7 まわる
それから、僕は時々、よし子さんのおうちを訪ねて、みちるさんに会うようになった。みちるさんはハウスの中にいたり、山の中にいたり、よし子さんのおうちの中にいたりして、僕が訪ねていくと、ふわふわ笑ってふわふわ話をしてくれた。
みちるさんは基本的に、くるくる前転するように移動する。僕を見つけて、ぱっと笑って、くるくる回ってこっちに来てくれるみちるさんは、何だか可愛い。
くるくる回って僕のそばに来たみちるさんを、僕は髪を整えてあげてから持ち上げる。普段はそうやって、みちるさんは僕に抱えられて移動する。人の体の中だと、首って結構重たいって聞くけれど、想像するよりみちるさんは軽い。「脳がつまってないんだよ。きっと」なんてみちるさんは言うけど、そんなことはないと思う。
坂道になっていたりすると、みちるさんは跳ねるようにして歩く。歩く?足はないけど、どうやって動いてるの?って聞いたことがある。
「何かねぇ、首を、ぎゅってするでしょ。それで、よいしょってするとくるくる回るし、えいってすると跳ねるからそれで歩くの」
みちるさんの説明は、何だかよく分からない。
「あおくんも、やってみたら分かると思うよ」
「やってみたら……」
「やれないと思うけど」
うん。多分、やれないと思うな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます