物語のつくりかた⑥ 〜「旅人の夏、永遠の夢」

 この物語は、銀河鉄道で星をめぐる旅、あるいはタイムリープものというSFになる予定だったのですが、現代ファンタジーへと路線変更することに……。

 その顛末については、物語の最後に書いた通りでございます。



 *** ご注意 ***


 以下の内容には「旅人の夏、永遠の夢」のネタバレが一部、含まれます。

 未読の方はご注意下さい。


 ********


 このお話は、これまでの作品とは異なる手法で創作しています。


「自分のよく知っている場所を舞台にして、物語を書いたらどうだろう?」

 そう思いついたのが始まりです。


 ・高原といえば、季節は夏!

 ・メインの登場人物は、少年と少女のふたり

 ・ラストは星空


 この条件で、入れたいエピソードやセリフをリストアップし、物語を作り込んでいきました。

 伏線を張り、回収するのを繰り返し、ストーリーが広がって展開する。ラストに向けて、物語を収束し、着地させる。

 書いていて、とても楽しかったです。高原の青空を思い起こすような明るいイメージとなったでしょうか。

 舞台背景がしっかりしていると、安心感があって、ラクなんだなぁと思いました。


 今までの作品では、ひとつのセリフやシーンが思い浮かぶところから、物語が勝手に動き出し、頭の中に流れる映像を文章に書き起こしていく、という作り方をしております。細かい設定などは、ストーリーと齟齬そごが生じないように考え、後付あとづけです。

 ラストまでいかないと、物語がどう終着するのか、自分でもわからないという……ドキドキ(笑)。


 今回の物語を書き終わった時に感じたこと。

 既に結末がわかっている完成試写会を観ているようでした。もうひとりの自分が作ったお話を俯瞰ふかんしているといったらいいのでしょうか。


 物語はうまくまとまっていますが、今までの作品を書いていた時のような、自分で自分のストーリーを(この先はどうなるんだろう?)というワクワク感がありませんでしたね〜。


 どちらの手法でも、「頭の中の映像を文章にする」というのは同じですが、勝手に動き出した物語と、自分で作り込んだものには、大きな違いがあると思いました。


 さて、物語の裏話について。

 永遠が教科書を忘れ、教室を出されたり、下敷きを取り上げられたエピソードは、私の実体験です。

 実際には、他のクラスの授業を中断することなどできるはずもなく、少ししてから「教科書を借りられませんでした」と授業に戻りましたし、先生が下敷きを返してくれるまで、うつむいて何も言えずにいました。

 

 当時の先生の顔やお名前はもう覚えておりませんし、今となっては、何故だったのか、確かめるすべもありません。

 ただ、とにかく気分にムラのある先生だったことを覚えています。機嫌が良い時は優しい、そうでないとイライラして、私は目立たない生徒でしたが、たまたま不機嫌な気分をぶつけられたのかもしれません。


 物語とは異なり、私の両親は離婚しておりませんし、私は保健室にお世話になることもなく、その後も普通に通学しておりましたので、ご心配なく。その部分は創作です。


 永遠のイメージは赤毛のアンです。アンは赤毛をからかわれて、相手に怒りをぶつけ、「もう学校には行かない」と決めます。

 永遠も授業に出られなくなったのではなく、自分でもう授業は受けない、と決めたのです。同じように、未来への列車には乗らないで、現実世界で今を生きることを選択しました。


 私が描く女性の人物像は、しっかりとした意思のある強さを持っていることが多いようです。

 永遠の強さは、歴代2位ですね。ちなみに1位はダントツで、代表作に登場するエリンです(笑)。

 今回はこの永遠の強さに救われて、中学時代の出来事を消化(もしくは昇華)出来た気がします。彼女が大人になったら、どんな素敵な女性になるのか、楽しみです。


 そうそう、あの湖で観る星空は本当に綺麗です。

 犬連れで車中泊をして、ものすごい雷雨に遭遇し、大変に怖い体験をしましたが、その後の満天の星空!

 小学生の林間学校でしょうか、大型バスが数台来て、星空鑑賞会をしてました。


 物語が終結したあとに、後日談のエピソードが続く場合がありますね。

 例えば、某有名な赤い豚さんのアニメは好きですが、主人公のモノローグが結末の後に長く続きます。あの最後の部分は要らないんじゃないかと思っています。

(注:意見には個人差があります)


 今回の物語でも、実はラストの部分は迷いました。旅人の後日談は、無くてもいいのではないかと。

 ただ、永遠の問いかけに対する往復書簡のつもりで、旅人には語ってもらいました。スッキリと着地できたかとは思っています。

 

 皆様は物語を創作する際、それぞれいろいろなやり方をされているかと思います。

 どの手法が良いとか、自分に向いているかはわかりません。でも、いつもと違うやり方でも自分に創作ができることは新鮮で、新しい発見でした。

 自分の作品は、もちろんどのコも想いがあってカワイイです。少し生まれが変わったこのコは、印象深いものとなりました。


 この物語を楽しんで頂けたなら、とても嬉しいです!

 




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