9話「変わる事、変わらない事」

そりゃそうだ。

人と向き合う事を辞めた俺をある意味更生させてく過程をきっと記録したりしてその報酬が100万円って大金なんだろうから‥


「それで、私に聞きたい事は?」


「こういう場面でよ、どうすれば良いんだ?無理して仲良くしなくても良いと思うけど、何かの勘違いとかで仲悪くなってるならどうにかしてあげたいんだよ。」


「うんうん、お金のためとはいえ、とても素晴らしい心がけですね!」


おちょくってるのかこいつは‥


「そんな怒らないでくださいよ〜まぁ、羽生はにゅうさんは今日みたいに直接ぶつかる方が性に合うと思いますよ?」


「本当か?」


「はい、でもただぶつかって関係を拗らせるだけじゃなくみんなの間を取り持つ事が出来るはずですよ、本当の羽生はにゅうさんならね!」


「お前がいうと怪しいな‥」


「ハハッ、大丈夫ですよ!まあどうせこの記憶を無くなってしまうんですから、良いじゃないですか!」


「ま、それもそうだな、ありがと。」


「はい!またありましたらいつでもご連絡下さい!」


「てか、直接会うとかってのはないのか?」


羽生はにゅうさんってもしかして男もいける感じですか?」


「いや、そうじゃなくて!」


「冗談ですよ!まあいつかは会うことになるかもしれませんね!その時はよろしくお願いします。」


「おう、じゃあまた。」


「はい〜」


どうせどれもこれも失う記憶ならもう怖がる必要もない気がしてきた。


「やってみるか‥」


自分に素直に真っ直ぐにぶつかってみることにした。


.


.


.


CC実験No. 001 羽生陸はにゅうりく


Day. 13


彼の行動が少しずつみんなにもたらす変化がとても素晴らしい。


本人は否定をしてるがやはり、最初に100万円を選んだ事を少しだけ後悔してるように見える。


彼の時に鋭い洞察力と思い切りの良さで過去のトラウマもそのまま無くなって欲しいものだが‥


今はまだやりきれてないだろうが、諦めずに進み続けて欲しい。


そして‥



そろそろ羽生陸に会う時が来るのだろう。

来るその日まではまだ影で彼の行動を確認したい。


「頑張ってくださいよ、りくさん。」


.


.


.


__次の日の朝


俺は今日は珍しく朝早くに家を出ていた。

なぜなら、鶴ヶ島つるがしまと話をしたいからだ。


「おはよう、鶴ヶ島。」


「おう!おはようりく〜」


「昨日は俺のせいで空気悪くしてごめんな。」


「なになに〜気にすんなよ!」


このウザい性格もこういう時は少し安心するものだ。


「ちょっと話したいんだけど、いいか?」


「おう!俺もちょうど話したいと思ってた!」


「場所移して良いか?」


そうして俺達は中庭に場所を移した。


鶴ヶ島つるがしまはなんで杏奈あんなが嫌われてるか知ってるのか?」


「実はよ‥俺も何となくしか知らなくてさ、そもそも俺の中での新座にいざさんってもっと明るいイメージだったんだよな。」


「そうなのか‥」


そのイメージというか明るい所が俺にとっての今の杏奈あんなそのものだし、みんなの前で冷たいのが不思議なぐらいだった。


「それに俺は一年の頃はクラスが違くてそのクラスの奴が言ってたってだけなんだよな〜はな新座にいざさんが同じクラスだったから何か決定的な出来事があったのかもだけど‥」


「正直、俺と話す時の杏奈あんな鶴ヶ島つるがしまのイメージ通り明るいんだよね、でも他の人と居る時は暗いというか冷たくなるんだよな。」


「やっぱり、去年何か決定的な出来事あったのか‥」


なにか暗そうに話す鶴ヶ島が珍しかった。


「鶴ヶ島はどうしたいんだ?そもそも俺と杏奈あんなじゃなくても校外学習一緒に行く奴居ただろ?」


「まぁ、りくと違ってぼっちじゃないからそりゃ居るけどよ〜」


「地味に刺さる‥」


「うそうそ!いや、俺はさ普段は明るいキャラだぜって感じ出してるけど本当はそこまでお調子者じゃないんだよな。」


「それに俺らと組む理由があるのか?」


「いやさ、楽しそうにしてる2人を見た時に単純に羨ましくてよ、なんかこの4人でこれから楽しくできたらなとか思っちゃったんだよね。」


4人で楽しくするだ?

いや、ないない、会ったとしてもその記憶は12月26日にはみんな無くなってるんだし‥


「それに俺言っただろ?鶴ヶ島EYEは間違いないってな〜だから仲良くしたいんだけど、まさかあそこまではなが毛嫌いしてるとはな‥」


「とりあえず、俺はその原因を探してみるよ、だから鶴ヶ島つるがしま吉川よしかわさんから良い感じに聞いといてくれ。」


「分かった、ありがとな!」


「なにが?」


「やっぱり、りくと仲良くなれそうだわ。」


「バカ言え‥」


とりあえずはどっちに原因があってどうすれば解決するかを考える事にした。


きっと勘違いだったりするんだろう‥


俺はどうしても杏奈あんな吉川よしかわさんも悪い人には見えないからだ‥


「俺もあいつのバカさが移ったかもな‥」


なんて事を考えてしまうほどに能天気だったのかもしれない、この時までは‥


.


.


.


__昼休み


今日は杏奈あんなは委員会の仕事って言ってたし昼は1人で食うかな。


「あ、あの!すいません。」


「は、はい?」


突然、見知らぬ女の子に声をかけられたのだった。


ー続くー

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