好きなもののこと⑥ 〜太極拳
「太極拳」といえば、どういうイメージでしょうか?
中国の朝、公園でたくさんの人がやっている。
お年寄りがゆっくりした動きでやるもの。
ジャッキー・チェンさん主演のカンフー映画……など。
太極拳をはじめたキッカケは、何か身体を動かすことをしたい、と思ったからです。
特別な道具や場所でなくても出来ること。
歳をとっても、長く続けられること。
相手がいなくても、ひとりで出来ること。
フラやヨガ、武術……などを考えました。合気道の袴姿には憧れましたが、痛いのは嫌だったのでやめました。冬は裸足が寒そうですし。(合気道をされている方がいたら、先入観でスミマセン!)
市民スポーツ講座の抽選(どの講座も倍率高し! 特にヨガ)で、太極拳の講座に参加することになりました。
週一回、半年間で24式の型を覚える、という内容です。
太極拳には多くの流派があり、24式というのは、誰でもできるようにその中の24個の型で作られたものです。
日本のラジオ体操みたいなイメージですね。中国の公園で皆さんがやっているのは、これでしょう。
おそらく毎回、半年間、同じ講座内容なのだと思いますが、何故か常連の参加者がほとんどを占め、初参加の初心者は数人という感じでしたね〜。
終了後、形だけではなく、もっと深く知りたいと思い、いろいろ検索して、現在の師と出会いました。
太極拳をやっていて良かったと思うこと、その考え方に救われたことがたくさんあります。
太極拳のマーク(円の中に白と黒の勾玉のような形が向かい合わせに描かれているもの)は、陰と陽を表しています。
世界は陰陽の調和で成り立っているというのが、太極拳の考えです。(天と地、太陽と月、男性と女性……など)
そして、陰と陽はハッキリと線を引いて分けられるものではなく、緩やかに移り、変化していくもの。
「陰が極まれば陽になり、陽が極まれば陰になる」
太極拳のマークは静止画ではなく、陰と陽がぐるぐると変化しているその一瞬を切り取ったものです。
潮が満ちて、また引いていくように、何事も変化し続ける、という考え方が好きです。
そして、太極拳には、争いを起こさない、闘わない、調和を大切にする教えがあります。
お稽古中には立禅をする時間があります。(坐禅は座ってしますが、立禅は立ってします)
ただじっと立つ……これが難しい。
まず最初に習ったことが、楽な立ち方、でした。「胸を張って、気をつけ!」ではありません。
師の立ち方はゆるっとフワッとしていて、余計な緊張がなく、とても美しいのです。それでいて、押されても倒れない、しなやかな強さがあって、柳の木のようです。
心を静かにじっと立つ。
外から聞こえる音に耳をすまし、自分の内側を見つめる。
自分のためだけに使う時間、自分と向き合うこの時間が好きです。
太極拳を続けていると歳をとらないそうです。(ホントかな? 確かに師は若々しいです)
重力がなければヒトは立つことが出来ませんが、年齢と共に腰が曲がり、膝を痛める人が多くなります。
太極拳は身体の使い方が上手くなります。
あと10年早く、はじめていれば、きっと腰痛に悩むことも無かったのではないか、そう思ったりします。
今はお稽古に通うのをお休み中ですが、ひとりでも出来ることがあるのも、良い点でしょうか。
やればやるほど、奥深く、新しい気づきがあり、まだまだ入口付近をウロウロしている初心者ですが、太極拳と師に出会えて良かったと思います。私にとって、大切な時間なのです。
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