13、お池にはまって

 たどり着いた池は、まぁまぁの広さだった。ほとんど濁りもなくて、底がよく見える。

「ぼくが飛んで中を覗いてこようか?」

「それが一番早いかもね」

 花子ちゃんが頷いたので、ぼくはふわふわ浮いて、池の上を飛んだ。大体この辺り、とはやてくんが教えてくれたところをぐるぐる回る。池の底には色んなものが落ちていた。赤や青、黄色の、ボールや棒みたいなものや、フリスビーっぽいものもある。カラフルな色のついたものは目につくけど、元が白い野球のボールとあっては、なかなか見つからない。多分茶色く汚れてしまっているだろうし、砂がかかっちゃったらさらに見づらいよなぁ。

 鼻がくっつくくらいに水面に顔を近づけて、池の上をぐるぐる飛ぶ。割れた瓶のかけらがきらきら光っている。隙間に小さな魚が泳いでいる。

 その中にようやく、半分くらい砂に埋もれた白っぽいボールが見えた。少し色あせているけど、赤い縫い目も見える。

「あったよ!」

 顔を上げると、岸からは結構遠くまで来ていた。思っていたよりずいぶん流されてしまっていたらしい。はやてくんが目を輝かせた後自分の足元と見比べて暗い顔になって、正人くんが腕を組む。花子ちゃんも、考え込むようにぼくと岸とを見比べていた。

 ぼくももう一度ボールを確認して、うーんと考える。結構深い場所にあるこれを、どうやって取ろうか。

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