𐎢‎𓊆23録𓊇𐎽 セカンド初陣 Ⅴ









___シュォォォォオオオオオオオ………!!!!!!!







[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]༆l̺͆l̺͆❂[[̲̅[̲̅ᛟ̲̅][̲̅ᛟ̲̅]なっ………_______!!??[̲̅ᛣ̲̅][̲̅ᛣ̲̅]]☪︎l̺͆l̺͆༆[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]









___ドチュンッ…………!!!!ドパァンッ………!!!!













「よしっ!当たった!」


「凄っ……………」



美香が投げた槍は化け物の脳天を貫いて、頭の上半分を弾き飛ばしてしまった。全身を高温の炎で纏っていたはずなのに、それな負けることなく、美香の槍は化け物の張っているバリアも身体も難無く突き抜けた。


化け物の方は、断末魔の叫びをあげる間もなく即死………頭の上半分が綺麗に吹き飛んで脳味噌が無くなっているんだ。

脳と心臓を基点として生命活動をしている生き物にとっては確実に死に至る致命傷だ。


頭を失った化け物は命と同時に全身を纏っていた炎を消え去り、そのまま自由落下で地面に落ちていった。


無くなった頭から落ちていったため、無くなった頭から噴き出していた体液が地面との衝突によって四方八方に飛散した。


美香の槍は死体から少し離れたところの地面に突き刺さっていた。


美香はそれを回収するために死体を乗り越えて、刀剣の部分が地面に全て埋まってしまっている槍を引き抜いてUSBメモリへと元に戻した。



・・・・・・・・目の前で化け物の体液を浴びて槍を振り回していたのが美香というのが、信じられていない。


どこのタイミングで覚醒したというのだろうか。


覚醒とも違う…………何を、どこで、吹っ切れたというのだろう。



「ふぅ〜……………あっ、まだビチャビチャになっちゃった」


「そ、そうだね…………」


「さっきのと同じで、トイレの芳香剤の匂いがする体液だね。これを原料にした芳香剤とか香水とか売ってるのかな?」


「悪趣味な金持ちとかは買いそうな高い香料が出来そうだわ」



気付いたら、私の持っていた大剣はUSBメモリに形を変えていた。


いつの間に解除されていたんだろう?自分の意思とは無関係に今持っている武器が、武器の形を止めてしまうというのは怖いところではある。


美香は既に自分の意思で変化させることが出来るみたいだ。

槍に関しても、自分の意思で槍に変化させようと決めて、それを実際に再現しているのだろう。



美香とそんな会話をしていると、ホテルの中から楓夏依と美咲と、シエルさんが出てきた。


1匹目の綺麗なリプレイということになってしまった私達の現状。


化け物を殺したことによって全身が紫色の、良い香りがする体液に身を包まれて…………化け物を殺したのも、片方の人間によるものっていうところまでも一致している。


シエルさんも目が点となっている。楓夏依と美咲は私と美香のところに駆け寄ってくれて体の心配をしてくれている。



「2人とも!!大丈夫!?」


「怪我とかは無い!?特に美香!!さっきまであんなにビクビクしていたのに………」


「あー、えー、意外とやってみたら………何とかなるもんなんだなって思った。たはははは〜」


「そんな軽い感じでやってたんか………?」


「軽い感じっていうか、なんていうか……その………説明は難しいよね〜」



恐怖で感覚がバグってしまったのだろうか。


配信の時くらいにフワフワとした喋り方をしている。普段からのほほーんとしている人間だが、あんなド派手に化け物を殺しておいて、配信時の挨拶でもある「こんさくら〜」っていう時は、聞いている8割の気が抜けてしまうのでは?っていうくらいの間の抜けた挨拶の仕方をする。


平和ボケ丸出しの挨拶のトーンでずっと、今の状況で話しているのである。

そんなテンションで話し続けられると、私達の思考回路までバグを引き起こしそうになる。


一応、命の危険に晒されているっていうのは今のところは無いとしても……目の前に化け物の死体が2つも転がっている状態で、いつも以上にゆるふわ系の空気を醸し出すのは、正直言って頭のネジが飛んでしまっていると思う。


1本、2本の話ではなくて………30本くらいは平気で空の彼方に飛散してしまっているのでは?



「み、美香ちゃん…………頭、大丈夫?語弊がある言い方だけど、クレイジーって意味じゃないから」


「え、えっ?えぇ、まぁ、大丈夫ですけど」


「大丈夫そうには見えないんだけどな………お前、なんでそんなにも呑気なの?ゆみりに助けられた時とかなんてバチクソにビビっていた癖に」


「自分でも、心の切り替えの速さに驚いている。でも、一番大きかったのは………私のことを助けてくれたゆみりを何としてでも死なせない………!!っていう気持ちがあったからっていうのがあるかも。そればっかり考えていたら、怖さなんていうのはどっか飛んで行っちゃったもん」



私を助けることを考えた結果、このようなテンションになってしまったのか。それを言われてしまうと何とも言えなくなってしまうな………



「あ、ありがとう」


「いえいえ、ただの恩返しですから〜♪」



調子が狂う。シエルさんは美香の変わりように誰よりも頭が追いついていなくて、唖然としたり、しかめっ面で美香の顔と地面を交互に見て溜め息をつくというのを延々と繰り返している。


まぁ、今日初対面の人間から見れば、こんなにもフワフワしている美香のテンションは不気味でしかないだろう。


私達でも不気味だと思ってるくらいだから。



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