第1章 生徒会室での雑談②

「結衣ちゃんって言ったか。待てよ。一年生の天才、桜澤結衣(さくらざわ・ゆい)のことか、もしかしてー」

 奏は急に何か思い出したみたいだ。


「天才なのか?」


 廉はつい、身を乗り出してしまう。


「絵と造形の天才だぞー。俺の通ってた中学校は芸術系の部活が盛んでな。美術部も例外なく活動熱心だった。そこの部の中でも突出した才能で、都内の画廊で昨年、ひとりの展覧会開いたんじゃないかな」


「都内? まさか銀座とかか?」


「いや。画廊は人形町だったかなー。あまりパッとしない個人画廊ではあるんだけどさ。なんか、大きな白いキャンバスに青い絵の具で、子供が殴り書きしたような絵。一言で言うなれば」


 廉はそれ以上のことをどうしても奏に聞き出したかったけれど、奏は急に意地悪になった。


「そんなに聞きたきゃ、本人に直接聞いてみろよ!」


 奏が勝ち誇ったように笑ったところで、昼休み終了五分前のチャイムが鳴った。

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