第5話 転生④
「魔法があると言うても、中世の様な世界ではなく
科学と共に魔法が発展した世界じゃな。
なんならおぬしが生きていた時代よりも遥かに技術が発展しておる。」
ーーあ、はいそうなんですね。
幼女神こと、
「ダンジョンと呼ばれる物があり、そこから掘り出された物質や技術、
ーーえ?
ちなみになんですけど……
それって人をパックンチョしたりします?
「みながそうとは言わんが、
ちょ、ちょっと待ったちょ、ちょっと待った。
それ普通に死んでますやん!
普通というか、一部愛好家が喜びそうな死因だけど。
友達作る前に死んでしまいますやん!
そんな物騒な世界じゃなくて普通に今まで過ごしてきた世界と似た様な世界でいいとちゃいますのん?
あ、思わずエセ関西弁で話してしまった。
「今と同じ様な環境じゃお主は何もせずにまた天寿を全うするじゃろうし、少しスリリングな世界の方が
友情が芽生えやすいじゃろ?」
サラッとディスってくる幼女神。
は〜い、プチ事実陳列罪!!
え?美少女無罪?この場合は美幼女無罪か!
「それに安心せい。
最初に言ったじゃろう、加護を与えると。
その中におぬしの生存能力を上げる加護があるのじゃ」
あ〜〜なーほーね〜理解した!(理解していない)。
「うむ!では、転生の準備に入るぞ!
今からこの中に入るのじゃ!」
理解をしていない俺の前に繭の様な物が現れる、まゆすき……。
「現状のおぬしでは強度弱過ぎるからの。
この繭の中で魂や肉体の強度を上げてから転生させるのじゃ!
おぬしのイメージも反映されるからしっかりと想像を固めるのじゃぞ!
イメージするのは常に最強の自分、じゃ!」
なるほどねぇ……。
けどそれ、昨今の流れだと爆死フラグなんだよなぁ…。
「えぇい!ごちゃごちゃ言わずに入るのじゃ!」
ゲシゲシと足蹴にされながら繭に近づく。
繭がくぱぁ〜と開くと、入り口の様なスペースが生まれた。
お邪魔しま〜す!、邪魔するなら帰って〜!
脳内コントを繰り広げながら繭に入る。
あ、意外と居心地いいすね。
「では、心の準備は出来たかの?」
「あ、あ、あのちょっと待って下さい!」
「どうかしたかの?」
「お、俺と友達になって下さい!
そ、その、神様相手にこんな事を言うのは不敬かもしれないけども…俺の人生最初の友達は
だから…その、友達になって下さい!」
俺は眼を閉じながら
少しの沈黙の後に笑い声がこだました。
「ハッハッハッ!!!!
雨に打たれた子犬の様な顔をしながら最後に何を言うかと思いきや、まさかそんな事だったとはな!!
おぬしは本当に不敬なやつじゃのぉ!」
え?もしかして振られたってぇ……コトォ?
ワンチャン、極刑もある?
こ、ここから入れる保険ありますか?
「何を勘違いしておるのじゃ?
おぬしはわしに対して脳内で人に勝手にあだ名をつけた挙句、たん付けで呼んでいるのじゃぞ?
それに対して何か言うのは今更過ぎるじゃろ。
その不敬さを含めてのおぬしじゃ。
わしはそんなおぬしの事は…嫌いじゃ無いぞ」
「長年わしの為に奉仕をしてくれた恩もある。
じゃから、わしがお主の最初の友達になってやろうではないか」
「たく…おぬしは最後までふざけた奴じゃ…。
向こうへいって辛い時があったらわしの事を思い出して励むのじゃぞ?
それが、友いうものじゃ!」
首を縦に振ると同時に繭が閉じた。
中からも見える程に繭が輝くと意識が遠のいていく。
「また……で……うの…太郎」
微かに
かくして俺は、まだ見ぬ異世界の友達に心を弾ませ
異世界へと旅立ったのであった。
転生編ー完
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