𐎢‎𓊆32録𓊇𐎽紫煙、燻らす


「てか、ゆみりって私がちょいちょい吸わせてるけど…………よく吸いたいっていう気持ちに駆られないよね?1本でも吸ったら吸いたい欲求戻るっていうじゃん?」


「私、意思が強いのか何なのかは分からんけど、禁煙始めてから1本貰ったりしても自分で買ってまで吸いたいと思わなくなった。無きゃ無いでいいみたいな?」


「無駄に意思強いの何なん?」


「さぁ…………自分でもよく分からん」



禁煙中に1本でも吸ったら全てが台無し。どんだけ続けても、あっという間に元通りになるとかって言われてるのは知ってる。


それが私が理解できない。私の頭では納得が出来ない事というか………何の根拠があって言ってるのだろうと思う。


2ヶ月に1本とかだったら、別にそんなに体に影響出たりしないと思う。禁煙してからは1年ちょっと経って、楓夏依が普通に吸うようになってから3ヶ月経ったくらいに、楓夏依から「吸う?」って言われて、そのまま貰って………そこから1ヶ月に1本、2本っていうペースになっている。


私から言い出すのではなく、向こうが言い出したのを付き合いで吸うくらいなもの。向こうも私が禁煙しているのを知っているから、毎日のように誘ったりはしない。


たまに短いスパンで声をかけてくる時は普通に「今日はいい」と断ることも普通にある。


そういう時は(。•́ - •̀。)みたいな顔をする。


罪悪感が湧いてくるが、いちいち貰って吸っていたら止めた意味が無くなるので。自分で意地でも買わないというので、自制そのものは出来ていたとしても、頻繁に受け取っていたら自制とは?って自分で自分の事を疑い始めると思う。


そこはちゃんと、私は断る時は断ることが出来る人間なのでね。


…………本当に自制心が強いのならば、タバコの誘いは全部断るべきだろうと言われてきしまったら、何も言い返せなくなるな。


しかし、私からも言い訳をさせてほしい。


可愛い末っ子みたいな同期が、(。•́ - •̀。)でこちらを見つめながら「一緒に吸おう?」なんて言われたら断れないんだよ。


人との繋がりを大切にしない人間には分からない気持ちなので、そういう人間に向けては一切言葉を向けていない。


ご了承下さいませ。



「ゆみりってタバコ止めてみて、何かメリットとかあった?…………メリットの方が多いのは何となく分かるけど」


「金が溜まる、体が元気になる。基本的に体調が良い。寝起きに口の中からタバコ臭くならない………他にもあるけど、主なヤツはそこら辺かな?」


「でも、10分くらい時間潰すっていう時に困らない?」


「最初は困った。ルーティン化していた部分があったせいで、どうやって時間潰そうかって凄い悩んでいた時期があったな……」


「どうしていたの?」


「スマホで麻雀とか花札してる」


「あー、そういうね」


「電車で10分くらい移動している時に何やってるかな?って思ったら、そういや麻雀とか花札しとるわってなって、それで「あっ、全然こっちで代用できるわ」って気付いたんよ」


「でも、それが出来るって普通に止めれる人間の考えなんだよな………」


「そうかな?そんな事ないと思うけど」


[̲̅𓎡̲̅][̲̅𓆓̲̅][̲̅𓎡̲̅]И̥ͦ𓆓̺͆༆𖣘……………………𖣘༆𓃭̥ͦ𓆓̥ͦ𓆓̺͆К̥ͦ[̲̅𓏲̲̅][̲̅𓎼̲̅][̲̅𓆑̲̅]


「んじゃ………吸い終わったから戻るわ」


「もう一本吸わん?」


「仮にも禁煙中の身だから遠慮しておくわ」


「むー(⑉・̆ω・̆⑉)」


「そんな可愛い顔をしてもダメだから」


「(´𓁹ω𓁹`)」


「怖いて」


[̲̅𓎡̲̅][̲̅𓆓̲̅][̲̅𓎡̲̅]И̥ͦ𓆓̺͆༆𖣘……………………………𖣘༆𓃭̥ͦ𓆓̥ͦ𓆓̺͆К̥ͦ[̲̅𓏲̲̅][̲̅𓎼̲̅][̲̅𓆑̲̅]



自分の貰った分を吸い終えると、私はそのまま店内へと戻った。楓夏依は私がもう一本を付き合ってくれないと分かった途端、私の後ろを付いてくるように店内に戻る。


席についてスマホをいじろうとポケットから取り出したところ、丁度ラーメンが私達の席に運ばれてきた。


ラーメンが目の前に来ると、不機嫌そうな表情から一気に目を輝かせてアイドルスマイルを披露した。


動きが滑らか月島ユキって………こんなにも可愛んだな。中身が楓夏依っていうのもあって、楓夏依の可愛さがプラスされて余計に可愛く見える。


こっちに転生してから、普段の楓夏依よりも可愛いなって思うことが増えたのは、見た目がユキだからというのも有りそうだな。



(···································それと、タバコ吸ってる時から、異様な気配があったような………)



一旦はスルーしておいた、私達の事を狙っているであろう謎の気配。気付いていないわけではない、敢えて触れていないだけ。


向こうから仕掛けてきた時にどう対処するべきか………なんて考えていた。今のところ、向こうから動き出す気配というのは無さそうだ。


いつ、どのタイミングに動き出すのかは読めないので、いつでも仕掛けられてもいいように心構えはしておこう。


ラーメンくらいゆっくりと落ち着いて食べたかった。ラーメン一杯もゆっくり食べれる事が出来ない世界に転生してしまうなんて…………もっと、平和な異世界に転生してほしかったと運命を呪っている。

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