3話「俺であって俺で無い話。」


プルプルプルプル‥


ガチャッ‥


「あ、あの‥」


「あ、もしもし。」


本当に女の人が電話に出た。


「初めまして、羽生陸はにゅうりくです。」


「え、羽生さんって才玉高校の二年生じゃ無いですよね?」


相手にすら自分の情報が筒抜けになってるのかと思ったが‥


「あの、私‥同じクラスの新座杏奈にいざあんなです。」


「あ、あぁ〜」


「もしかして分からない感じですか?」


「ごめんなさい。」


「まあ、羽生さんってあまり人と関わる感じじゃ無いですもんね。」


「まあそうなんですよね。」


どうやら同じクラスの人だったらしい。


本当にランダムで選ばれた相手なのだろうか‥


「でも、意外ですね!」


「え?」


「いや、羽生はにゅうさんみたいな方がこのアプリを利用するなんて意外だと思って。」


「俺もいきなり通知きて、よく分かってないんですよね〜」


「私もです。でも何か人生が変わればと思って受ける事にしました。」


「そうなんですね。」


「でも良かったです。全く見ず知らずの人で県外とかの方じゃ無くて‥」


「それは俺も完全に同意っすね‥」


ー通話終了10秒前です。


どうやら時間制限があるらしいな。


「ま、まぁ明日学校で話せるだろうし‥」


「はい。私は待ってます。」


ガチャッ


そう言って電話を切った。


[どうでした?初めての女の子との通話は〜]


りょーからチャットが来た。


[余計なお世話だ。]


[まさか同じ学校だったとは〜]


[どこまで仕組んでるんだ?]


[本当にランダムなのでご心配なく!!]


[分かったよ]


[では、明日からコールミー、コールユーをよろしくお願いします。]


本当に明日から始まるのか‥


まあ上手くやってさっさと12/26を迎えて100万円手に入れるか‥


.


.


.


りくさんは本当にこれで良かったのだろうか‥」


CC実験No. 001 羽生陸はにゅうりく


Day1.


ここから始まる物語はコールミー、コールユーを通して成長している男女の物語である。


思った以上にすんなりと受け入れてくれたのは意外だった。

しかし、予想通り記憶ではなくお金の選んでいた。

これから起こり得る沢山の出来事をどう思うかは彼次第なのだが、後悔しないCCを歩んでもらいたい。


何故なら彼は‥


.


.


.


「お兄ちゃん朝だよ〜」


気がつくと朝になっていた。

と言っても4/13である。


「まあこの記憶はしっかりと残るんだよな最終日までは‥」


内心朝起きたら12/26になってて欲しいとまで思ってしまった。


「何言ってるのお兄ちゃん?」


「いや、なんでも無い。今日もいい天気だな〜ってさ!」


「なんか変なの〜」


ブー!


朝からCCから通知が来た。


[おはようございます、りくさん!本格的な活動は本日からになりますのでしっかりと新座杏奈にいざあんなさんと話せるよう頑張りましょう!]


起きてすぐに連絡とは盗撮されているのか俺は‥


[はいはい]


別にただ話して、仲良くなれば良いだけだろ。

大袈裟なんだよ‥


.


.


.


ー放課後、教室にて。


「‥‥‥。」


話せなかった。

コミュ障クソぼっちの俺ええええええええ


逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ‥


内心、むこうから話しかけてくるんじゃ無いかって思ったし‥


てか何よりも‥





新座にいざさんの顔がわからない。


誰にも聞けないし‥


「あれ、あんたが残ってるなんて珍しいね。」


「あ‥」


そう言って話しかけてきたのは同じ委員の‥


「何?私の名前もう忘れたわけ?吉川よしかわだよ。」


そうだ、吉川さんだった。


「いや別に忘れてた訳じゃ‥」


「嘘だ〜てかなんでこんな時間までいるの?誰か待ってるの?」


こうなったら言うしか無い‥


「あ、あのさ!新座にいざさんって知ってる?」


「知ってるよ、当たり前じゃない?」


「で、ですよね‥」


「でさ、良かったら‥」


「悪いけど私の前でその名前”二度と”出さないでくれる?」


どうやら地雷を踏んだみたいだった‥


「ごめん‥」


「なに、あいつの事好きな訳?」


「いや!好きとかではなくて‥」


そういえばアプリの事は他言無用だったな。


「どいつもこいつもあんな奴のどこが良いんだか‥」


「まあ俺の事はお気にならさらず〜」


「まあいいわ、また明日。」


「お、おう‥」


高校に入って初めてまたなんて言われた。


「あ!そうそう!委員会の時私の事無視して帰ったでしょ!」


吉川よしかわさんに詰められた。


「あ、いやそういうつもりじゃ‥」


ガラッ!!


教室のドアを開ける音が聞こえた


「あら、ごめんなさい。お取り込み中でしたか‥」


そう言って入ってきたのは学級委員の女子だった。


「そういうのじゃないから!!ほら、あんたの待ってた人だよ。」


そう言って学級委員を睨みつけるように吉川よしかわさんは教室を後にした。


.


.


.


って!!俺が待ってた人って事は‥


「あ、あの!もしかして新座にいざさん??」


「今日一日ずっと話しかけられるの待ってたんですけど、本当に顔もわからなかったんですね‥」


嘘であって欲しかったが本当に新座にいざさんだった‥



ー続くー

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