第51話 爺ちゃんの協力
爺ちゃんの軽トラのラジオから軽快なテンポの曲が流れている。
爺ちゃんはその曲に合わせて鼻歌を歌って上機嫌だ。
『ルージュの……』なんとかと言う曲で、爺ちゃんの懐メロなのだそうだ。
先日、魔石を提出した分の報奨金が銀行口座に振り込まれ、
まとまった資金ができたので、爺ちゃんと一緒にホームセンターで買い物をすることにした。
ダンジョン第5層界快適化計画のため、必要なものを揃えるのだ。
もちろん、爺ちゃんと相談をしてどういう物がいいかはだいたい決めてある。
爺ちゃんもわからないことは、ネットで検索して調べてきている。
まずは、今まで発電エネルギーに使っていた魔石を全て提出してしまったから、野外での発電方法が重要課題だ。
持ち運び型(ポータブル型)ソーラーパネルで発電し、ポータブル電源に蓄電する。
この方法なら、晴天率が高く乾燥したあの土地でも問題なく使える。
昼間はポータブルソーラーパネルで充電、夜間はポータブル電源で電気を賄える。
あとは、薪を作ってストックしておくことにした。
「ダンジョンで発電すると言うけども、
迷宮探索者はそんなこともさねばねえのか」
「みんながみんな、そうではないよ。
野営するために必要なんだよ」
「ほう、そんなこともするのか。大変だなぁ。たまげだ」
「畑も作りたいから、野菜の苗も買いたいな」
「それなば、買わなくてもええ。
爺ちゃんの弟のところから分けてもらえばええ」
「本当?いいの? ありがとう」
ホームセンターの店内に陳列されているトイレに目が留まった。
今は簡易的に穴を掘ってトイレにしているが、トイレの快適化は重要なポイントだ。
「爺ちゃん、これ、コンポストトイレだって。よさそうだね」
「ダンジョンにトイレはねえのか」
「ないよ。大自然だもの」
「大自然なら、野原で用を足せばいいんでねが?」
「それが、臭いとかあるし、
もし友達が来た時にそれじゃ困るんだよね。
コンポストトイレはいいね。
排泄物は堆肥になるんだって。畑にも使えるじゃん」
「ほう、ええなぁ。へば、それは爺ちゃんが買ってやる」
「嬉しい! 自分で組み立てるからDIYセットで安いやつでいいよ」
「へば、友達が来た時に、
恥ずかしくねえように壁になるものも買ってやるべ」
トイレは自然に優しいコンポストトイレに決まった。
あと不安なのは、飲用水だ。
自分で井戸は掘ったものの、飲むのが不安で、生活用水にしたり、煮沸したりしていた。
「井戸水の水質検査キットだど。
これで検査すればええなでねえが?」
「爺ちゃん、ナイスです。よく見つけたね」
次に、リサイクルショップへ行って、何か使えそうなものを探した。
冷蔵庫が欲しいけど、電力がどこまで食うのか不安だ。
そういえば、俺には小安峡ダンジョンで手に入れた魔石が一個だけ手元に残っている。
小さい冷蔵庫を買って、それに魔石を入れて冷やす方法があるじゃないか。
小型冷蔵庫を爺ちゃんと見ていたら、隣に中古の自動販売機を見つけた。
これは使えそうだ。
俺が居なくても無人販売が可能になる。
絶対、人が増えたらこれは重宝がられる。
リサイクルショップは爺ちゃんの友達が経営しているから、相談しやすい。
「この自動販売機は動くなだべな」
「もちろん動きますよ、最近まで現役でしたから。
でも、こんな中古の自動販売機をペンションに置くんですか?」
「んでねよ、おれの孫がよ。
ダンジョン快適計画だとか何とか言って、これが欲しいんだと」
「ちょっと意味がわからないけど、かわいいお孫さんの為だ。
小型冷蔵庫はサービスでいいですよ」
「あやー、申し訳ねえな」
やったね。
爺ちゃんと買い物しているともれなくお得なモノが付いて来る。
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