27、マヨイガ

 マヨイガ。何だか豪華な家。誰でもたどり着くことができるわけじゃなくて、たどり着くことができた人は、そこにあるものは何でも持って帰っていいっていうそんな話。を、話に聞いたことはあったけれども、行ったことはもちろんない。

「行こうと思って行けるものなの?」

「あたしも行ったことはないけど、さっきの人ににおいがついてたから、たどっていけば大丈夫だと思うわよ。あたしも虎郎もヒトじゃないし、そうそうシャットアウトはされないわよ」

「僕もいるんだけど」

「正人なんて誤差よ」

「誤差かぁ」

 時折きょろきょろしながらも、花子ちゃんは迷いのない足取りで進んでいく。ぼくと正人くんは黙って花子ちゃんについていく。


 しばらくそうして歩いていると、さぁっと目の前が晴れるような、そんな感覚がした。視界が何かで遮られたりはしていなかったと思うんだけど。

 そして目の前に現れたのは、小さな川とそれにかかった木の橋。その向こう側に、真っ白な壁が輝いて、真っ黒な柱が艶やかな大きい家が建っていた。

「あれ、お客さんだ」

 縁側に女の人が座っていて、その人がこっちに気づいて立ち上がる。その足元はぼやけたようになっていた。幽霊さんだ!

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