𐎢𓊆29録𓊇𐎽 不穏
「現金よりもタバコ欲しかったな……」
「買ってくればいいじゃん。こっちでのタバコの値段、税金の塊になっていないから普通に日本円で200円くらいらしいよ」
「3カートン買えるじゃん」
タバコ換算だと暗算の速さも普段の1.5倍くらいになるところも可愛いです。目をキラキラさせながら言うもんだから、余計に可愛く思えてしまう。
ネタではなく、本音で可愛いと私は感じています。
スパチャも「タバコ代」とリスナー達が称して、赤スパ(YouTubeにおけるスーパーチャットの金額10000円〜上限50000円のもの。文字通りの赤色スーパーチャットがその金額をYouTubeに支払うことで行える有償サービス)とか普通に飛んでくるからね。後、中学生くらいの子だろうか。
「お菓子代」といって100円くらいのスパチャを投げてくれた時は赤スパで「これでカートン買ってください」っていうバチャ豚相手によりも遥かに嬉しそうにする。
ファンからすればクソ喰らえだろうが、そのスタンスを絶対に崩さないところも可愛い。
カッコかわいいって言うんかな?
そんな末っ子の事が本当に大好きな私でもある。………………普通に大好きって言ってしまったな。
あの、決して変な意味では無いので。そこら辺は誤解なさらぬようにお願いいたします。
「タバコ、とりあえず買ってこようかな」
「まずは飯でも食わない?」
「あー、タバコよりもまずは飯………と言いたいところですが、飯と言ったら絶対にタバコが必須アイテムになってくるので、道中とかでタバコ屋があったら、そこに駆け込ませていただきたいと思います」
「総督府出てすぐのところにコンビニあったから、そこで買ってくればいいんじゃない?」
「あっ、あったっけ?よく見てなかったわ」
「ちゃんと周り見ていないと駄目だゾ☆」
「·············································」
「フッ……………フフフフハハハハハハハハハハ……」
「クレシェンドスマイルすんな」
「ゆみりって、急に変なテンションに一瞬なるよね?大丈夫?本当に?」
「薬の過剰摂取しているようなヤツのテンションなんだよな…………」
「私、オーバードーズなんて2、3回……くらいしかやった事ないよ」
「やった事あるんかい 」
「いや、その、色々と辛くなった時期があるもんで。大学の時とか、なんか………色々と不安になっちゃってさ」
「CRY.STi⟬A⟭LLIZATION入る前の職場で何かあったとか?」
「…………………あんま、記憶に無い」
「記憶に無いって一番闇深くない?」
「就活失敗しまくったのと、色々とやりたいこととかあったのに、それが軒並みダメになっちゃって………バイトしていた知り合いの個人店の居酒屋も無くなって、本当に病み期入っていた時にやらかしたかな?」
「だって、お前………顔死んでたもんな。初顔合わせの時に「なんで、こんな死んだ魚の目をした奴が受かったん?」って思ってたもん」
「色々と抱えるもんは抱えてたっていうのが全面に出過ぎてたよね?」
「周りから見れば普通の環境だったんだけど、その"普通"の重圧が、私にとっては重すぎたんだよね」
「ゆみりって気ィ遣いだからね。色々と1人で抱え込み過ぎているのはあるかもしれない」
「私、ゆみりの両親にあったことあるけど………まぁ、世間体を気にするタイプで、典型的な毒親だなってのは正直思った。自分達の普通を押し付けて子供を苦しめるタイプだなって」
「楓夏依の言ってることが、ずっと私の隣で私の人生を見てきたんか?ってくらいに言ってることが的を射ていて怖いんだけど」
「ずっと……………見てたよ?(𓁹‿𓁹)」
「怖いって」
妙な圧を感じてしまった。
楓夏依から、威圧感とは違う………異様な圧をひしひしと受け取らされている。突っぱねたいのに、私のATフィールドを何食わぬ顔でブチ壊してきて入り込んでくるような……そんなオーラを放出させている。
最初から割と好き好きオーラが出ていたんだよね。
他のライバーにもガツガツと絡みにいけるような性格でもあるから、周りから見れば私との距離感というのは特に疑問に思われていないと思うが、実際に絡まれている私自身の目で見ると…………うーん、なんて言うんだろう。
やらたと距離感が近いというか、最初の最初では特に違和感を覚えるということは無かった。
日を追う事に「ん?」と思うことが多くなった。何かとスキンシップが多いんだよね。他のメンバー………美香と美咲にもやらないようなスキンシップをしてくる。
後ろから「よっす!!」とか言って、腕を絡めてきたりなんてこともザラにあった。女ばかりの空間で、2期生以外のライバーから見れば「何?アイツら?」みたいな目線で見られることも多々あった。
2期生以外のメンバーとの絡みは完全にビジネス仲良しだったからね。好きとか嫌いとかじゃなくて、特に関心がないっていうもの。
仕事だから最低限の仲良しアピールをしておこうということで、リスナーにはお互いが無関心であるような雰囲気を絶対に悟られないように上手く百合営業を行っていた。
1期生の誰々と私が仲良くて、楓夏依とは不仲説が出てるなんて事もあった。……こういうのを見ると、百合営業が上手くいってるんだなって思う。
距離近くて少し離れた方がいいってマネージャーに言われて、配信内ではベタベタするのを止めた一発目の配信の後に不仲説囁かれたものだから、ヲタクの情報拡散力と早とちりっぷりにはドン引きした部分もある。
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