第7話 (11:50)

 演劇は大したことなかった。そこそこ面白かったし、中学生の学習発表会としては十分だと思うけれど、これで二十円は高い。


「面白かったな」


 何でも面白がるまつりはずっと楽しそうだった。

 ちなみにボクは後ろの人がちゃんと見れたのかが心配。


「ありがとうございましたー」


 役者の子が、一人一人にお辞儀をしてお土産のお菓子を渡している。


「ありがとう」


 祭が、お菓子と共に何か小さなケースを受け取る。


「何? それ」

「さあ。後で開けてみよう」


 お腹もすいたので、帰る直前にお弁当を取らせてもらって、ラウンジとかに開いている席を探すことにする。


「祭は? お腹」

「俺も少しすいたかな。その辺のとこで買おう。安いとことか知らないか?」

「知らない。そのお菓子ふたっつとも食べればいいよ」

「菓子で腹はふくれねえよ」

「じゃあ、一年生のとこよりも上級生の方がおすすめかも。経験の分クオリティも上がってるって誰かが言ってた」

「なるほどな」


 じゃあ、と高校生の方へ足を向ける。


「随分買ったね」

「そうでもない」


 しかも、焼きそばだとかホットドッグだとか、お祭りらしくって高い物ばかり。金持ちだ。


「何処なら空いてるかな」

「今、お昼時だから混んでると思うよ」

「そうだなあ」


 二階のラウンジは混んでいた。待っても下に行っても同じだとは思ったけれど、少しでも時間を使いたくて、一階に行くことにする。三階は同級生が沢山いそうだから嫌だ。


 一階に降りて、四人掛けのテーブルを二人で占領している男女を見つける。


「あれ」


 美しい金髪の女の子に、その向かいに座る長い黒髪の男子。見覚えのある姿だった。


「あれって」

「多分そうだと思うぞ。何年ぶりだろうな」


 ほんとうにそうなら、実に二年ぶりということになる。テーブルに近寄って声をかけた。


令華れいか?」

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