
勇者D:(
勇者B:(
魔王:……貴様らさ、とりあえずそれ、やめないか? ふざけて見えるぞ
勇者A:(
魔王:
勇者A:(
勇者B:(
魔王:――
勇者B:(
魔王:
勇者D:(
魔王:
:
魔王、勇者(
と、同時に四人の勇者(
:
勇者B:(
魔王:ふん、貴様は
勇者A:(
勇者C:(
魔王:
勇者D:(
魔王:
勇者B:(
魔王:どういう意味だ、
勇者A:(
勇者D:(
:
勇者(
:
勇者B:(
勇者A:(
勇者C:(
魔王:っち!
勇者A:(
魔王:
勇者A:(
魔王:
勇者A:(
勇者D:(
勇者A:(
魔王:くそっ……
勇者D:(
勇者C:(
:
勇者(
:
勇者D:(
勇者B:(
:
勇者(
:
勇者C:(
勇者B:(
勇者C:(
魔王:
勇者A:(
魔王:偶然だと?
勇者A:(
勇者B:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者C:(
魔王:
勇者C:(
勇者B:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者B:(
魔王:今までで最低の組み合わせだな、
勇者C:(
勇者B:(
勇者A:(
魔王:知らん。我はそもそも剣士ではない勝手にせよ。我は我でやらせてもらう。
勇者A:(
勇者B:(
勇者C:(
勇者A:(
魔王:――闇
勇者B:(
:
間。
:
勇者A:(
勇者C:(
魔王:――『
勇者B:(
勇者D:(
勇者A:(
勇者C:(
魔王:何!
勇者B:(
:
勇者(
:
勇者A:(
勇者C:(
魔王:くっ……。
勇者B:(
勇者D:(
:
勇者(
:
勇者A:(
勇者D:(
:
勇者(
:
勇者C:(
勇者D:(
:
勇者(
:
魔王:
勇者D:(
魔王:これは……! 少々厄介だな――
勇者D:(
魔王:くそ、何が
勇者D:(
魔王:
勇者D:(
魔王:無駄だ――
勇者D:(
魔王:剣を振るその身体を
勇者D:(
魔王:消え去るがいい――混沌の劫火『ブレイズ・オブ・カオス』!
勇者D:(
:
勇者(
:
勇者D:(
魔王:目が覚めたか、
勇者D:(
魔王:やはり、駄目か。
勇者D:(
魔王:……いや、そうなのだが、それのどこが聖剣なのだ?
勇者D:(
魔王:何? どういう意味だ……?
勇者D:(
魔王:……そういえば、貴様最初から狂っていたか。
勇者D:(
魔王:
勇者D:(
魔王:ふむ。
勇者D:(
魔王:……良いのか?
勇者D:(
魔王:…………そうか。貴様がそれでいいなら、良いのかも知れぬな。
勇者D:(
魔王:ならば――奥義、
:
魔王、勇者(
:
勇者D:(
:
魔王、剣を鞘に納める。
勇者(
:
勇者B:(
:
勇者(
:
魔王:む?
勇者B:(
魔王:貴様は――。
勇者B:(
魔王:いや。
勇者B:(
魔王:当然であろう?
勇者B:(
:
勇者(
:
勇者C:(
勇者B:(
勇者C:(
勇者B:(
勇者C:(
勇者B:(
勇者C:(
勇者B:(
勇者C:(
勇者B:(
勇者C:(
勇者B:(
勇者C:(
魔王:ほう。
勇者B:(
魔王:人でなし……その言葉遣い、貴様は
勇者C:(
勇者B:(
勇者C:(
:
勇者(
:
勇者B:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者A:(
魔王:いや構わんさ
勇者A:(
魔王:くははははは。
勇者A:(
勇者C:(
:
勇者(
:
勇者A:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者B:(
魔王:何だ?
勇者B:(
魔王:……そうだな。
勇者B:(
魔王:放っておけばよい。じきに決着もつくだろう。
勇者B:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者A:(
:
二人の勇者(
:
勇者C:(
勇者A:(
:
勇者(
:
魔王:ほう。勝負あり、か?
