「昼と夜の狭間」 第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト(【短歌】二十首連作部門)

マフユフミ

昼と夜の狭間


陽が長くなったとキミがつぶやいた それは喜び?それとも憂い?


手放しで喜べるのは晴れの日の能天気なほど青い青い空


気怠げに閉じた瞼にキラキラと真昼の残像はじけて飛んだ


眩しさを言い訳にしてにじむ水知らんぷりする 僕は臆病


ほんの少し白みがかった青空が染まり始める約5秒前


振り返る紅く染まった西の空 追いかけるのは時と記憶と


広がったグラデーションが切なくてオレンジの先掴もうとする


すり抜けた空の欠片に目をやれば涙みたいに飛行機すべる


混ざり合う空の色とか光とかこれは混沌ただの混沌


昨日とはまた違う絵を描いている空と光と雲の為す技


美しさそれは無邪気なものじゃなくドロドロとした心の結晶


青が落ちるそんな気がして伸ばす手が触れたのはただ熱のない風


なんとなく同じようなことあったなと思い返すは夕焼けのせい


たくさんの色が混じりあう空のなか 一番星は場違いに光る


沈みゆく深いオレンジと濃紺と今日の終わりは明日の始まり


「夕暮れ」と今この時を呼ぶのなら この虚しさはきっと正しい


淡々とただ淡々と待っている夜を知るとはそういうものだ


のしかかる重い暗がりを吸い込んでこの体ごと闇へ沈める


くり返す24時間の営みは一秒ごとのドラマの連なり


夜が来るそれがこの世の真理でも受け入れるかは僕が決めること

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「昼と夜の狭間」 第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト(【短歌】二十首連作部門) マフユフミ @winterday

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