𐎢‎𓊆24録𓊇𐎽 セカンド初陣 終幕


「うーん………えぇ………美香ちゃん………んん………」


「シエルさん、コイツの事を考え過ぎると知恵熱出るんで、そこら辺にしておきましょうや」


「うん…………そうする…………」


「でも、2人が無事なら何でもいいや」


「また、シャワー浴びなきゃだよ………」


「シャワーで済むなら全然良いでしょ。普通に死ぬかもしれないような戦いだったみたいなんだから」


「じゃあ、美香ちゃんとゆみりちゃんは中に入って………早くシャワーでも浴びちゃった方がいいんじゃない?湯船溜めたいんなら普通に溜めちゃってもいいから」


「「はーい」」


「2人とも、いつも通り過ぎて本当に怖いな………」


「ね」


「でも、私達も同じようになっていって………いずれは何の躊躇も無く化け物に向かっていくような人間になっていくんだなって思うと、何とも言えない気持ちになってくるな………」


「あまり、殺しの仕事に染まるって言うのは褒められたもんじゃないけど、この世界に生きている以上………ある程度は染まっておかないと、自分の命も、誰かの命も守ることは出来ないよね」


「良い塩梅で………とかっていう話でもないしな」



楓夏依と美咲は2人で何か話しているようだ。耳に体液が掛かっていたり、私も私で美香と話していたのもあって、2人が何を話しているのかは殆ど聞き取れなかった。


おそらく、私と美香の話をしていたのは間違いない。2人の視線を背中に感じている。チラッと向いたら目が合ったので、私と美香の話をしているのは確定と見ていいだろう。



中に入った私と美香はシャワールームに駆け込み、脱いだ服はシャワールームの手前にあるコインランドリー的なところに入れておいた。


本来なら有料のところをシエルさんが「入れといたら勝手に回しておくから、そのまま体洗ってきて大丈夫よ」と言ってくれたので、お言葉に甘えてコインランドリーで全裸になってシャワールームに入った。


今は私達4人が貸切状態になっているので、自由に過ごしていて構わないの事。店の前があのような状態になっているので、少なくとも数時間くらい経たないと客足は戻らないだろうという見込み。


それに、仮にもラブホテルということもあって、真昼間の今の時間に頻繁に客が出入りすることがそこまで多くないこともある。

客足が戻るまでは好きに使って、他に客が来たら、情事の邪魔にならないように過ごしてくれればいいとのこと。



シャワーを浴び終わってから、シエルさんのところに戻り、今後の予定としては私達4人は周りの状況が落ち着いたら、元居たホテルをしばらく拠点として活動したいという旨を伝えた。


シエルさん的には自分よりも既に強いメンバーが居る私達をボディーガードとして置いておきたいと素直に話していた。

その代わりに、この世界のことや異能についても色々と教えてくれたりっていう条件を提示くれた。


しかし、この世界のことと異能について教えてくれるという条件で、一緒に住むという理由にはならないような気がするのは私だけではないはず。


ボディーガードとは言っても、一緒に住むだけでは別に同居人というだけにしかならない。シエルさんも「好きに活動していい」って言ってるのに、自分のボディーガードもしてほしいとは…………矛盾しているのでは?と思う。


第一、私達が守られなくても十分な強さを持っている。


私達に色々と教えられるだけの技量があるなら、私達よりも経験と知識が明確なのだから、その分死亡率っていうのも低くなるのでは?って思う。


それに、私達の実力なんかも見極められたり………個々に渡せた戦い方の指導も出来るレベルの人が、異世界初心者の転生者の私達に守られるなんて変な話だ。まず、この話が始まっている事そのものがおかしな出来事というもの。


そこは異世界歴の大先輩らしく、自分が守ってやるよ!!っていうくらいのドッシリとした構えというか、それくらいに強い心を持ってほしいというのが本音である。



………なんて、本音は心の中だけに留めておいても良いことは無いと思って、しっかりと本人には伝えさせていただきました。


ボディーガードはお断りするのと、シエルさんのホテルで暮らすというのも何かと気を遣うということで、元居たホテルで暮らすという決意が固まったと改めて伝えた。


この世界のことについては自分達の力だけでも少しずつ知っていくことは可能であり、異能に関しても使っていくうちに自然と身についていくと考え、シエルさんとはクエストバーサーカーとしての仕事の依頼の受注をする時に顔を出すだけになるだろうとハッキリと申し出た。


すると、シエルさんは「ずっと1人で暮らしていて寂しいのが本音だから、一緒に住むとはいいから、定期的に遊びに来たり、総督府に用がある時は私を口利きとして使っていいから連れてって」と懇願してきた。


急に、満18歳らしい言動をされると私達もNOとは言いづらい。見た目年齢はVの時の設定をそのまま流用すると高校生くらいの設定だが、中身はガッツリアラサーの女が入ってるのが豐穣熾カレンという存在。


高校生設定のVTuberの中身、本物JKが入ってることの方が無いに等しい。まず、そこそこ売れて、最低限収益化しているライバーの中ではJK設定のガワの中身は確実に成人済みの女が入っている。


中の人までも高校生だと、子供っぽさが出過ぎてリスナーがつかない。ヲタク、2次元のメスガキは好きだけど、現実味があるメスガキには嫌悪感を抱く傾向がある。


思っているよりも本物のロリコンって居ないのが現実。ヲタクが好きなロリは、中身がそこそこ歳しっている女が演じているロリなんだなって思った。


ガチなのは稀だね。たまにホンモノが出てきたという話を聞いては引く時はある。


私達のロリボイスで我慢しておけばいいのに………って思ってしまう。楓夏依は声が低くてロリボイスではなくて、完全にショタボイスになってしまうが。


それでも"男"女共にウケるのだから、それはそれで成功していると言える。"男"女共に集客に成功しているコンテンツならば、続けるべきなのだ。


ショタボは意外と売れる。ボイス集のようなものを作ると、本当に誰でも買ってくれる。本当に"声"で稼いでいる感じが全面に出るなって楓夏依の収益を見て思っていた。


ショタボ以外だと、エロボイスじゃないと売れないのが難点。統計で売れることは分かっているのに、社長が許可してくれなかったため、エロボ収益化計画は頓挫。



…………そんな下らないやり取りも、社長を絡むということになると、もう実現ないんだなって少しでも考えると、泣きそうになる。


社長も、転生していたりして······························それは無いか。


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