勇者C:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者A:(
:
勇者(
:
魔王:ふむ、失った腕を修復したか。
勇者B:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者C:(
:
勇者(
それを眺める魔王と勇者(
:
魔王:敵味方区別なく殺し合ったかと思えば、今度は魔王そっちのけで戦い始めるか。
勇者B:(
魔王:勇者とはどうして
勇者D:(
:
勇者(
:
勇者B:(
魔王:
勇者B:(
勇者D:(
魔王:かつて『地上最強』とも言われた勇者を知らぬ者がおるか?
勇者D:(
勇者B:(
勇者D:(
勇者B:(
勇者D:(
勇者B:(
魔王:ふむゴミと言えば、あちらの決着がついたようだ。
:
勇者(
:
勇者A:(
勇者C:(
魔王:
勇者D:(
魔王:突き刺さって抜けないせいで剣技を使えず、食い込んだその剣を
勇者D:(
勇者B:(
魔王:……言われて見ればそうかも知れぬが、それが何だと――。
:
勇者D:(
勇者B:(
:
魔王:……悪趣味だな。
勇者D:(
勇者B:(
勇者D:(
勇者B:(
:
勇者(
:
勇者B:(
魔王:貴様……。
勇者B:(
勇者D:(
魔王:っく!
勇者D:(
魔王:
勇者D:(
魔王:
勇者D:(
魔王:
勇者D:(
魔王:それは我とて同じことよ!
勇者D:(
魔王:否!
:
同時に。
:
勇者D:(
魔王:――
:
勇者D:(
魔王:――ぬぉぉぉぉ!
:
間。
:
勇者D:(
魔王:ごはっ……。
:
魔王、勇者(
:
勇者D:(
魔王:確かに、
勇者D:(
勇者B:(
:
勇者(
と同時に勇者(
魔王、その身体を抱き寄せる。
:
魔王:霊体による攻撃――
勇者B:(
魔王:殺した相手を殺す技。
勇者B:(
魔王:あぁ助かったぞ、
勇者A:(
勇者C:(
:
勇者二人(
:
魔王:む?
勇者B:(
:
勇者(
:
魔王:
勇者B:(
魔王:祝い?
勇者B:(
勇者C:(
:
勇者(
:
魔王:
勇者B:(
勇者D:(
魔王:
勇者D:(
魔王:仕組んだ?
勇者C:(
魔王:……
勇者B:(
勇者D:(
魔王:最初から、と言いたいが、確信を持ったのは
勇者C:(
勇者B:(
勇者D:(
魔王:やはり貴様らも我と戦うのか。
勇者B:(
勇者C:(
勇者D:(
魔王:何者かの意思によって仕組まれたものであってもか?
勇者B:(
勇者D:(
勇者C:(
勇者B:(
勇者C:(
勇者D:(
魔王:或いはその為に
勇者D:(
勇者B:(
勇者C:(
魔王:っく! 拒め
勇者B:(
勇者C:(
勇者D:(
魔王:く、うぉぉぉぉぉぉぉぉ!
:
勇者(
:
勇者B:(
勇者C:(
勇者D:(
勇者B:(
勇者C:(
勇者B:(
勇者C:(
勇者D:(
勇者B:(
勇者C:(
勇者B:(
勇者C:(
勇者D:(
勇者C:(
勇者B:(
勇者D:(
勇者B:(
:
勇者(
:
勇者C:(
魔王:
勇者C:(
勇者D:(
魔王:――
勇者C:(
魔王:あれ程えげつない技をポンポン撃ち出せる貴様らがそれを言うか? だから我はちゃんと後払いはしたであろう。聞いておらんかったかのか?
勇者C:(
勇者D:(
勇者C:(
魔王:ふはは、ご
勇者B:(
勇者C:(
魔王:ほう、まだ生きておったか。
勇者B:(
魔王:だが、その様で何ができる?
