𐎢𓊆25録𓊇𐎽総督府
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「君達が、シエルの運営しているホテルの近くで、こちらの世界に転生初日だというのに、総督府内の実力者達でも平気で死ぬような奴等との戦いを無傷で乗り切ったという………」
「実際に相手にしたのは、山下美香っていうのと中村ゆみりの2人ですが」
「なるほど…………見た目は、僕達が知っているような日本人の見た目では無いが………その見た目というのは何か理由があるのかな?」
「知らないです」
「そうか…………本当に、君達は何から何まで謎が多いイレギュラーな存在だね………転生後の姿も、転生時の年齢なども、今までに前例がことばかりなものでね?」
「は、はぁ…………」
「転生者は本来、赤ん坊の姿から転生するものだ。前世の記憶を持ったまま、こちらの世界の赤ん坊から成長していくっていうのが転生者だ。それが、シエルとそこまで歳が変わらない状態で転生しているのが前代未聞………なんて話では片付けられない事例となってしまった」
「問題、と、言われてしても···············」
現在地、総督府。
シエルさんの案内に従って、私達4人で訪れた。シエルさんも最初は一緒に行くという話になっていた。
「ついていく」と向こうから言われて私と美咲が了承したのだが、楓夏依と美香が嫌がったため、シエルさんはホテルで居残りという形に。
2人が嫌がった理由というのが全く分からないが………シエルさんが居なくても、どうにでもなるだろうということを思っていたため、楓夏依と美香が嫌がるのならば2人の意思を尊重しようということにもなりまして。
優先順位を付けた、という言い方をすると悪く聞こえてしまうが………誰にだって、何にだって、優先順位というものは存在する。
寧ろ、しっかりと優先順位というものを付けないと、本当に大切なものを見失うことになる。身の回りで「他人に優先順位なんて付けられるか!!」なんて無理して偽善を振りかざしていた馬鹿も居た。
そういう奴は結果として身を滅ぼした。大切なものをどんどん失っていって、守っていたはずのものからも簡単に裏切られていって………周りから見れば悲劇のヒーローに見えたりもするのだろう。
私からすれば、シンプルに自業自得でしかないと思う。自分自身の人生をしっかりと決めなかった自分自身の判断の誤りでしかない。
それなのに、自分は悪くないと言い張るかのように「どうして、自分ばかりが不幸に………!!」なんて愚痴ってるところが、腹黒さが滲み出ている。
自分がとても良い人間なのだから、もっと評価されたるべきなんだよ!!っていう本心が見え見え。自己肯定感の低さを演じているだけのナルシスト。
本当に自己肯定感が低いヤツは、周りを巻き込んでまで、当たり前のように他力本願を望んだりはしない。
……………話が逸れました。すみません。
配信の時の癖が残ってしまっているな。ちょっとした話題から話を膨らませていくっていうことをやっていたのが、こういう場でも思い切り出てしまっている。
そういう話し方をするように訓練したわけではなく、2期生4人で集まって「配信の内容をどうしよう」ってことを相談した時に、適当に話題を拾って、愚痴でも何でもいいから話を膨らませることを意識しようってことになった。
1回の配信で平均して3時間くらいはやる。長くて5時間、6時間とやったりもする。3時間雑談配信ってことにもなると、コメントを拾えるだけ拾っても話題が足りなくなるし、コメント対応をし過ぎるのも帰って自分の話をしなくなるため、自分というキャラが薄くなってしまって、個性というのが死にやすくなる。
愚痴やプライベートの話をするのは笑えないとかっていうのもコメント欄で言われたりして、愚痴に関しては控えた方がいいのかな?って思ったりはする。
しかし、VTuberは見た目はアニメのキャラのような見た目であっても、実際に喋ったりしているのは生身の人間である。
愚痴は言うし、プライベートのことを話す時に生々しくなるのは当然のこと。一部のヲタクのためにわざわざ自分のスタンスを変える必要は無いなということもスタッフさんを交えて相談した上で、デビュー当初からは愚痴とプライベートの話も含めて、年齢もほぼ暴露させながらもギリギリのラインを攻めながら雑談配信をしていた。
それを貫いて、チャンネル登録者数300万人という結果を出すことが出来たのだから、少数派の分かった気で居る頭の悪いのが伝わってくるヲタクの話は聞いちゃいけないなっていう意識をしっかりと持って活動させてもらった。
あくまで言葉のプロレスとして絡んだりはしていても、それを次のテンションを次の配信に持っていったり…………それこそ、オフやプライベートに持ち込むなんていう真似はしない。
最低限のプロ意識を持ってやっているつもり。豐穣熾カレンと中村ゆみりという存在も差別化するためにも、ファンだけでなく私自身でも豐穣熾カレンという女の子が魅力的に映るようにしてあげるのが、私の人生の役目だと思っている。
今でも、そう思って生きている。豐穣熾カレンの体がガワとしてだけではなく、生身として自分に纏われている今だからこそ、余計に豐穣熾カレンという存在を意識して過ごしていきたい。
私の中でも、この世で一番可愛い女の子だと思っているから。
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