第一話 君もか
俺はペンを頑張って走らせていた。何してんだろうな、俺。小説を書くのが好きだったのに今は全然手が動かない。そんな自分のもとに一人の刑事が来て、「来い。取り調べだ。」と呼びかけられる。白髪交じりのおじさん。きっとベテランなんだろうなと思う。ガチャと扉を開けて、大人しく連行された。
そして取調室に来る。パソコンの前に座った一人の男と俺を連れてきた、一人の男の2人がいる部屋で取り調べは行われた。ガタッと椅子を引きその刑事は座る。俺も相対した席に座った。取り調べの始まりだ。「名前は如月大輔だ。」お前の名前を教えろと言わんばかりに名前を言ってきた。「葉坂慶次。」それが俺の名だ。と返す。俺はこの刑事を会って間もないが一つ聞きたいことがあった。これはあくまで自分の勘だけど。「それじゃあ、取り調べを始める―――。」「すみません。一つ良いですか。」俺は尋ねる。「なんだ?」「あなたも虐待を受けてましたか。」勘だ。完全な勘。でもそんな感じがした。
「同情するつもりはない。だが、受けてはいた。」とその刑事は言った。やっぱりな。と俺は思った。
「よし。では取り調べを始める。」と刑事はすぐに切り替えた。「最初の質問だ。何人殺したんだ?」俺は覚えていなかった。多すぎた。「十人以上です。二十人とまでは行きません。」と答えた。「そうか。」短く相槌をうつと次の質問だ。と投げかけた。「お前はなぜ人を殺した?」分からない。なんでだったかな。俺はなんで人を殺したんだろう。「わからないか。ではお前の過去について教えてくれ。出来る範囲で良い。」と如月は俺に聞く。
「あれは子供の頃でした。」
俺は話し始める。過去。記憶という蛹に閉じ込めた、苦痛に耐えたあの日々を。目を背けたくなるような記憶を。
蛹 まんまる @manmar48
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