𐎢‎𓊆80録𓊇𐎽 betrayal Stream 撥


「えー、[̲̅N̲̅][̲̅E̲̅][̲̅V̲̅][̲̅E̲̅][̲̅R̲̅][̲̅L̲̅][̲̅A̲̅][̲̅N̲̅][̲̅D̲̅]の前は……普通に企業でやっていましたよ」


「私達全員が同じ事務所の同期として、未経験で入ったんだよね」


「そうそう。私達の募集が未経験者歓迎!っていうので、応募したんだよね。他のところは基本的にキャリアとか絶対に重要視するじゃん?」


「一から育成するのがダルいからね。コストも時間も掛かるから、普通に配信慣れしている即戦力を取るのは当然かな?って思っていたのに………本当に未経験者を取るための募集だったんだなって」


「受かった後に聞いたけど、二次まで通った人って、全員が未経験者で経験者は普通に全員1次で弾かれていたんだもんね」


「結構有名な個人勢の人も居たらしいのに、私達が受かるとは思わなかったな………それで、ガッツリ新人研修受けてからの初配信だったもんね」


「初配信なのに、やたらと慣れている感が出ている大手事務所のライバーとは違って、ガチの初配信本番でゴリゴリの新人だもんね」


「普通に未経験です!!って震えながら言っていたのも良い思い出」


「…………………ウェッ………!!本当の新人をデビューさせたいっていう挑戦的な目論みだったみたいで、それで上手いこと私達も幸せになることが出来たんだから、本当によかった環境だったよ」



····················コメント欄を見る限り、CRY.STi⟬A⟭LLIZATIONという単語は見当たらないな。


2000年前のVTuberが本当に転生しているとは誰も思わないか。転生者が蔓延っているような世界でも、そこまでの時間を跨いでの転生というのは滅多に無い……以上に無いって事も総督府の誰かが言っていたような気がする。


それに、見た目も見た目で一部の人がザワザワするような見た目でもあったりするわけで…………


生きた化石が目の前を歩いていって、普通に殺しの依頼を受注していたら誰でもビビるか。知っている人は誰でも「えっ?えっ?」とはなるかもね。


他人の目はそこまで気にしないし、今でも「豐穣熾カレンだ!」って言われても、最低限のファンサをするだけに留めている。



あまり、ファンと配信外で絡むのはVTuberとしてもおかしいかなと思いまして。それに、私自身は豐穣熾カレンとは違うと言えば違う。


豐穣熾カレンはCRY.STi⟬A⟭LLIZATION2期生という立場で、そういう箱の中で光り輝いていたヴァーチャル・ユーチューバーなのだ。


だからこそ、中の人でしかない私という………中村ゆみりという人間が豐穣熾カレンの中の人だよ!!っていうことを厭らしくアピールするのは絶対に嫌だ。


見た目が豐穣熾カレンになってしまったところで、見た目だけが豐穣熾カレンにそっくりの中村ゆみりということには変わりはない。


本物のカレンは………ずっとCRY.STi⟬A⟭LLIZATIONという箱の中で、2000年前のアーカイブの中で、永遠に進むことの無い時の中で生きている。


ファンからすれば「なんか、対応が冷たい」と言われるかもしれない。それは分かっている。そう思われたとしても………私が思うカレンへの気持ちというのは絶対に変えたくない。


大切な相棒だからこそ、相棒を守るためにも………ずっと誰かのために、これから先も笑ってくれるような存在でいてほしい。



誰にも知られることはない、そんな思いを私は持っている。…………誰にも知られるまではいかないか。


CRY.STi⟬A⟭LLIZATIONの同期3人には、私の想いは伝わっている。誰も知らないは嘘になるか。



「ゲホッ……!!」



にしても、カレーが本当に辛すぎる……!!


何とかカレー自体は完食したが……まだ激辛シリーズが残っている予定だった。


マネージャーさんが既にスタンバイしている。湯気が立っている麻婆豆腐をいつでも運び込める状態に入っていた。



シリアスなエピソードトークをした後にするような流れではない。


激辛食べた後に、前の会社のシリアスな思い出を語り、その後に残念過ぎる現実に引き戻すという………このサイクルで続けていいものだろうかという疑問が頭の中を快速急行で過ぎったが、快速急行で通過していったので、ほぼ気にしていないと言っても過言ではないでしょう。



「お前、ウェッ……!!って」


「ゆみり、吐きそうになっているじゃん」


「本当に口の中にビッグバンが起きているような状態なんですわ」


「そっか」


「ちょっ……………なんで、そんな言い方をするの?そんな冷めた言い方をしなくてもよくない?」


「次、麻婆豆腐が待機しているから呼び込みましょう。マネージャーさん!次のお品物を持ってきてください!」


「もう、ノリが深層組所属のVTuberみたいになってるんだよな………」


「深層組を知っている人は本当に少ないと思うわ」


「ホロライブ、にじさんじ、.LIVEとかの大手が業界支配しているから」


「········································ゆみり、企業名を全く出すなとは言わないが、出し過ぎるのはアウト」


「気をつける気は毛頭ございませんのん」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る