第24話 おとりさくせん
「...改めまして、王事務所の王了一と申します」「助手です!」
「...本庄圭です」「菅原玲です...」
「言わなくても分かるとは思いますが、実は僕は菅原玲さんのご両親に頼まれてあなたを探しておりました」
「...はい」
「ん?その反応、俺たちの存在は知ってたのかな?」
「...はい」
「であれば、話が早いね。君には今二つの選択肢がある。このままご両親のところに戻るか?それとも...助けを求めるか」
「...助けてください...って言ったら助けてくれるんですか?」
「それは君次第だ。君が本気でそれを望むなら私たちもその本気に応える。それだけさ。けど、君には危険が迫るだろうし、もちろんからにもね?その覚悟があるかい?」
「...私一人ではダメですか?」
「玲ちゃん、何言ってんの?俺は君の彼氏だよ?何があっても協力する」
「でも...、警察も児童相談所も...先生も...圭さん以外は誰一人私を助けてはくれなかった。なのに...」
「それは全てが君の両親の息がかかった人間だからだ。もちろん、俺たちだってそうではある。けどね、それでも信じて欲しいんだ」
「...信じるって...」
「必ず君を助けてみせる。あの地獄から」
「...なぜ、協力してくれるのですか?ここで玲ちゃんを捕まれば報奨金も入ってきて万々歳ではないのですか?」
「我々はただの個人事務所の探偵ですから。私が求める正義のためにやっているです。お金の目的ではない。特に今回の件に関しては特に闇を感じた。だからこそ、この手で解決したい。それだけです」
「...考える時間をいただけませんか?」
「...我々の契約もありますから。もし、時間が長引けば他の探偵に頼む可能性もあります。くれぐれも早めにご決断いただきますよう、お願いしますね」
不安と緊張で味のしなくなったコーヒーを一口含むのであった。
◇
「...どうしますか?」
「玲ちゃんはどうしたい?このまま逃げてもきっと捕まる...。捕まったらもう逃げられないかもしれない。それならいっそ戦おうよ。戦って...そうしてしあわせな時間をつかむことこそ俺たちがやることなんじゃないかな」
「...そうですね。ずっと逃げ続けるなんて嫌だ。真っ向から戦いたい」
「...うん」
そして、意を決して翌日すぐに連絡を入れて具体的な案が練られ始めるのだった。
それは囮作戦であった。
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