不幸少女のシンシアは、親友のドロシーと友達以上の関係になりたい!!!
安珠あんこ
不幸少女のシンシアは、親友のドロシーと友達以上の関係になりたい!!!
【一 不幸少女のシンシア】
私、自分の名前が嫌いだったの。
私のシンシアって名前はパパが付けたんだけど、なんかパパが私を嫌ってたの、薄々感じてたからさ。
それに、結局私はパパに売られてしまったからね。
だから、私、その名前がずっと好きになれなくて。
それで、シンシアって名前で呼ばれるたびに、私はパパに望まれてなかったんだって思い出して、心の奥から悲しみがわき上がってきて、つらかった。
私のパパは、アレスタニアという国の貴族だった。
そして、私のママは、パパのお家で働く奴隷だったの。
アレスタニアの隣にあるリーベルという国から無理矢理連れてこられたみたい。
私はパパの本当の奥さんの子供では無かったから、きっと私に無関心だったんだろうね。
それに、ママは私を産んでからすぐに亡くなってしまったの。
だから、パパのお家で生活していた頃の私は、いつも愛情から遠ざかっていた気がしていたの。
そして、パパは私にとっても酷いことをしたの。
びっくりするかもしれないけど、私はパパに不思議な魔物を私のお腹の中に無理矢理入れられたせいで、私の子宮にその魔物が寄生してしまったの。
その魔物には、魔力を溜める力があって、パパは私のお腹にたくさん魔力が溜まるようにしたかったみたい。
この魔物は私にとっては呪いみたいな存在で、心も体も苦しめられたわ。
だから、当時の私は、自分の置かれている状況に絶望してて、誰とも話さなかったから、まわりからも孤立してて孤独だったの。
それから、パパはお金を稼ぐために私を売ったの。
パパが、私のお腹に魔物を寄生させたのは、私の価値を上げるためだったんだ。
パパにとって私の存在は、お金を稼ぐための売り物にすぎなかったのかもしれないわ。
【ニ ドロシーとの出会い】
パパに売られた私は、「ラズベリークラウン」という名前の冒険者パーティーに買われたの。
そのパーティーは女性だけのパーティーだったけど、私は彼女たちの魔力のタンクとして、まるで奴隷みたいに扱われていたの。
彼女たちは、戦闘中でも、平気で私のお腹から魔力を吸い取っていったわ。
私は戦闘中、女の人の一番大切なところに、魔力が伝わりやすくなる特殊なスティックを常に入れておくように強制されてたの。
そして、彼女たちは、魔力が足りなくなりそうになると、私の……ごめんなさい、ここから先は、私からはとても言えないわ。
とにかく、彼女たちからは、人間としてではなく、魔力のタンクとして、物と同じように扱われていたわ。
私には、半分だけリーベル人の血が流れている。
だから、私の髪はリーベル人特有の銀色だった。
私のパーティーはみんなアレスタリア人だったから、余計に私は人間扱いされなかったんだと思う。
だから、私がこの冒険者のパーティーにいた時は、心の中はずっと孤独な気持ちでいっぱいだった。
彼女たちからひどい扱いをされても、ずっと我慢してたけど、ある日、さすがに耐えられなくなってしまって、夜中にこっそりとパーティーから抜け出したの。
その時に、ひとりの女の子と出会ったの。
その女の子は、私に興味を持ってくれて、優しく話しかけてくれた。
その時は、誰のことも信用出来ないくらい心が傷ついていたから、彼女のことも、最初は疑ってたの。
でも、彼女は私に優しさと思いやりを持って接してくれた。
そして、私の髪の色を見ても、私のことを決して差別しなかった。
だから、私も彼女に心を開けたんだと思う。
彼女はドロシーっていう名前の女戦士で、冒険者だった。
茶色のミディアムボブの髪に、青い色の瞳をしていて、まだ幼さの残る、とても可愛らしい顔立ちをしていたの。
それに、戦士だったけど、身体はまだまだ子供の女の子そのものだったわ。
そして、偶然だけど、ドロシーもお腹に魔力が溜まってしまう体質で困っていたの。
だから、私たちは同じ悩みを抱えた仲間としてすぐに仲良くなったわ。
私の話を聞いた彼女は、私のことを受け入れてくれて、私の過去や苦しみを理解してくれた。
そして、私たちはこの問題を乗り越えるために、一緒に解決策を見つけることを約束した。
この日、ドロシーと出会ってから、私の運命は変わったの。
でもね、その後ドロシーは別の国へと冒険に出ることになって、私たちにはしばらく会えない期間があったの。
それで、ドロシーを待っている間に、運が悪いことに私はラズベリークラウンのメンバーに見つかってしまったの。
彼女たちは、ずっと私のことを探していて、裏社会の人間に懸賞金までかけて捜索を依頼していたみたいだった。
パーティーに連れ戻された私は、彼女たちから、服を全て剥ぎ取られた。
そして、ここではとても言えないような、とてもひどいお仕置きをされてしまったの。
【三 ドロシーが助けにきてくれた!!】
これは後からドロシーに聞いた話なんだけど、彼女は私と別れてから、パルシオンという国で開催されていた特別な儀式に参加していたらしいの。
その国では、過去に他国と大規模な戦争をしていて、その時に叡智の女神様が国に降臨して兵士たちに神の力を分け与えたという伝説があった。
そのおかげで、戦争に勝利したその国では、現在でも女神様役の女性を募集して、兵士たちにその力を分け与える儀式をやっているらしいの。
だから、多くの女性たちが国中から選ばれて、女神様の演者として儀式に参加していたの。
ドロシーも、自分自身をパワーアップするために、女神様の演者として儀式に参加したと言っていたわ。
どうしてその儀式に参加すると彼女が強くなれるのかは私にはわからなかったけどね。
でも、ドロシーの言ったとおり、その儀式に参加してから、ドロシーの身体から信じられないほどの生体エネルギーが生成されて、彼女はとても強くなれたの。
その結果なのかどうかはわからないけれど、彼女の身体は急激に成長して、まだ子供の女の子みたいな見た目だった彼女は、大人の女性みたいになっていた。
そして、ドロシーは私のもとに駆けつけてくれた。
私の所属していたラズベリークラウンは冒険者の間ではそこそこ有名だったから、冒険者の彼女はギルドに問い合わせて、私の居場所を調べてくれていたの。
彼女は、私の苦しみを目の当たりにして、私を救いたいという強い思いに駆られていたんだって。
だから、強くなりたかった。
私を守れるだけの力が欲しかったんだって。
そう言ってくれたの。
それを聞いた時、私、とっても嬉しくて、ポロポロと涙がこぼれてしまったわ。
そして、私は彼女のことがさらに好きになったのよ。
ドロシーは、私を助けるために、ラズベリークラウンのメンバーたちに戦いを挑んだの。
ドロシーがメンバー全員に勝ったら、私をギルドから解放するっていう条件でね。
代わりに、ドロシーは冒険で手に入れた翡翠の涙っていう、ものすごく貴重なアイテムを賭けたので、パーティーのメンバーはすぐにこの条件をのんでドロシーと勝負を始めたの。
ラズベリークラウンには冒険者の間ではそこそこ名の知れたメンバーが揃っていたんだけど、ドロシーはあの儀式で信じられないくらいパワーアップしていたから、彼女はパーティーのメンバーたちが認識出来ないくらいの速さで攻撃して、あっという間にメンバーたちを行動不能にしてしまったの。
そして、ドロシーは私を解放してくれただけじゃなくて、私をいじめたメンバーたちに、お仕置きをしてくれた。
ドロシーは、彼女たちに服を脱がさせて、犬みたいに四つん這いで街中を歩かせたの。
街中の人たちに恥ずかしい姿をみられたメンバーたちは、みんな心が壊れてしまったみたいだけど、私は彼女たちにもっともっと酷いことをされてきたから、かわいそうだなんて思わなかったわ。
こうして、私はドロシーのおかげで、パパに売られた冒険者パーティーから解放されたの。
【四 ダンジョンでデートした】
ドロシーのおかげで自由になれた私は、ドロシーと二人で冒険に出ることに決めたの。
前に話したとおり、ドロシーは例の儀式に参加したおかげで、身体が急激に成長して、戦士として必要な能力が信じられないほど強化されていたわ。
だから、私たちの冒険は、足手まといの私がいても順調に進んでいったの。
ドロシーは私と出会う前に女神様から、色んなモンスターを討伐することを命じられていて、そのための討伐モンスターのリストを持っていたの。
女神様と知り合いだなんてすごいよね。
だから、私たちは力を合わせて、リストに載っているいろんなモンスターを見つけるために、さまざまなダンジョンに挑むことにしたの。
まず、私たちは、珍しいモンスターのすみかとして知られている夢幻迷宮というダンジョンに挑戦することにしたの。
その名前のとおり、夢幻迷宮の内部は迷路のようになっていて、とても危険なダンジョンとして有名だった。
けれど、私はドロシーと一緒だったから、少しも怖くなかった。
さすがに有名なダンジョンなだけあって、ダンジョンの内部には外の世界ではみたこともないような強力なモンスターがたくさん待ち構えていたの。
私は、ドロシーをサポートしながら、魔法を使って戦っていった。
私は、魔法使いでは無いけれど、あのパーティーにいた時に、無理やり魔法を覚えさせられていたから、普通の魔法使いが使うような基本魔法はだいたい使うことが出来たの。
それに、私のお腹の中にいる魔物が魔力を吸収するから、私には魔法攻撃が効かなかったの。
モンスターと戦ってる最中はとても緊張したけど、戦闘が終わってから、ドロシーはにっこり微笑んで、私の手を握ってくれたの。
その時に、私は本当に嬉しくて、本当にドロシーを愛おしく思ったわ。
そして、私たちは手を繋いだままモンスターと戦って、ダンジョンの奥へと進んでいったの。
ドロシーは、ダンジョンの探索中、私が無理をしないように早めに安全な場所を探してくれた。
そして、私が回復するまで、一緒に休憩してくれたの。
休憩中、ドロシーはずっと私を優しく抱きしめてくれたんだ。
ハグされている間、私はとても気持ちよくて、彼女の大きな胸に顔を埋めながら彼女の温もりを感じていたの。
この時の私は、とても幸せを感じていたわ。
この世界にこんなに幸せがあったなんて知らなかったから。
私を幸せを教えてくれてありがとう。
大好きだよ、ドロシー。
【五 古代竜との激闘】
例の儀式のおかげで、ドロシーは信じられないほど強くなっていたので、私たちはこのダンジョンをさくさく進むことが出来たの。
ダンジョン探索中に、私たちは討伐リストのモンスターをいくつか発見して、無事に倒すことが出来た。
この討伐リストは特殊な魔法がかけられているようで、対象のモンスターを倒すと、自動で印が書き込まれる仕組みになっていたわ。
ダンジョンの中には、罠が仕掛けられていた部屋もあったけど、私たちは慎重に罠を回避しながら探索を進めて、貴重なアイテムを手に入れることも出来たの。
そして、私とドロシーはこのダンジョンの最奥で古代竜と呼ばれているドラゴンと出会ったの。
そのドラゴンは黒竜の王とも呼ばれていて、この規模のダンジョンには不釣り合いな伝説の古代竜だった。
だから、私たちの想像していたよりもはるかに強くて、私たちは苦戦してしまったの。
黒竜の王の攻撃はとても凄まじくて、ドロシーは私を守りながら戦ってくれていたから、あれだけ強くなったドロシーも防戦一方になってしまったの。
だから、私は必死に黒竜の動きを見続けながら、何度も何度も頭の中でその動きをイメージした。
そうして、自分がどう動けば黒竜の攻撃をかわせるか何度も考えながら、ずっとイメージし続けたの。
そうしているうちに、私は何度か倒れそうになったけど、その度にドロシーが私の身体をハグして勇気づけてくれたの。
そして、ドロシーと手を握りながら戦うことで、彼女の手を通して私の身体に彼女の生体エネルギーが流れ込んでくるのを感じた。
彼女がくれた生体エネルギーのおかげで私は強くなっていったみたいで、次第に黒竜の攻撃スピードに身体がついていけるようになっていたの。
自分の頭の中のイメージにだんだん身体の動きが近づいて、重なっていくのを感じたわ。
