𐎢‎𓊆36録𓊇𐎽討伐








___ズズゥゥゥゥウウンッ…………!!!!










「えっ…………?」


「何、やったの?」


「暗殺」


「それは何となく分かるんだけど…………姿消したり気配消したり……シエルさんがやっていたのと違うのをやっていたの、アレ、どうやってやったの?」


「えっ、同じじゃないの?」


「何で違うって分かったの?てか、私もシエルさんに教えてもらって………そしたら、何かシエルさんも「えっ?」っていうような感じになっちゃったのを、そのまま使っているだけなんだけど」


「楓夏依も楓夏依だけど、ゆみりもゆみりでサラッと凄いことしてるよね。なんで、能力の違いを見ただけで分かるん?ヤバくね?」


「私も、やばいのか……な?」


「誰にも異能の使い方とか教わらないで、普通に化け物を一撃で無傷で殺せる奴が一番ヤバいよ。人間止めてるよ。それこそ、どうやってんだよって話」


「豐穣熾カレンの力」


「いや······························カレンは関係無いとと思う。ビジュアルによって感覚やら戦闘力は反映されないでしょ?」


「確かに」








____シュゥゥゥゥゥ………グヂュヂュヂュヂュヂュ………ジュゥォォォォォォ………!!!!











「うっ…………!!何この臭い………!!」


「ヤバい腐敗臭が…………!!」



楓夏依に色々と異能について質問をぶつけていると、頭から脳漿と血を垂れ流して動かなくなっていたアザラシが蒸気と腐敗臭を辺りに撒き散らしながら溶け出した。


あまりの臭いにその場から慌てて放れた。風上の方に避難して、死体の様子が把握出来るところまで離れた。


化け物の中にも、ちゃんと赤い血を持って………腐る時も腐敗臭を出してくるヤツも居るのか………にしても、腐るのが早過ぎなのでは?という疑問が頭を巡る。


ラベンダーの香りを持つ化け物に始まり………今度は死んでから肉体が腐る落ちるまでが異常なまでに早い化け物か…………



人とコミュニケーションが取れるほどの高い知能を持っていて、尚且つどんなに戦闘力が高い人間をも屠ることが出来る力までも備えていて、生態自体も謎な部分が多すぎる。


2000年前までは、ここまで化け物達の生態系というものは混沌していなかったとして………人間以上の寿命を持つであろう化け物達が、2000年の間に戦闘力と知力を底上げするための進化を遂げるなんて事が有り得るのか?


僅か2000年で、そこまでの進化を遂げるまでの過程を踏めるとは思えない。


ただの突然変異の繰り返しだけでは、ここまでの事にはならないと思われる。生物学に関しては、高校の授業で習った程度の経験しか無い私が語れることは少ないが………明らかに異常な生態系が築かれているというのは、素人でも分かるような状態であるのは見て取れる。






___シュゥゥゥゥゥ………ズプププププ………








「骨ごと、無くなっている………?」


「みたいだね」


「これ、事が落ち着いたらシエルさんのところに報告した方が_____」









____ヒュンッ………!!ズチャッ……………!!!!










「「「「………………………!?」」」」



消えかけているアザラシの死体のところに、人くらいの大きさの………人型の、二足歩行の化け物が現れた。


顔は上半分は人の顔を模しているのだが、下半分は無数の牙が剥き出しになっていて、耳元まで口が裂けている。


そして、口の中から更にドリルのような形をしている……牙のようなものが螺旋状に付いている舌のような物を出している。


真っ黒のローブのような物を纏って、辺りを見渡している。そして、右手には人の首と思われるものを持っていた。


その首を地面に投げ捨て、アザラシの残骸の方を見つめる。首は私達の方に転がってきた。



その首の持ち主は………顔を見たらすぐに分かった。



「し、シエルさん…………?」



下顎がえぐり取られていて、無惨な状態で首を引きちぎられてしまった………ということが一目見て分かるようなものだった。


実力者でもあったはずの、シエルさんが………こんなにも簡単に殺すことが出来る奴が…………私達の近くに居る。



おそらく、私達を狙っているに違いない………!!



[̲̅ᛪ̲̅][̲̅ᛪ̲̅][̲̅ᛪ̲̅]✡♦+⟬………………………ヤツの首を投げれば、怒り狂って出てくると思ったのに。意外と感情に駆られて動くタイプの人間じゃないってことかな?転生者………この世界に来て、まだ初日だというじゃないか……それなのに、ここまで暴れ散らかしてくれるとは…………⟭+♦✡[̲̅ᛪ̲̅][̲̅ᛪ̲̅][̲̅ᛪ̲̅]



········································


私達の居場所は確実に分かっていて、シエルさんの首を私達の近くに投げたのだ。私達の知り合いだということも把握していて、知り合いが殺されたとなれば、気が動転するなり怒り狂うなりで、自分達に向かってくるだろうと踏んだのだろう。


向こうは、私達4人を一斉に相手にしたとしても殺せると思っている模様。


それゆえの、余裕綽々な振る舞いを見せているようだ。

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