七不思議の八番目

@comingant

七不思議の八番目

彼のことを思い出してほしい。

七節 広未くんのことを。




これは不思議な不思議な七不思議の物語。

とある学園で起きた、

今も続く不思議な不思議な物語。


その学園では少女と少年、

2人がとあるクラブを していました。

小学四年生の2人は、人助け部を自称し、

学園の悩みを解消するために毎日、

人の為に過ごしていました。


人の役に立ちたい、という高尚な気持ちがなかったわけではありませんが、

2人で一緒に過ごし、誰かを助けて、

誰かが笑う瞬間を見るのが好きでした。

謎解きをするのと同じようなものと言えるでしょう。


一年たち、二年たち、小学6年生になった頃、

少し、彼らの立ち位置は変わっていました。


学園の中で起きる事件が、オカルトに傾倒し、

彼らもそれに引きずられるようにオカルト専門のようになっていました。


いくつもの七不思議と出会い、

解決していく中、

遂に、少女は全ての七不思議と出会ってしまいます。


七不思議の7番目。

七不思議全てと出会った人間は、

7日後に死ぬ。


少年は、呪いを解くために駆け回りました。

ですが、呪いを解く方法は見つかりません。


そして、最後に、少年は辿り着きました。

七不思議全てと出会ったら死ぬのであれば、

七不思議全てに出会えていない状態にすれば良いのだと。


彼は、七不思議の八番目になることを決意しました。

幸い、七不思議の条件は整っていました。

人々に噂されていること。

これは少年が学園の事件を解決してきたことで、十分に満たしています。

学園の七不思議がまとめられたノートに彼は自分の特徴を書き、

屋上から身を投げました。


七不思議の八番目。

困っているところに現れて、

解決をしてくれる少年がいる。


8日目。

少女は死にませんでした。

彼女は七不思議全てに出会っていないのですから。


そして時は経ち、10年ほど。

少女は女性となりました。

そしてこの学園に戻ってきます。

彼女は何か、大切な人との約束を忘れたまま、

教育実習生としてやってきました。

もう2度と、大切なものを無くさないために。

何かを取り戻すために。


実習生になった彼女と、

七不思議の八番目になった彼は出会わずに、

新しい七不思議事件を解決していきます。


ですが、遂に出会ってしまいます。

もう、七不思議を増やすことはできません。


そんな中、実習生の彼女と、

私たちは過去に戻る鏡を使い、

過去を改変することを決意します。


私たちは、いろんな困難を乗り越えました。

痛くて苦しくて、

何かを失った・・・ような気もするし、

すんなりと解決した!そんな気もします。


でも、それはまだ思い出さなくても大丈夫。


私たちは、成し遂げました。


そして、時は経ち、

2人の実習生がやって来ます。

大きくなった少年と少女の2人でした。


そして、そこには、

七不思議の八番目として

いつも私たちを助けてくれた少年の姿もありました。

七不思議のノートの中には彼についても、

もちろん書かれていましたし、

私達は彼のことを信じていました。


それ故に、彼は七不思議の八番目として、

この世界に生まれたのでした。

少女に対する罪悪感ではなく、

単純に、心の底から楽しむ為に、

彼は七不思議の八番目としてここにいます。


きっと困ったことがあれば、

また、来てくれます。

貴方もまた、彼の後輩なのだから。

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