絶対ツンデレなだけで私のことが大好きな隣の席の女の子に本音を吐かせてみた話
甘照
絶対ツンデレなだけで私のことが大好きな隣の席の女の子に本音を吐かせてみた
高校のクラスで隣の席に座る
だって事あるごとに私のこと見てるし、目が合うと頬を染めて逸らされるし、こっそり覗いたスマホの待ち受け私の横顔だったし。
盗撮されてる事実は一旦置いといて、とにかく絶対確実に紗月ってば私のことが好きなのに、「私のこと好き?」って聞いても「……別に」って返される。
「だから今日はなんとっ!『あなたの本音吐かせルン♪』を作って持ってきました!!」
「……なにそれ」
「説明しよう!『あなたの本音吐かせルン♪』とは、いつもツンと本音を吐けないそんなあなたにスッキリまるっと本音を吐かせちゃう機械なのであ〜る!!」
「…………なにそれ」
いい加減、ツンデレガール紗月ちゃんの本音が聞きたくなった私は重い腰を上げ、この天才JK、
因みに性能は私のお母さんで立証済み。
家事をほとんど手伝わない私やお父さんに対する愚痴、パート先の正社員や新人バイト君に対する罵詈雑言など、それはもう色んなものがドバドバ出てきて凄かった。
「―――というわけで、これ着けてみて」
「いや普通に嫌なんだけど。そもそもそんな機械あんたみたいなちゃらんぽらんに作れると思えないし、本音も何も、あんたに隠してることなんて何もないわよ」
「着けてから言えーー!!」
「ちょっ、ちょっと!ん゛ぎゃっ!?」
ヘルメット型の『あなたの本音吐かせルン♪』を勢いよく紗月の頭から被せると、汚い悲鳴と共に、機体から『ピッポッパッ』と電子音が鳴る。
今頃ヘルメットの内側から発せられる電波が紗月の脳みそにあーだこーだ、かくかくしかじかあれこれホニャララして、本音しか喋れなくなるよう洗脳しているはず。
十秒かからず洗脳は完了し、ヘルメットを外すと、紗月は何だかハイライトのない瞳を私に向けた。
「……舐めたい」
「……へ?なんて?」
紗月は徐ろに椅子から立ち上がり、ゆらゆら揺れながら私の方へと歩み寄ってくる。
「そのもっちもちなほっぺた舐めたいなぁ。ほっぺたにホイップクリームかけて舐めたら絶対ぷるんぷるんしてるし、プリンみたいで絶対美味しいだろうなぁ。え?待って私天才じゃない?そうだ今度ホイップクリーム持ってこよ。そしたらあの美味しそうなほっぺたがより美味しく味わえるぅ」
「あ…あれ……?」
おかしいな。私の見立てでは自分の意志に反して「あんたのことがずっと前から好きだったの!」みたいなこと言って、「う、嘘……!?ホントに思ってることが口に……!?」みたいな感じで困惑しながら赤面するはずだったのに、これじゃあ最早人格ごと変わって………
「あ。オプションで付けた『心の奥底に眠る隠れ性癖くん増幅丸』入れっぱだった」
紗月の中々な隠れ性癖を垣間見てしまったのは置いといて、オプションを切ってデフォルトに戻してもう一度装置を紗月の頭に被せます。
「あ~その柔らかいお肌の隅から隅まで舐めたバン゛ォ゛ッ!?」
再び汚い悲鳴と共に、装置から出る特殊な電波で素直になれない紗月ちゃんを本音でしか話せなくなるように洗脳していきます。
十秒くらい待てば出来上がり。
装置を取ると、既に紗月は赤面して両手で顔を覆いだした。
「ン゛ン゛ォ゛ィ゛ギギギギィ゛ァァァ゛………わ、私……心の底では寧々のことそんな風にしたいって思ってたなんて……」
「よかった。今度は成功したっぽいね」
「ちっとも良くないわよ!!ね、寧々のことをな、なな、舐めたい……だなんてっ!?」
どうもさっきの記憶が残ってるらしいけど、実験体にしたお母さんは覚えてなかったし、この辺は個人差があるのかな?
まあ自分の隠れ性癖が露呈して恥ずかしがってる紗月も可愛いし、棚ぼたってことで。
「……で、紗月は私のこと好き?」
「好きに決まってるじゃない!!……ん?ってギャーーー!?私、何言って……!!」
教室のみんなが普通にいる中での公開告白、ありがとうございます!!
そういえばさっきから皆の好奇の視線を感じるけど、まあ気にしなくていいか。さて、張り切ってもっと聞いていっちゃおう。
「紗月っていっつも私のこと見てるのに、目が合うと逸らしちゃうよね?アレってなんで?」
「寧々が可愛くてこっそり見ちゃってごめんなさいっ!!でも、可愛すぎて正面から見たら恥ずかしくなって逸らしちゃう………って、さっきからなんで思ってること全部口から出ちゃうのよ!!」
なるほどなるほど。
まあこのキュートな寧々ちゃんの顔に見惚れてしまうのは仕方ない。人類である以上、この寧々ちゃんの可愛さの前では無力なのだから。
「おい聞いたか?古寺が可愛すぎて正面から見れないんだってよ」
「確かに可愛いけど、ちんちくりんでアホっぽいしポンコツだから可愛さの種類が小学生とかちっちゃい子に対するそれなんだよなぁ」
「小川ってロリコンなんだな」
おいそこの男子共、口を慎みなさい。
アホっぽいしこういう機械系以外ポンコツなのは認めるけど、ちんちくりんは効くからやめなさい。
「ちょっと!!私はロリコンじゃないわよ!!寧々だから可愛くて好きなのであって、寧々以外に欲情したことなんて一度もないわよ!!」
「ヤベッ!聞こえてるし!」
「え、今小川のやつ欲情って言った?」
「あのちょっと性格キツいけど顔だけで見たら学年ナンバーワン美少女の小川紗月が古寺に欲情してる……!?……興奮してきたな」
「ちょっ……!?また私、変なこと言って……!!」
なるほどなるほど。
紗月はいつも私に欲情していると。
まあ好きな人に対して邪な気持ちを持っちゃうのはしょうがないよね。
「じゃあ最後に、スマホの待ち受けが盗撮した私の横顔になってるのはなんで?」
「なっ、なんでバレてんの!?」
「盗み見た」
「なんで勝手に見てんのよ!?」
「それを言うならなんで勝手に撮ってんだって」
「そっ、それはだって……いつでもどこでも寧々の顔を見てたいけど……顔写真撮らせてなんて……恥ずかしくて言えなかったんだもん……ってバカ!!なんで私はまた思ってたことをペラペラ喋ってんのよ!!」
紗月は恥ずかしそうにもじもじ手を弄りながら頬を染め顔を背けつつ、盛大にセルフツッコミをかます。
これこれぇ!私はこれが見たかったんだよ!!
ツンデレな子が自分の意志に反して、必死に隠していた本音が次から次へと口から出てしまうのに慌ててる姿が見たかったんだよ!!
「………それで?」
「え、なにが?」
背けていた顔を少しだけこちらに向けて、上目遣いで聞いてくる。
「………返事は?」
「返事?」
「だ、だからっ、私は隠し撮りして待ち受けにしちゃうくらい寧々のことが大好きなの!!告白してるんだから、返事くらいしなさいよ!!」
「あ、そっか……えっと、ちょっと考えていい?」
「なんでこんな機械使わせて初っ端から『私のこと好き?』なんて聞いて置きながら返事考えてないのよ!!!!」
数日後、紆余曲折あったが二人は無事付き合うことになった。
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