𐎢𓊆17録𓊇𐎽 attack distributor
「本当に環境に恵まれてますよ。環境と人間関係に恵まれて………なんていうか、皆が居れば何だって出来る気がしますから」
「私達、マジで一蓮托生だったもんね。死ぬ時も本当に一緒だったくらいだし」
「あっ、同時に死んだんだね」
「4人で一緒に電車に飛び込みましたね」
「WAO……だいぶ迷惑な一蓮托生じゃん。でも、死ぬ時までしっかり一緒って、仲良いを通り越して、それはもう………付き合ってるんじゃないのかな?ってレベルだわ」
「付き合ってても、流石に死ぬ時まで一緒は重すぎますって」
「その重すぎるのを実際にやってたんじゃないの?だって、一緒に同時に自殺するなんて………余程の、お互いに共有できるほどの死にたくなる経験が無いと………」
「私達の会社、倒産したって出てきたと思いますけど、その時にYouTubeチャンネルとかも凍結されて。残っているのもアーカイブとかで………」
「えっ、でも、さっき見せたのは本人のだったよ?」
「どっかのタイミングで復活したんだなって思いましたが………今更、前世に未練は無いので」
「てか、ごめん。会社が倒産して………チャンネルが凍結されて、その後に全員で自殺ってこと?・・・・・・・・あぁ、でも、本当に自殺まで追い込まれるか。メンタル的にも。ここに転生した時の姿が、ソックリそのままVの時の皮になるって………本当に思い入れの強過ぎたモノだったんだなって思うわ」
「自殺する時、最期まで一緒に居ましたから。USBメモリでモデルのデータだけはずっと持っていたくらいですから」
「モデルがあるならば、普通にもう1回やればいい………って単純な話だったら、自殺までしないか」
「モデルがあるだけじゃ、VTuberっていうのは絶対に成り立ちませんから」
「ごめんね、なんか………不躾な事を聞いちゃって」
「遅かれ早かれ話すつもりだったので、別に気にする事はないですよ」
「なら、いいんだけど····················」
私達の死んだ理由なんて、そう思われるような死に方だろうなっていうのは思っていたこと。モデルがあるならいくらでも復活出来る………っていうのは、無尽蔵の気力がある人間だったら出来たかもしれない。
社長は、私達2期生だけじゃなくて………所属しているライバー全員のモデルをイラストレーターさんから著作権ごと買い取っている。
そんな金はどこから!?って思ったが、脱税やら横領やら………多分、マネーロンダリングとかもやっていたんじゃないのかな?って思う。
ライバーには滅茶苦茶優しかった分、社長自身も法に触れてまで、私達に尽くしてくれていたって思うと…………世間的には犯罪者のクソ野郎って言うことになっていても、私達にとっては、心の底から尊敬できる………私達を懸命に支えてくれた人だった。
「あんな犯罪者の元から解放されてスッキリした〜」なんて割りきれるわけもなく、そもそも犯罪者なんて一度も考えたことも無く………脱税だって、横領だって、マネーロンダリングだって、世の中でやっている人達なんて沢山居るだろうに………!!なんで、社長だけ………!!っていう悔しさしか無かった。
その気持ちもあって、余計にメンタルが削られたから………それも、自殺に踏み切った大きな要因でもある。
社長の元で、CRY.STi⟬A⟭LLIZATIONという事務所で、そのスタッフさんが居て………勿論、専属のマネージャさんも居て。
同期だけじゃなくて、所属ライバー全員で良くも悪くも切磋琢磨出来て、衝突することもあったり、気が合わないメンツも居たり………そんな中でも楽しくやれたっていう環境があって。
どれか一つ欠けただけでも、活動に対しての意欲なんて喪失していくのに………それが一気に全てが無くなってしまったんだ。
どう、立ち直ればいいのかも分からなくなるのも当然ではないか。この気持ちの重さ、辛さは………当事者同士でしか分かり合えないものだ。
他人の物差しなんかで推し量れるものではない。推し量られてたまるかという思いしかない。
でも、本当にCRY.STi⟬A⟭LLIZATIONに存在していた全てが心の底から好きだったんだなって思う。
転生体になっても、影分身や身代わりのような豐穣熾カレンの体が、今は中村ゆみりと完全に同化している。
魂自体は完全に中村ゆみり、肉体は豐穣熾カレン……他の3人も全く同じ状況にある。本当の意味での"中の人"になる日が来るなんて、誰が予想しただろうか。
「モデルに魂を与えるのがVTuberだ!!」っていう信念を胸に、常に全力で向き合っていたけど、それが比喩の範疇に留まらずに……そのままの意味で魂を与えることになるとは。
私達自身、リアルバ美肉をすることになるとは………世界は、事実は小説よりも奇なりってよく言ったもんだなと。
私達の自殺理由を聞いたシエルさんは、地雷を思い切り踏んでしまったと言わんばかりに落ち込んだ表情をする浮かべながら俯いてしまっている。
こういう時に楓夏依の陽キャっぷりのお陰で、全力でシエルさんの事を「私達が気にしていないんですから、シエルさんが気に病むことじゃないっすよ〜✨ガハハハハ〜✨」と、問答無用でテンションを上げさせようと試みている。
これが意外とシエルさんには効果的で俯いて暗い表情してところから、だんだんと明るい表情へと戻っていた。
楓夏依………ユキの配信を見たファンは「どんなに嫌なことがあっても、頑張って生きようと思えるだけの元気を与えてくれる明るさがある」って評判だった。
どんなにネガティブな人でも、アンチですらも「見ているだけで元気になる特効薬」なんて言われるほどの根明配信を繰り出していた。
それは、月島ユキが本物の肉体となった今でも………2000年経った今でも健在という事だね。
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