𐎢‎𓊆14録𓊇𐎽 survival virtual Real


「「「「·····································································································································································」」」」


「色々と思うことはあるかもしれない。私達としても、そう簡単に人を死なせられない状況にはある。だからこそ、目を付けた人達には優遇をするように勤めている。さっきの化け物の討伐分の報酬金も、全員の口座に入れている。プリペイドカードの方にもそこそこの金額も別途で全員同じ金額が入ってる。それと、ゆみりちゃんだけはソロ討伐ということもあったから、他3人の報酬金を合わせた分の金額が振り込まれているよ」


「……………………いくらくらいですか?」


「日本円でいいんかな?日本円ならば、3500万くらい?」


「えっ、私1人でですか?」


「そうだね。他の3人は1000万ちょいくらいかな?」


「私達………何もしてないですよ?」


「あのレベルの化け物は、遭遇して生き残っただけでも凄いって言われるくらいだ。気配すらも感知できないくらいだしね………私も、死体を見るまでは一切気づかなかったくらい………あの化け物、私一人だったら確実に死んでいたかもしれないくらいの相手だよ」


「それを普通に殺したゆみり、ガチでヤバいヤツやん」



間違いない。


クエストバーサーカーとしての実力が相当高いであろうシエルさんすらも「1人で戦ったら死ぬ」と言っているレベルの化け物を普通に殺せるのは………異世界転生初日の人間がやれることではない。


自分でも、あんな化け物を殺すことが出来きたのか…………自分が自分を分かっていない。


落としたUSBメモリを拾って、それがなにかの弾みで太刀に変わって…………そのまま化け物に斬りかかったところまでは覚えている。


そこから途中の記憶が無くなって、気付いたら…………全身がラベンダーの香りがする体液に包まれていて、美香を襲おうとした化け物は頭が真っ二つになって死んでいた。ってところだ。


ネットミームでもある、イキリト構文のような事を言ってしまっているのは自覚はあるが、実際にこれが私に起こった事実なのだ。


事実として起きてしまった事柄をねじ曲げることなんて出来るわけがない。



楓夏依からは「ラノベ主人公やん、流石〜」とおちょくられているが、私の中では何もかも整理が出来ていない状態である。



「……………………………」


「多分、ゆみりちゃんからすると………自分の力っていうのは分からないよね。私も、全貌は見ているわけじゃないけど…………多分、何か特別な力を使えるのかもしれないね。もしかしたら、こっちの世界に来る前にも何かしらの片鱗とかもあったんじゃないのかな?異能が発言する世界じゃなかったとしても、自分の把握しないところで特別な何かが起きていたり………とか」


「ど、どうなんでしょうか……?」



自分自身では思い当たるところは無い。


他の3人に「私って何か特別な何かがある?」っていうのを聞いていても、「特別ではないかもだけど、何か面白いところがある」と3人とも同じ回答をしたので、余計に自分が何なのかが分からなくなってしまった。


何か面白いところがあるって言われてましても、それは答えになっていないような気がする。


私は「特別が何かがあるのかどうか?」っていうのを問いたいのに、若干逸れている事を言うのはどうなのだろう?


ストライクゾーンがあって、そこをど真ん中に狙ってくるのではなく、内角高めあたりを狙ってくる感じなんだよ。


………野球素人からすると、内角高めって顔にボール飛んでくるようなものだから、そんな危険球を投げられたら避けます。


遊びで事務所メンバーの何人かと草野球やっていた時に、ソフト部経験者でもあった楓夏依がピッチャーで容赦なく内角高めギリギリを狙ってくる。


内角高めギリギリなんて、顔ギリギリですから。避けまくって三振になったが、その容赦ない投球をした楓夏依が顰蹙を買っていた、


あまりにもバッシングが酷かったため、ちゃんとストライクゾーンの真ん中を狙って投げてくれるようになった。


社長が野球好きで、皆で運動しようっていうので、1期生のデビュー2年目……私たちが入ってきて間もない頃から、草野球は高い頻度でやっていた。


草野球以外にも、ボイトレを兼ねた走り込みなどもやっていた。3キロタイムトライアルをやった時は私が常にトップだった。


この日頃からの運動の光景をVの配信に使えないものかと楓夏依が提案したが、技術的に無理だということで却下された。


……………今の体なら、イケるかもしれない。この見た目でヌルヌルとした動きでマラソンやら野球の生配信をやってみたら、かなりの同接、アーカイブの再生回数も稼げるのでは?と頭の中に過ぎった私は職業病を重度に拗らせているなと思ってしまった。



配信業の事を考えられるくらいには、メンタルは安定しているようです。私のメンタルは。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る