第二場。

  少しして囁き声と、ランプの光。

  入れ替わりに黒いローブを纏ったカウアドリ、マーチ、アイポーツ。

  三人、暗闇の中に現れると、アウローラを囲む。


カウアドリ:おい、こいつで合っちゃってるんですか?

アイポーツ:ああ、これだ。……素晴らしい。

マーチ:これがほんとに? 間違いじゃぁねぇだろうな?

カウアドリ:どう見ても人間にしか見えませんけどねぇ。

マーチ:仕事とは言え、人攫いなんて勘弁なんだがなぁ。

カウアドリ:っは! 俺は務めを果たすだけですよぉ。選り好みなんてしない。

マーチ:やれやれ、これで俺も犯罪者か。

カウアドリ:この仕事引き受けた時点で、罪人ですけどね、今更だっての。

アイポーツ:おい静かにしろ。余計な口を叩くな。

カウアドリ:へぇい。

マーチ:腹くくるか。

カウアドリ:首じゃ無きゃ良いですけどねぇ。

アイポーツ:心配するな、これは大義だ。我々は人類の未来の一翼を担っているのだ。

マーチ:女の子一人盗み出すことが大儀たぁ、よく言うぜ。

カウアドリ:担ぐのは翼じゃ無くて女でしょってか。

マーチ:ついでに犯罪の片棒だな。

アイポーツ:ふ。金で動く下郎には分かるまいよ。さぁ行くぞ。見つかると面倒だ。

カウアドリ:偉そうなこと言いやがりますねぇ。俺は金なんかの為に動いてないですってぇの。

アイポーツ:文句を言うな。

マーチ:しっかしこれがほんとに人形なのかよ。


  黒ローブ達、アウローラを連れ去る。

  物陰からヴィオラが出てくる。


ヴィオラ:随分と賑やかな拉致もあったものね。まぁ、あの様子だと楽に取り返せそう。それにしても、おかしな依頼よね。こんなの未然に防げるでしょうに。まぁ良いわ。お金さえ貰えれば。


  ヴィオラ、ランプを持って去る。

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