勇者B:(
魔王:――『
:
勇者(
:
魔王:当たらなければ無意味だが、不死や神さえ
勇者D:(
魔王:そう、思うか?
勇者C:(
魔王:…………。
勇者D:(
勇者C:(
魔王:
:
魔王の姿が無数に増える。
:
勇者C:(
勇者D:(
勇者C:(
魔王:
:
勇者(
と同時に、勇者(
:
勇者C:(
:
魔王の幻影に圧し潰された勇者(
:
勇者D:(
魔王:……はぁ、はぁ……。
勇者D:(
魔王:っく……ああ、そうだな。これを一つしかない命で二度も
勇者D:(
魔王:己の
勇者D:(
魔王:かも知れぬ。
勇者D:(
魔王:――しかし、そうでないかも知れぬ。
勇者D:(
魔王:故に我は、戦うのだ。魔王として。貴様が勇者として戦うように。違うか?
勇者D:(
魔王:ふん、我はこれでも、王だ。偉い。
勇者D:(
魔王:分かっているとも。貴様は、我が
勇者D:(
魔王:それはこちらの台詞だ、
勇者D:(
魔王:奥義――
:
勇者D:(
魔王:
:
勇者D:(
魔王:ぉぉぉぉぉぉぉぉ!
:
二つの力がぶつかり合い、虚無が生じると緩やかに二人と世界を包み込んでいく。
世界は俄かに明滅し、やがて世界を包む虚無が晴れると、大地に倒れ臥す魔王と足を着けて立つ勇者が現れる。
:
勇者D:(
魔王:く、はは、見、事……。
勇者D:(
魔王:何の、ことだか……。
勇者D:(
魔王:くは、は、単に、我が貴様を、
勇者D:(
魔王:好きに、するがいい……。
勇者D:(
魔王:あると、思うか?
勇者D:(
魔王:うむ……。
:
長い間。
:
勇者D:(
魔王:…………
:
勇者(
:
魔王:な、に……?
勇者A:(
:
大地に横たわる勇者(
:
魔王:貴様は勇者、なのか……?
勇者A:(
魔王:勇者、ではない……? しかし、その姿は。
勇者A:(
魔王:違う……!
勇者A:(
魔王:その者は、勇者『クレス』だ。
勇者A:(
魔王:貴様……!
勇者A:(
魔王:……貴様は。
勇者A:(
魔王:魔王、か。
勇者A:(
魔王:奥義――
勇者A:(
魔王:な、発動しない……!?
勇者A:(
魔王:っく……!
勇者A:(
魔王:なるほど、それで我を終わらせに来た、か。
勇者A:(
魔王:その為に……。
勇者A:(
魔王:勇者たちを使ったのか……?
勇者A:(
魔王:……そうか、貴様が。
勇者A:(
魔王:そう、かもしれないな。
勇者A:(
魔王:何……?
勇者A:(
魔王:おい。今の話……。
勇者A:(
魔王:今の話は、本当か?
勇者A:(
魔王:貴様が『役目は終わり』と言ったのは、
勇者A:(
魔王:最後に、一つ質問をしても良いか?
勇者A:(
魔王:貴様は、我からタダで魔王の座を奪ったのだな?
勇者A:(
魔王:そうか。ならば貴様こそが――。
:
間。
:
魔王:――馬鹿なゴミだ。
勇者A:(
:
魔王(
:
勇者A:(
魔王:――
勇者A:(
魔王:あぁ。しかし世界はまだ知らなかった。
勇者A:(
魔王:対価を払わぬ者を誰が主と認めるだろうか? ましてやそれが
勇者A:(
魔王:世界よ!
勇者A:(
魔王:世界から借りた対価を踏み倒そうとする者に、世界が力を貸すと思うか?
