𐎢‎𓊆122録𓊇𐎽 DECEIVING of GLUTTONIY 〘☩〖THIRTY-THREE〗☩〙









____シュゥゥゥゥゥ………ギギギギギ……











「…………………………ん、ここ、は?」


「き、教会……………?」


「……………っぽい、よね」


「何の、教会なんだ?」



非常口を抜けた先には、タキシードモジャンボと戦った広場よりも遥かに広い…………キリスト教の教会のような場所があった。


しかし、辺りを見渡しても十字架やキリスト教に関係するようなものは見当たらない。


それに、地下のはずなのに窓からは太陽の光なようなものが差し込んでいる。虹のようにカラフルな窓から光が差し込み、床も同じような彩りに染め上げている。



椅子やテーブルなどは無く、壁には青白い顔の、ベージュ色のショートボブのような髪型をした………異様なほどに真っ白な瞳を持った女の人の肖像画が飾られていた。


同じようなものが何段にも綺麗に等間隔で並べられている。フロアの四隅には銅像があり、それも肖像画と同じ女の人とモチーフとしているようなモノだった。



「だいぶ、異様で不気味な空間だね」


「うん…………何が出てくるか分からん空間だな。この、絵に描かれている女の人は一体…………誰なんだろ?」


「てか、今のところ………オモチャ工場に関するようなモノが何も出てきていないんだよな。オモチャ工場という場所を舞台としているだけのGANTZみたいな事しかしていないんだよ」


「もしかしたら、この肖像画の女の人がオモチャかもしれないじゃん?リカちゃん人形的な存在として」


「こんなビジュアル、1000%子供が泣き出すようなもんじゃん」


「最近の子供の趣向はよく分からんから」


「まぁ、言いたいことは分からんでもないわ」



そして、今気付いたのだが………私達の真正面に観音開きの大きな扉がある。話と肖像画の女の人に気を取られていて気付かなかった。


何かが出てくる気配は今のところないので、その扉の方に向かってみることにした。



また、ここでも謎解きが来るのかと思いきや………試しに軽く押してみると簡単に開いた。






___ギィィィィィ……………











「·······················································」


(な、中庭………?)



扉を開けた先には、千手観音と戦った場所とは違う…………西洋風の、悪役令嬢が住んでそうな屋敷の中庭のような光景が広がっていた。


綺麗に整えられた芝生、綺麗に敷き詰められた大理石の石畳、私達から100メートル以上は離れているところには、同じように大理石で造られたであろう大きな噴水があった。


芝生のところどころには果物の木々が生えていた。リンゴ、バナナ、桃…………それに、枇杷びわまでもが実を成していた。


実がなる季節がバラバラのはずなのに、同じ空間で同じ時期に身を付けるなんていうことがあるのだろうか?


この世界のバイオテクノロジー………バイオテクノロジーだけではなく、私達が生きていた時代よりも遥かに進んでいる文明がある。


異能の類が存在することによって、それが文明が発達の手助けとなっているのかもしれない。


今まで見てきたものの考えてみるならば、実を付ける時期が違う植物を同じ時期に収穫出来るようにコントロールすることも可能か。


この時代の、この世界においては容易い事なのかもしれない。



「うぉ………めっちゃ甘い香りが漂っているわ」


「果物のいい匂いがする」


「トロピカーナって感じがする」


「えっ?チャンカパーナ?」


「全然違うわ、誰も愛しい人っていう意味がある造語の話はしていないんだわ。私は果物の話しかしていない」


「葡萄みたいのもなっているね」


「褐色の葡萄」


「·······················································黙れ」


「豐穣カレンですぅ〜、あほいっ!!あほいっ!!」


「ホロライブやめろって」


「潤羽るしあなのです!」


「それはアカン」


「どこ行ったの?」


「猫になってるよ」


「特級呪物」


「コメント欄でそれを書くと、翻訳では「特級食物」となるという」


「シャトーブリアンですか」


「いや、もっと他にあるだろ」


「········································フカヒレ」


「なんで、ちょっと、ビミョーなところをチョイスするの?」


「高級食材なんて基本的に食べないもん。牛丼で満足するような人間がさ、そんな高い物を食べたいとかって気にすると思いますか?」


「微塵も思わないし、それは本当に分かるな」


「高くて美味いもんよりも、安くて美味い方が絶対に良いよね」


「脱税売春婦とかさ、絶対にキャビアの味が美味いとかって分からねぇんだから。男のフランクフルト頬張りすぎて味覚バグってるだろうに」


「カレン、それはヤバいって」


「オジサンのポークピッツでもモグモグしてろよって思う」


「私は絶対にキャビアの味とか分からんもん。しょっぱいタピオカみたいなイメージしか分かんもん」


「キャビア自体を残飯みたいな言い方をするなよ」


「港区女子は牛丼にキャビア乗せて食ってろって思う。てか、高いところの店なんて凄い小さいのしか出てこないじゃん。社長の奢りで言った時に、全然量がなくて一口でパクッて食って…………普通に牛丼の方がうめぇわってなって、家帰る時に、最寄りの吉野家で定食頼んで、ご飯大盛3杯くらい頼んだわ。配信者で、色々とダンスパフォーマンスとかやっている人間には、あんなんじゃ栄養が足らん。自腹じゃ絶対に食わないよ。絶対に吉野家行くわ」


「吉野家っていうのが面白いんだけど」


「吉牛お代わりできるからね。お代わりできる店が比較的に多い。それか、松のやとかも良い」


「とりあえず、お代わり無料のところにいくのね」


「定食ってご飯お代わりしまくって腹を満たすもんでしょ」


「お前のこと、明日からカビゴンって呼んでいい?」


「カービィにして」


「歩く胃袋って言われているようなもんだぞ?本当に歩く胃袋カービィでいいんか?」


「そのルビの振り方は怒られそう」


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