25、報酬

「は!ほうしゅう!」

 幸せそうに、反芻するように、しばらく口をもぐもぐさせていたカガミちゃんだけど、はっと目を見開いて起き上がった。そのまま立ち上がって、うーんと腕を組む。

「お魚何が好きです?ふなかな?どじょうかな?ヒトはあんまり食べないかな?あゆとかやまめ?ちょっとむつかしいですね」

 カガミちゃんの声に応えるように、池がぐるぐる波立つ。

「あ、あれがいいですね。よいしょ」

 かがんだカガミちゃんが、花子ちゃんの使っていた釣竿を手に取る。そしてひょいと振りかぶってひょいひょいひょいと三回。それだけの動きで、クーラーボックスには魚が詰め込まれた。

「うわ、鰻だ」

 正人くんが小さな声で言う。

「うなぎ、ほうしゅう!でっかくておいしいよ!」

 カガミちゃんがえへんと胸を張る。花子ちゃんがにっこり笑って、カガミちゃんの頭を撫でた。

「ほんと、立派なうなぎね。ありがとう」

「カガミがありがとう!すっごいおいしかった!まんぞく!また来てくれたら、もっとまんぞく!」

「……まぁ、たまになら、来れると思うよ」

 花子ちゃん、それからぼくの視線を受けて、正人くんが苦笑気味にそう言う。カガミちゃんは、やったー!とばんざいして飛び跳ねた。

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