第2話

翌日。朝食を食べ終わった由香は島を散策することにした。島に来るのは初めてで、高くそびえ立つ灯台や軒先に飾られた、島の特産であるたこを入れるためのタコつぼなど全てが新鮮だった。しばらく歩くと工房を見つけた。どうやら貯金箱を貝殻で飾り付ける体験を行っているらしい。中で5人の男女と店員さんが作業を行っていた。その店員さんをみた時に由香はどきりとした。すらっとしたイケメンでお客さんに向ける笑顔はとても温かい。店員さんは由香を見つけるとうれしそうな顔をした。

「お客さんですか? まだ始まったばかりなので良かったら一緒にどうですか?」

「良いんですか?」

「もちろん」

箱には色とりどりの貝殻が入っている

「では、貝殻を7個選んでください」

由香は迷った末に気に入った貝殻を7個選んだ

「次にこの紙粘土で作った貯金箱に貝を貼り付けていきます」

紙粘土でできた貯金箱は素材を活かすように純白だった

「スチール缶やアルミ缶じゃないんですか?」

「せっかくなので貯金箱は私が手作りしています」

「すごいですね」

木工用ボンドで貝を貼り付けていく

「この島には母の都合で来ているんです。初めてだから新鮮で」

「そうなんですね。たこ焼きとか好きですか?」

「好きです」

「私も好きで。特にこの島のたこ焼きは美味しいですよ」

「たこ焼き良いですよね。今度食べてみます」

「ぜひ」 

そんな話をしているうちに貯金箱が完成した

「うまくできましたね」

「ありがとうございます」

「では、持って帰って頂いて結構ですよ」

店員さんは急にあることを思い出した

「明日、近くの学校の体育館でドッチボールをやるんですが、一緒にどうですか?」

「やりたいです」

「では、一緒にやりましょう」

それから由香は店員さんにあいさつをして工房を後にした。








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