第16話 我慢できないよ、圭さん
帰宅した瞬間、玄関で強引にキスをする。
「んっゆ!?//」と、少しびっくりしたような声を上げるが、すぐにゆっくり目を閉じて舌を絡ませる。
ぎゅっと、俺の肩を強く掴む玲ちゃん。
「ご、ごめん...」
「なんで謝るんですか...?私は嬉しいですよ...?」
「...そう...なの?」
「はい。嬉しいです...。圭さん...に求められて..
.私にとって圭さんは...大好きで大好きで...大好きな人ですから...求められて、迫られて...嫌なんてことないです。本当は...もっと求めて欲しいんです...。私の体を...求めて欲しいんです」と、言い放った。
【挿絵】
https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093079964978444
「...でも、それは...約束したから...」
「...男の人は...そんな約束を破って...すぐにしちゃうのだと思ってました...。だから、本当は...私に魅力がないから...我慢ができちゃうレベルなのかなって...」
「そ、そりゃ俺だって...したいよ...」
「...私はいつでもいいので」
そうして、黙り込んでしまう。
けど、やっぱり俺はそれでも...大切にしたい。
そういうのは...ちゃんと...したかった。
でも、涙を溜めながらそんなことを言われて、好きな人にそんなことを言われて我慢できる俺ではなかった。
「...分かった。今日...しよう」
「...はい」
そうして、二人でリビングに行くのだった。
◇シャワー中 菅原玲視点
言っちゃった...//したいとか...言っちゃった...//
でも、後悔はしていない...。
むしろ、よく言ったと思っている。
私にとって【ぽにゃんこさん】は憧れの人だった。
呟いた言葉は全て私の心を打ち抜いた。
今、こうして私が生きているのは彼のおかげなのは間違いない。
うまく言葉にできないこと、社会への文句とか、不条理な人生とか、はたまた自分を求めて欲しいという言葉とか、愛されたいけど愛し方がわからない不器用さとか...。
そういうのが全て私にとって共感しかなく、いつかあって話がしたいとそう思っていた。
それはあくまで憧れであって多分恋ではなかった。
だけど、こうして会って、こんな面倒な私を受け入れてくれて、助けてくれて、好きだと言ってくれる。
それが嬉しくて、堪らなくて...だからこそ元カノの影がチラつくとすごく嫌な気分になった。
まだ、私では足りないのだとわかっていた。
それが体を混じらせることで解消するのかはわからない。
けど、きっと元カノさんには求めていたであろうことを私にも求めてほしくて...。
ううん、これは全部いいわけだ。
本当は多分、独占したいんだ。
私以外を見てほしくなくて...私だけに夢中になってほしくて...私を...私を...。
何もかもを捨てでも私を愛してほしいとかいう、そういう汚い願望...。
「...私は...相応しいの?」と、一人つぶやく。
また私のわがままで迷惑をかけている。
シャワーを浴び終わると、先に圭さんはベッドで待っていた。
「...お待たせしました」
「...ううん、待ってないよ?」
そのまま私はタオルを脱いで...そのままベッドに入る。
いつもは寝間着越しに感じていた布団の感触...。
すこしひんやりとしたそんな感覚にどこか気持ちよさを感じながらベッドに入る。
「...本当にいいの?」
「...はい。お願いします」
そうして...私は...初めてを迎えたのだった。
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