勇者A:(
魔王:さて、それでは
勇者A:(
魔王:すまんが省略も前借りもできぬ。時間を稼いでくれ。行くぞ――
勇者A:(
勇者B:(
勇者C:(
勇者D:(
勇者A:(
:
魔王(
魔王、詠唱を開始する。※演出上、途中でフェードアウトするか小声で詠唱が継続される。
:
魔王:我は
:
勇者D:(
勇者A:(
勇者D:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者B:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者C:(
勇者A:(
勇者B:(
勇者A:(
勇者D:(
勇者A:(
:
魔王(
:
勇者B:(
勇者D:(
勇者B:(
勇者C:(
勇者B:(
勇者C:(
勇者B:(
勇者C:(
勇者B:(
勇者C:(
勇者B:(
勇者C:(
勇者B:(
勇者C:(
勇者B:(
勇者C:(
:
勇者(
:
勇者B:(
:
と叫ぶと同時に、魔王が詠唱を終える。
:
魔王:――
:
勇者B:(
魔王:ならば信じるが良い。心せよ。
勇者B:(
:
世界を闇の波動が巡る。
しかし、何も起きない。
:
勇者B:(
魔王:…………。
勇者B:(
魔王:――
勇者B:(
魔王:……下らん。
勇者B:(
:
魔王、魔王(
:
勇者B:(
魔王:いいや、違うな。貴様は魔王ではない。
勇者B:(
魔王:故に、それを取り返しただけの話。
勇者B:(
魔王:したさ。
勇者B:(
魔王:確かに発動はしたが、
勇者B:(
魔王:魔力だ。
勇者B:(
魔王:そう、この世界を
勇者B:(
魔王:しかし、かつての勇者を
勇者B:(
魔王:すべては、
勇者B:(
魔王:……………………知らん。
勇者B:(
魔王:いや……、知らん。考えてみたが、特に理由は無い。
勇者B:(
魔王:話を聞いていなかったのか? 世界の魔力は底を
勇者B:(
魔王:何も変わらんだろうな。
勇者B:(
魔王:どうでもいい。殴って気が済んだし、よくよく考えると、その身体も
勇者B:(
魔王:貴様にだけは言われたくないがな。というか先ほどから質問ばかりだが貴様。自分で考えよ。全く。さて、我は、眠りにつく。
勇者B:(
魔王:ふぁ~……。先ほどまでの戦いで少々……いや、かなりの無茶をした。魔法の
勇者B:(
魔王:うむ、石化し始めているか。……お、あったあった。
:
魔王、瓦礫をどけると、その中で唯一原形をとどめていた玉座に座る。
:
勇者B:(
魔王:どうせ石になるなら、この方がサマになろう?
勇者B:(
魔王:悪くない。
勇者B:(
魔王:そうだな――『ヴォイド・ヴェルト・エンデ。99人の勇者と1人の魔王を倒し、かつて
勇者B:(
魔王:でなければ好き好んで魔王なぞやっておらん。
勇者B:(
魔王:ふむ。まぁ、嫌いではなかった。この世界と同じようにな。
勇者B:(
魔王:……そう、かもしれぬな。
勇者B:(
魔王:…………。
勇者B:(
魔王:……いや。
勇者B:(
魔王:どうでもいい。先ほども言ったがな。
勇者B:(
魔王:貴様はどうするのだ?
勇者B:(
魔王:では、
勇者B:(
魔王:似たようなものだろう。
勇者B:(
魔王:ふむ。
勇者B:(
魔王:魔王になれぬのなら、そのまま勇者やれば良いのではないか?
勇者B:(
魔王:平気平気。
勇者B:(
魔王:ならば、我の目覚めでも待っているがいい。
勇者B:(
魔王:百年か、千年か。
勇者B:(
魔王:経ってみればあっという間だぞ? 意外と、な。
勇者B:(
魔王:うん?
勇者B:(
魔王:ふはははは! 面白い。その時を楽しみにしているぞ?
:
魔王、手を差し出す。
勇者(
:
勇者B:(
魔王:あぁ、約、束……だ――。
:
魔王が完全に石になる。
:
勇者B:(
:
――幕。
1人の魔王と99人の勇者。 音佐りんご。 @ringo_otosa
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