𐎢‎𓊆90録𓊇𐎽 DECEIVING of GLUTTONIY 〘☩〖ONE〗☩〙


社長から依頼書を受け取る。4人分あったので、他の3人にも同じ依頼書を1枚ずつ配る。


依頼書とは言え、社長の言う通りに工場の所在地と工場が何を作っていたかということしか書かれていない。


過去形なので、今は既に工場としての機能は停止しており、廃墟同然の場所だということが読み取れるくらいか。



「とりあえず、ここに行けばいいんですね?」


「そ、そうなるが………」


「じゃあ行ってきます」


「ちょっ····················色々と危険があるんだ。そんな易々と行くような場所じゃ___」










____ヒュンッ………!!!!







···································



····················_______



_______________











___バシュンッ……!!!!ズザザッ………!!










「なーんか、あの社長の話長くなりそうだったな」


「何やねん、注意事項って。何も分からないのに、何に気を付けるって言うつもりなんだろ?馬鹿なんじゃないの?」



馬鹿社長の話を最後まで聞くつもりが無かったので、話の途中で早々に転移してやった。


頭の中まで[̲̅N̲̅][̲̅E̲̅][̲̅V̲̅][̲̅E̲̅][̲̅R̲̅][̲̅L̲̅][̲̅A̲̅][̲̅N̲̅][̲̅D̲̅]になり過ぎている。しっかりとRealを見つめて話していてほしい。


何も分からない場所に自分から送り込んでおきながら、わざわざ無駄に話を長引かせるような事を言って士気を下げるのは何故だろう?


何も分からないのに、何をどう気を付けろと話すつもりなのかが分からない。絶対に何も考えないで引き止めている。


引き止めた瞬間に楓夏依がイラッとして社長に殴り掛かりそうな雰囲気でもあったので、指定の座標まで適当に合わせてから4人同時に転移した。


楓夏依は、ああいう上の人間のダル絡みは凄く嫌う。余計なトラブルを招く前に転移しておくのがベストだった。


CRY.STi⟬A⟭LLIZATIONの時は、本当に察しの良い社長が居てくれたから良かった。それを経験しているから、[̲̅N̲̅][̲̅E̲̅][̲̅V̲̅][̲̅E̲̅][̲̅R̲̅][̲̅L̲̅][̲̅A̲̅][̲̅N̲̅][̲̅D̲̅]のクソ社長が無能に見え過ぎて、話すだけでも腹が立ってくるのだ。



殺せるものなら殺しておきたいくらいなもの。もしかしたら、今からこなす依頼であるオモチャ工場周回クエストの方がフラストレーションを溜めることなく済ませられる仕事かもしれない。


[̲̅N̲̅][̲̅E̲̅][̲̅V̲̅][̲̅E̲̅][̲̅R̲̅][̲̅L̲̅][̲̅A̲̅][̲̅N̲̅][̲̅D̲̅]、演者に対して余計なフラストレーションを溜めさせる要因となっているということで、元凶となっている社長のポケットマネーから時給3000円を設定して、15分度に750円の給料が発生するという決まりを作ってほしい。


契約書に追記してくれと切に願う。







___フォォォォ………ォォォォォンッ…………









「着いた、のは良いけど………思ったよりも不気味だし、めちゃくちゃデカいな。城みたいな工場やん」



私達が着いた工場の正門にある、大きな看板には「𐎲O𐎢𐎿𐎹O𐎤𐎴O𐎣𐎠𐎫𐎠𐎼𐎡こんな文字」が書かれていた。



楔形文字……ということは分かる。


私達が魔法の詠唱をする時にも使っているものでもある。私達の場合は教わった時の耳コピをそのまま模倣したり、直感でアレンジして自力で開発しているため、言葉自体の意味はよく分からずに使っている。


実際に読み書きなどは出来ない。直感で魔法を覚えていくことには限界が見えてくる時が来るのは分かりきっているので、既に夜な夜な拠点のホテルのフリースペースにて、ミーシャさんやレムリアさんを含めた[̲̅N̲̅][̲̅E̲̅][̲̅V̲̅][̲̅E̲̅][̲̅R̲̅][̲̅L̲̅][̲̅A̲̅][̲̅N̲̅][̲̅D̲̅]の演者の皆から楔形文字の読み書きを習っている。


意味自体が分かるようになれば、ふとした時に出てくる楔形文字を読めるようになる上に、魔法の技術の幅を一気に拡げる事が出来る。



ちなみに、看板に書かれているのは「ぼうしょくのかたり」という文字だった。レムリアさんに英訳してもらった時に「DECEIVING of GLUTTONIY」という訳を教えてもらったので、恐らく漢字で表すならば………「暴食の騙り」という書き方になるのだろう。


DECEIVINGなので、語りではなくて"騙り"という変換になる。


これが社名なのか分からない。黒塗りのペンキの上に、乱雑に書かれた楔形文字を読み解いただけものだからだ。


明らかに、元ある看板の上に何者かが落書きのような形で書いたものとした思えない文字…………それに、そこまで月日が経っているようなものでも無かった。


塗りたて……という程でもないが、少なくとも1ヶ月以内に塗られたのは間違いないと思う。


それくらいには新しい塗装と見られた。何年も前に廃業になっているはずで、落書き部分以外は汚れが目立っているのに、落書きのところだけが汚れなどが殆ど付いていない。



明らかに………直近に、何者かの出入りがあった可能性が高い。緊急で私達に依頼が来るということは、工場内にも何かがいることを警戒しなくてはならない。


流石に、ポピープレイタイムのようにオモチャの化け物が出てくるということも考えられない。


シンプルに、今までに出会ってきたような化け物の類が出てくるのだろう。



······························死なない努力を、念頭に置かなくては。

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