25 灯り
「あおくん!」
よし子さんの家に近づいたところで、明るい声をかけられて振り返る。みちるさんがぴょんぴょん跳ねながらこっちに近づいてきていた。
この間別れた時は、髪飾りを汚してしまってすごく落ち込んでいたから、いつもの明るいみちるさんの姿に安心する。
「あおくん!きれいになったよ!」
ぴょんぴょん跳ねるみちるさんの髪には、椿の飾りがついていた。きれいに洗って、よし子さんに乾かしてもらっていたもの。
「本当だ。良かったねみちるさん」
「うん。良かった」
僕の前まで跳ねてきたみちるさんを抱える。
「うん。やっぱり似合ってるね」
「ほんとう?ぬへへ。嬉しいな」
まん丸の目を細めて笑うみちるさんの目の中に、光を見た気がして、僕は思わずみちるさんをじっと見つめてしまった。
「あおくん?」
「あ、ううん」
ぱちんと瞬いたみちるさんの大きな目と目が合って、僕は慌ててみちるさんを抱えなおす。
「みちるさんは、他に好きな花とかある?」
「好きな花?そうだなー」
みちるさんの目の中には、きっと、星がある。僕たちを照らしてくれて、少しだけ暗くなってしまうことはあってもきっと消えることのない。そんな、星がある。
みちるさんの声を聞いていると、みちるさんのきらきら輝く星が胸に浮かんできて、ほんの少し、むずがゆいような気持ちになる。
みちるさんがいつも、きらきら目を輝かせて笑ってくれていたらいいなって。そんなことを思った。
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