36、庭
三人で外に移動すると、正人くんは庭に降りて、ぬっぺぽふさんと何やらごそごそしていた。
「話の途中でいなくなるもんじゃないと思わない?」
「あぁ、ごめんごめん。呼ばれたものだから。取り込んでたし、僕がいなくても結論は出そうだったし」
むっつりした声の花子ちゃんに、正人くんがのんびりした声を返す。
「結論は出たんでしょう?」
「出たわよ。それで、呼ばれたって、その子に?」
「そう。この、えぇと、ぬっぺぽふさんはすごいね、ものすごいスピードで文字を覚えちゃったみたいだよ」
「もう文字覚えちゃったの!?すごい!」
幽霊さんの言葉に、正人くんが微笑んだ。
「あなたのため、みたいだよ」
「私?」
幽霊さんがぬっぺぽふさんを見て、ぬっぺぽふさんはこっくりと頷いた。それから手に持った棒で、地面を削り始める。ゆっくりと書かれる言葉は少しだけ震えていたけれど、ちゃんと読めるひらがなだった。
『いつもあかるいゆうれいさんがすきです なかよくしてね』
ゆっくり字が書かれていく間、じっと黙って地面を見続けていた幽霊さんは、ぬっぺぽふさんが顔を上げてお辞儀のような動きをした瞬間に、ぬっぺぽふさんに飛びついた。
「わーん嬉しい!嬉しいよー!こっちこそ仲良くしてね!」
幽霊さんに抱き着かれて、ぬっぺぽふさんはぱたぱたと手を動かす。それからぎゅっと前に動かして、幽霊さんの体にちょんと触れた。
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