第17話 少しだけ大人な朝

 してしまった...。と、朝起きてから少しだけ憂鬱になる。


 いや、なんだろう...ちゃんと考えたし、別に後悔はしてないんだけど...やっぱり20歳女の子とするとなると...うん。なんかすごい悪いことをしている気分になってしまう。


 そんなことを思いながら、ぐっすり寝ている玲ちゃんの頬をツンツンする。


 すると、ゆっくりと目を開ける。


「あっ、ごめん、起こしちゃった?」


「...いえ...大丈夫です...」と言いながら、俺の指をパクッと咥えて「えへへ//」と笑う。


 どうしよう。すごくエッチだ。


「...狙ってる?」と聞くと、純粋そうな目で「?」といった感じの顔をする。


 反則だろ、その顔は。

そうして、抱きついてキスをすると、「んんぅー!//」と体をゆさゆさしながらキスをする玲ちゃん。


 やばい。前よりさらに可愛く見えるんだが。どうすればいいんだ...。


 そんな風にバカみたいにイチャイチャしながら、朝を迎えるのであった。



 ◇とある探偵事務所にて


「それで?調べた結果を教えてくれるか?」


「あいあいさー!実は大学に侵入したんですけど、そこで菅原玲ちゃんと同じゼミの子からいろいろ話を聞きまして...。どうやら王子が言っていたこと合ってるっぽいんですよ!」


「...どういう意味だ?」


「なんか影がある子だなーとは思ってたらしいんですよ!んで、ある時腕をチラッと見たら痣的なのがあったらしいんですよ!んで、後日見たら最初とは違うところに痣があったらしくて...もしかしたらそういうことかもと思ったけど、特に仲がいいわけでもないし、踏み込んで傷つけるのが怖くて詳しくは聞けなかったみたいです!やっぱり、あの子DVされていたと思うんですよ!」


「...そうか」


「それで?王子の方は何か収穫ありました?」


「んまぁ、多少な。こっちは調べてる途中だが...どう見ても怪しいんだよな。こいつら。基本的には同級生やその親、近所の人間も、親戚も...何も出てこなかった」


「それのどこが怪しいんです?」


「最後まで聞けよ。ほぼ真っ白だったんだが、一つだけ見たかったんだよ。綻びが。中学生時代の担任でな、今は精神的に病んで退職した人がいて、菅原玲っていう生徒を覚えていますかって聞いたら、『ある事件が印象的で覚えている』って言ったんだよ。その事件っていうのが、家庭内の暴力についてだったんだよ。ざっくり話すと、ある日菅原玲からDVに相談受けたらしくて、そのことを上に報告したんだが揉み消されたらしい。それから何度かその件について訴えていたら、ある日転勤を命じられたとか...」


「...めちゃくちゃ黒じゃないですか!」


「けど、おかしいのは黒と思えるような証言がこれ一個しかないと言うことだ。彼女自身SOSは発信していたはずなんだ。けど、それすら揉み消されたり、SOSを発していたことさえなかったことにされてるんじゃないかって...。相当闇が深いようだな...」


「...もしかして私たち結構な事件に巻き込まれてしまってます?」


「...可能性はあるな。もし彼女を見つけたところで帰すのが正しいとは...思えないんだよな」


「...そうですよね」


 やや重たい雰囲気が流れ始めたところであった。


 コンコン


 扉がノックされる。


 ゆっくりと扉を開けるとそこにはあの夫婦が立っていた。


 どう考えても偶然のタイミングではないよな?


「...どうされました?」


「いえ。進捗具合を伺おうと思って」


 最初に見た笑顔の数倍気持ちの悪い笑みを浮かべているのであった。



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