1-5-1(石川圭太)
夜も更けた時刻。
石川圭太はベッドに大の字に寝転んだ。
鼻から熱い息を吐き出す。
「ふーっ、さいこっうだなー」
最高なのは今、圭太がのっている4人は同時に寝られそうな高級キングサイズベッド――ではない。
このハーレムな環境がである。
異世界に来てから4日目。
現在、圭太は王城内の離宮の一つで寝泊まりしていた。
ここはつい先日まで第二王子が使っていたが、先の一件で廃嫡となって幽閉されてしまい、ちょうど空いた離宮を圭太が使うことになった。
なんでも防犯上、ベストらしい。
圭太にとってもメイドがたくさん働く離宮はベストだった。
メイドと言えば、初日に応接室で給仕してくれたお姉さんメイド。
名前はシールって言う。
なんとそのシールがわざわざ配置換えを希望してまで、今、この離宮で働いているのだ。
今朝、圭太はお姉さんメイドのシールに優しく起こしてもらった。
最高のシチュでした、ありがとうございました。
これはもう完全にあれだ、シールは俺に惚れている、ガチ惚れレベル、夜のお世話を頼めばやってくれそうな雰囲気さえある。
いや、頼まないけどね?
ホントだよ、ホント。
だって、ハーレムには順番ってのがある。
まずは佐々木里奈、神崎詩織、市村亜美を攻略しないといけない。
それもまあ、秒読みに近い。
なぜなら、この離宮に里奈たちも一緒に暮らしているからだ。
ひとつ屋根の下で、朝昼晩の食事を同じテーブルで食べ、なんならさっきまで娯楽室で3人とだべっていた。
風呂上がりの美少女たちが最高にエロかった!
俺の女たちが俺の嫁たちにいつなってもおかしくない。
懸念事項だったハーレムがアリかナシかも、王国は重婚可能の一夫多妻制って確認できたし。
さらに追い風がある。
なんでも、もう日本に帰れないらしいんだ。
日本に帰ろうとさえも思わない。
異世界人召喚の魔法で召喚された異世界人はみんなそうなるらしい。
だからと言って、異世界に放り出されて心細く思わないわけがない、身近に頼りになる人が要るだろう。
そんなの俺しかいないじゃん。
詩織と亜美は日本に帰れないと分かっても割と平気そうに見えた。
やっぱり、頼りになる俺がいるからか?
里奈はというと、昨日今日と思い詰めた顔で、ため息をつくことが多い。
でも、まあ、そのうちよくなる。だって、俺がいるし?
ちなみに、圭太はというと、日本に帰らなくても全然オッケー。なぜなら、異世界はハーレムだもの。
ここまで圭太はベッドの上でムフフと上機嫌だった。
だが、あることを思い出し、顔を渋くする。
「アイツさえいなきゃカンペキなのに。なんでアイツいるんだよー」
この離宮には二人の男が暮らしている。
一人は圭太。
もう一人は女癖の悪いソルトだった。
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