8、お仕事
ごはんを食べ終わったら、正人くんはお仕事の準備があるからと一階に降りて行った。
「正人くんは何のお仕事をしているの?」
「書道の先生」
「そうなんだ。じゃあ一階が教室なんだね」
「そうよ」
ここに連れてきてもらったとき、まっすぐに二階に上がったから何でだろうなと思っていたけど、そういうことだったんだね。
しばらくすると、下の階から人の声が聞こえてきて、しばらく何やら盛り上がった後また静かになった。
「生徒さんが来たの?」
「多分そうだと思うわ」
花子ちゃんがそう言って、ぼくの頭を抱える。
「どこか行くの?」
「仕事場」
花子ちゃんに抱えられて、連れてこられたのは寝室だった。布団はきちんと片付けられているのでまぁまぁ広い。昨日は気づいていなかったけど、大きなくまのぬいぐるみが座らせてあって、ぼくはその足の間に置かれた。
くまはもし立ち上がったなら花子ちゃんよりちょっと小さいくらいの大きさだ。ふかふかの体が気持ちいい。
花子ちゃんが押し入れから小さなテーブルを取り出して、部屋の真ん中に据えた。窓を開けて、手に持っていた何かを外に引っ掛けるような仕草をして、それからテーブルのところにちょこんと座る。
えー?寝室が仕事場なの?本当に?
「うるさいわよ。虎郎」
「何も言ってないよぅ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます