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お昼用のおにぎりを買いに今朝コンビニに行った時、何気なく覗いた菓子パンコーナーでたまたま見つけて、水無月くんに教えてあげようと思って買ってきたのをすっかり忘れていた。

水無月くんはパンが好きらしく、特に甘い菓子パンをよく鞄から出しては、お昼以外にも放課後や授業の合間の休み時間に齧っているのを見かける。

私はどちらかと言えばご飯派だから、朝はしっかり白米と味噌汁とおかずを食べるし、お昼もおにぎりが定番だ。

でも、わけのわからない“桃太郎ルール”によって押し付けられたあの日のメロンパンは、確かに甘くて美味しかった。


「ほとんどいちごってことは、きっとこれもメロンの味はしないんだろうな……」


水無月くんは、きっと好きだろう。

一緒にいれば嫌でも相手の好みがわかってくるし、好きそうなものを見つけると、自然と教えてあげたい気持ちも湧いてくる。

喜ぶ顔を思い浮かべて嬉しい気持ちになるのは、別に特別なことじゃないはずだ。


「さてと、おにぎりは……」


今朝買ったばかりだから賞味期限はまだ余裕だし、形もそれほど崩れていない。

せっかくなので、ほとんどいちごなメロンパンは後日渡すことにして、鞄に戻しがてら今度こそおにぎりを取り出す。

三角のおにぎりに巻かれた透明なフィルムをはいで、代わりにパリパリの海苔を巻いて頬張る。

お昼に食べたのは鮭だったが、今度のはおかかだ。

濃いめに味付けされたおかかと、意外にもふっくらとした白米、そこにパリパリの海苔が合わさって、口の中が幸せな美味しさで満たされる。

最近のコンビニは侮れない。

はぐはぐとおにぎりを噛み締めて、ふと思いついたように隣の席に視線を移しては、また何事もなかったかのようにおにぎりを食べる。


『瀬戸さんはいつもおにぎりだね。せっかくコンビニに行くなら、たまにはお弁当とか、もしくはサンドイッチとかも選べばいいのに。ちなみに僕のオススメはね――』


コンビニで買ったおにぎりを齧っている私を見つけては、水無月くんはそんな風に別のものを勧めてくる。

時には、机に出しておいたおにぎりを勝手に自分のパンと取り替えていくこともある。

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