そうして、ようやく黒竜の攻撃をかわすことが出来るようになったの。
それからはドロシーが攻撃に専念できるようになって、徐々に形勢が逆転していったの。
黒竜との命の奪い合いの末に、ついに、ドロシーは黒竜の王の首を跳ねることに成功した。
そして、私たちはお互いの身体を抱きしめあって、しばらく身体を休めてから、ダンジョンの出口を目指したの。
夢幻迷宮の名前のとおり、このダンジョンは無限に続くような迷路で出来ていた。
でも、ダンジョンの主と名乗る青い髪の少年が現れて、私たちを出口まで導いてくれたの。
私たちが、何者かがこのダンジョンに召喚した古代竜を倒したお礼だと言っていたわ。
このダンジョンの主も、黒竜の王が居着いてしまって困っていたみたいだったの。
ダンジョンからの脱出に成功した時、私たちは胸がいっぱいになりながら、お互いの手を握り合ったわ。
ドロシーのおかげで、私はこのダンジョンをなんとか攻略することが出来たの。
そして、私たちは黒竜の王との厳しい戦闘の中でレベルアップしていて、新たな技や魔法を習得することが出来た。
最初の試練を乗り越えた私とドロシーは、これからも一緒にダンジョンに挑戦しようと決めた。
私たちの絆はとても強くなって、私はドロシーのことがますます好きになっていったの。
【六 覚醒した魔物と悪夢】
その後も、ドロシーと一緒に冒険していたんだけど、ある日、私はとても深刻な状況に陥ってしまったの。
私も、ドロシーから生体エネルギーを分けてもらったおかげでパワーアップしたんだけど、そのせいで、どうやら私のお腹の中にいる魔物も覚醒してしまったみたいで、覚醒した魔物は、私の身体に、ここでは言えないようなイタズラをするようになってしまったの。
そうやって、私を気持ちよくさせることで、私の身体からたくさんの生体エネルギーが生成されて、その生体エネルギーを使って魔物自身が成長出来ることに気づいてしまったからみたい。
そして、その頃から私は悪夢にうなされるようになったの。
その夢の中では、全身から無数の触手を生やした私と、生体エネルギーを一気に解放して全身をオーラで包まれたドロシーが戦い続けていて、最終的には二人とも命を落としてしまうの。
夢の中の私はお腹の中の魔物と完全に一体化していて、まるで魔族のような姿をしていたわ。
その私は、完全に魔物に身体を乗っ取られていた。
そして、夢の中のドロシーはそんな私を元に戻すために私と戦ってくれていたの。
夢にしてはあまりにもリアルで、こんなことが現実になったらと思うと、本当に嫌で嫌でぞっとしたわ。
これって、私のお腹の中の魔物の影響で、そう遠くない私たちの未来のビジョンが流れ込んできてるのかしら?
とにかく、私とドロシーが殺し合って、お互いに命を落とすだなんて、そんなの絶対に嫌だったから、私は魔物に完全に身体を乗っ取られる前に、お腹の中の魔物を取り除く決意をした。
けれど、私の心の奥底には、また別の願いがあったの。
【七 ごめんね、ドロシー】
そんなわけでドロシーと私は、私のお腹の中にいる魔物を取り除く決心をした。
ドロシーは以前にエリシャっていうエルフの先生からいろんなことを学んでいたから、私の身体から魔物を取り出す方法を考えてくれたの。
私のお腹の中にいる魔物は強い生体エネルギーに反応するから、ドロシーが、彼女の生体エネルギーを私のお腹の中に直接流し込んで、魔物を外に誘き出すことにした。
まず、私たちはドロシーの生体エネルギーを私の魔物に感知させたの。
そのために、以前私が使わされていた、魔力を伝えやすくするスティックを使ったの。
そのアイテムは、生体エネルギーを伝えることも出来たからね。
そのスティックで、私とドロシーのお腹を繋げて、直接ドロシーの生体エネルギーを私のお腹に流し込んでもらった。
詳細はとてもここでは言えないような恥ずかしい方法だったけど、それしか方法が無かったから仕方がなかったの。
この特殊なスティックには、許容量以上の生体エネルギーや魔力が流れると、溶けて液体になる性質があった。
