7 まわる

 それから、僕は時々、よし子さんのおうちを訪ねて、みちるさんに会うようになった。みちるさんはハウスの中にいたり、山の中にいたり、よし子さんのおうちの中にいたりして、僕が訪ねていくと、ふわふわ笑ってふわふわ話をしてくれた。

 みちるさんは基本的に、くるくる前転するように移動する。僕を見つけて、ぱっと笑って、くるくる回ってこっちに来てくれるみちるさんは、何だか可愛い。

 くるくる回って僕のそばに来たみちるさんを、僕は髪を整えてあげてから持ち上げる。普段はそうやって、みちるさんは僕に抱えられて移動する。人の体の中だと、首って結構重たいって聞くけれど、想像するよりみちるさんは軽い。「脳がつまってないんだよ。きっと」なんてみちるさんは言うけど、そんなことはないと思う。

 坂道になっていたりすると、みちるさんは跳ねるようにして歩く。歩く?足はないけど、どうやって動いてるの?って聞いたことがある。

「何かねぇ、首を、ぎゅってするでしょ。それで、よいしょってするとくるくる回るし、えいってすると跳ねるからそれで歩くの」

 みちるさんの説明は、何だかよく分からない。

「あおくんも、やってみたら分かると思うよ」

「やってみたら……」

「やれないと思うけど」

 うん。多分、やれないと思うな。

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