それで、私のお腹の中の魔物が動き出したのを確認したドロシーは、大量の生体エネルギーを一気にスティックに流し込んで、スティックを溶かしたの。
スティックが溶けてからすぐに、ドロシーの生体エネルギーを感じ取った魔物が、私のお腹の中から這い出してきた。
そして、その魔物がドロシーのお腹の中に入り込もうとするところを、ドロシーが捕まえる作戦だった。
だけど……。
何故かドロシーは魔物を捕まえずに、そのまま自分のお腹に魔物を寄生させてしまったの。
そして、ドロシーのお腹の中にある生体エネルギーを吸った魔物はさらに覚醒してしまって、ドロシーは魔物と完全に一体化して、人間の姿ではなくなってしまった。
そして、ドロシーはそのまま私の身体を押し倒した。
彼女は私のことをたくさん抱きしめて、たくさんキスして、私の全てを愛してくれた。
それから、彼女はずっと私を愛してくれたのよ。
それはね、あの魔物がドロシーに寄生した時に、私をもっともっと好きになるように彼女の心を操ってくれたからなの。
私は長い間、親友のドロシーと友人以上の関係になりたいと思っていた。
でも、私たちは女の子同士だから、そういう関係になるのは困難だってことは、知っていた。
だから、私は無意識のうちに、自分のお腹の中に取り憑いた魔物に、自分とドロシーが一緒になれるようにってお願いしていたみたいなんだ。
ごめんね、ドロシー。
【八 女神様がやってきた】
こうして、魔物と一体化して人間を越えたドロシーは、私のために新しい世界を作ろうと提案してくれたの。
もちろん私は賛成したわ。
でも、そんな私たちの前に、この世界を管理している叡智の女神がやってきた。
叡智の女神はドロシーを心配して、彼女を助けにきたとか言い出したの。
そして、叡智の女神はとんでもないことを語り出した。
女神は、ドロシーは自分が作り出した存在だと告白したの。
女神によると、ドロシーの元の人間はローラという異世界からの転移者だった。
けれど、彼女は不治の病に侵されてしまった。
それで、彼女は女神様に頼み込んで、新しい自分の身体を作り出してもらってその身体に転生してもらったの。
それが今のドロシーの正体で、そしてドロシーは、少しだけローラの記憶を受け継いでいるらしい。
ドロシーはそれが自分自身の記憶だと思っていたみたいだけど。
女神は、確実に転生を成功させるために、ドロシーを自分自身の子宮で成長させたみたい。
だから女神は、ドロシーは自分の娘で、私は彼女のママなの、なんておかしなことを言い出したの。
そして、魔物を取り除いて、元の身体に戻してあげると提案してきたの。
でも、その話を聞いても、ドロシーは鼻で笑っていたわ。
そしてドロシーは、私のために新世界を作るから、元に戻るつもりはないと女神の提案を拒否したの。
それを聞いた女神は、微笑みながら、少しお仕置きが必要みたいね、みたいなことをつぶやいて、ドロシーに攻撃を仕掛けてきたの。
そのまま、ドロシーと女神は戦いを始めてしまった。
ドロシーはかつて私が夢で見た時の私みたいに、全身から触手を出して、女神を攻撃したの。
でも、叡智の女神は流石に強くて、魔物と完全に一体化したドロシーでも、徐々に押されて劣勢になってしまったわ。
そして、ドロシーは女神の持っていた杖でお腹を激しく突かれて、倒れ込んでしまった。
「マズい、私がドロシーを守らないと!!!」
そう思って私は、倒れたドロシーに近づいてきた女神にありったけの魔力をぶつけて一瞬の隙を作ったの。
その隙を見逃さなかったドロシーは触手を使って彼女を攻撃した。
でも、女神はその攻撃をかわしてしまった。
そのまま女神に捕まったドロシーは、お腹の中の魔物を消されて元の姿に戻されてしまった。
そして記憶を消されてしまったの。
「ちっ、また勝てなかったか……」
私は女神を睨みつけると、ドロシーと出会った頃に戻りたいと強く願った。
そして、私は、あの冒険者パーティーにいた頃まで時間を巻き戻したの。
これが私の能力。
私が過去に戻りたいと強く願うことで、時間を巻き戻すことが出来る。
逆に一度経験した出来事ならそこまで時間を一気に進めることも出来るの。
次は絶対に負けない。
そのためにはもっと私のお腹の中の魔物を強化しないと。
だから私は、わざと私の一番大切なところを触って、魔物に生体エネルギーを与え続けたの。
こうすることで、私の身体の中で沢山の生体エネルギーが生成されて、お腹の中の魔物が強化されることを知っていたからね。
そして、十分に魔物が成長したことを確信した私は、時間をドロシーが女神を攻撃した時点まで進めた。
今度は、私に寄生していた魔物が強化されていたおかげで、ドロシーの触手が女神の急所にヒットしたの。
【九 女神様をやっつけた!!!】
女神はドロシーに触手で攻撃されても余裕な感じだったけど、ドロシーはそのまま触手で彼女から女神の力の源である、神聖なエネルギーを奪っていったの。
女神は、最初は余裕なそぶりをみせていたけど、ドロシーに攻撃されながら、神聖エネルギーを奪われていくうちに焦り出したのか、どんどんうろたえはじめたの。
そして、神聖エネルギーを奪われて弱体化した女神は、ドロシーに触手で全身を拘束されて、神聖エネルギーを吸われ続けたの。
ドロシーに攻撃されるたびに、女神は悲鳴をあげながら、全身を震わせていたわ。
最初はかわいい悲鳴だったけど、だんだんおばさんみたいな低い声に変わっていったから、正直耳障りだったの。
この神聖なエネルギーは彼女の女神としての力の源だったみたいで、神聖エネルギーを奪われていった彼女の身体はみるみる衰えていったの。
あんなに綺麗な女神様だったのに、神聖エネルギーを吸われてからは、見た目もおばさんのようになってしまって、がっかりしたわ。
きっと、神聖なエネルギーを使って若作りをして、歳を誤魔化していたんだろうね。
最後は、あの低くて耳障りなおばさん声で叫び声をあげながら、倒れこんで動かなくなった。
こうして、女神から神聖エネルギーを吸収し尽くしたドロシーの身体はさらに進化して、背中から天使のような白い羽根が生えてきたの。
きっと、ドロシーが神と等しい存在になった証なんだわ。
ドロシーがこの世界の新しい女神になったのよ。
そして、元の女神様はドロシーが魔法で石化して女神像にしてしまったの。
ドロシーが特別サービスでおばさんみたいな見た目を元の綺麗な姿に戻してから女神像にしてあげたから、彼女も喜んでいるんじゃないかしら。
こうして、女神にようやく勝利できた私とドロシーは、この世界を私たちの世界に作り変えていくことに決めた。
でも、私たちはこの世界を作り変える前に、この世界のことをもっと知っておく必要があると思ったの。
だから、私たちは、世界を作り変える前に、この世界の歴史を詳しく調べることにした。
この世界には、モノリスと呼ばれている金属製の柱のモニュメントが各地に存在するの。
この柱は、何者かがこの世界の歴史を記録するために設置していたみたい。
ドロシーは、以前の女神から神聖エネルギーを奪った時に、知識と記憶も同時に奪っていた。
だから、こういうことも知っていたのね。
もしかすると、この世界には、私たちよりも上位の存在がいるのかもしれない。
だから、このモノリスに記録された情報を調べることで、この世界の神になった私たちよりも上位の存在がいたら、コンタクトを取れるかもしれないと考えたの。
とにかく、ようやく私の願いが叶ったから、世界を作り変えたら、ドロシーとの時間を大事に生きようと思う。
今はシンシアって名前、大好きよ。
だって大好きなドロシーがいっぱい呼んでくれたんだもの。
◇◇◇
「あー、絵梨奈さん、せっかくあなたの世界を作って女神にしてあげたのにー。やられちゃいましたかー。ま、仕方ないですねー。じゃ、もうこの世界は必要ないし、壊しちゃいますかねー」
緑色の髪をなびかせながら、巫女のような格好をした少女がつぶやいた。
不幸少女のシンシアは、親友のドロシーと友達以上の関係になりたい!!! 安珠あんこ @ankouchan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます