𐎢𓊆12録𓊇𐎽 契約
「ここに、サインすると……どうなるんですか?」
「この契約書自体に特殊な魔術が掛かっているんだよ。ここにサインをすると、勝手に許可証が作られる。実は………実力者がここ最近で一気に死んじゃってて、元から人手不足だったところが、更に人が足りなくなっちゃったから。私達内勤はこの契約書を普段から持ち歩いて、「おっ?」って思う人が居たらスカウトしてでも増やそうってことで、ちょっと前の会議で決まったんだよ」
「そんなにギリギリなんですか?」
「うん…………ギリギリになっちゃってるんだよね。あははは〜」
クエストバーサーカー………総督府全体になるのか?どうやら、私が殺した化け物ような奴等を殺すための人が今はとんでもなく足りていないらしい。
クエストバーサーカー、総督府の歴史は設立から7000年ほどの歴史があるらしいが………
その長い歴史の中でも、1番と言っていいくらいに人手不足らしい。魔法やら、それ以外の異能力の使い手というのも増えてきて、今が1番豊富な戦力が揃えられるはずだ。という話も上がっているくらいらしい。
2000年ほど前には、"最前線組"という別格の強さを持ったクエストバーサーカーが居たが、その当時の最強格ですらも歯が立たないされるほどの………実力としては、そんな無敵のクエストバーサーカー達と並ぶほどの実力があるはずの人達でも普通に死んでいく程だという。
2000年前の最前線組には、素の戦闘力が高過ぎる他に、
空間そのものを操る人、
能力を無効化して、無効化しただけの異能を扱うことが人、
自然そのものの力を扱う人、
神と呼ばれる化け物のみが扱えるはずの魔術を使う人、
そもそも、太陽神であり太陽の力を使うことが出来る神様………
みたいなのが一つの世代に揃っていた時代があったという。
他にも、水の力を極めた最強の水使いや、衝撃波と高火力の魔法を使って無双していた災害クラスの女性アイドルっていうのも居たようだ。
そんなヤバいアイドルが2000年前にいたのか?っていう感想が頭に湧いてきたのと同時に、2000年前なのにアイドルという言葉が普通に使われているということは………転生する前の時代よりも遥か未来に行ってる可能性もある?………という思考も出てきた。なんなら、「VTuber」として活動していたのもいるくらいだということを明言したので、確実に私達が思っているよりも遥か未来の
化け物以上の何かと言われていた人達と同じ力を持った人でも勝てない………相打ちならば良い方だというくらいの現状のため、どんどん人が減り続けているようなのだ。
何より、その"最前線組"と言われている世代の人達が本当に個性的だな。クエストバーサーカーとしての実績よりも、クエストバーサーカー以外での活動が物凄いことになっている。
最前線組5人で組んだアイドルユニットも存在すれば、それをプロデュースした人も漏れなく最前線組………しかも、自分もステージに出てパフォーマンスもしていたという話も聞いて驚いた。
ゴリゴリの芸能人でも、普通にそんなことをやっているんだなって思った。
その時のアイドル、VTuberなどのアーカイブを見せてもらったが………やはり、2000年前の話となると、ジェネレーションギャップというレベルを通り越した年月が経っているため、何も分からないっていう状態だった。
現代のクエストバーサーカーでも、情報屋を兼ねているような人達でしか知らないくらいに、過去の歴史として風化してしまっている模様。
しかし、ごく一部の人の間とは言っても………2000年の時を経ても名前が語り継がれるほどのアイドルって凄いな。
2000年経っても語り継がれるなんて、卑弥呼みたいな存在なのか?と思ったりもした。卑弥呼よりも、更に前になるのかもしれない。
そして、名前も日本人のような名前をしているので、シエルさんに聞いてみたところ"転移者"という部類の人達になる。そして、私達と同じ日本から転移してたということだ。
この話をしている最中に私達の本名の方をシエルさんに明かしたため、「これも、なにかの縁なのか、"運命"とも言うべきものなのか………」ということを呟いてように言っていた。
「最前線組って呼ばれる人達、なかなかにレベチなのが揃ってみるみたいですね」
「でも、そんなレベチな人達でも骨がおれるような化け物を1人で………しかも、無傷で勝っているのが、みゆりちゃんだもんね」
「それは……なんていうか、たまたまって言うか………その………」
「謙遜しなくていいんよ?あのクラスの化け物は運とか偶然でどうにかなるような代物なんかじゃない。クエストバーサーカーとしても、圧倒的なセンスがあるかもよ?」
「そう、なんですかね?」
「みゆりちゃんだけじゃなくて、他の3人もそうだと思う。今後の鍛え方でとんでもないクエストバーサーカーになれるはず」
「は、はぁ…………」
「あんまり今は乗り気じゃないかもしれないけど、死にたくないなら強くなるしかない。隣に居る友達、家族、仲間………1分先まで一緒に、確実に居たいのならば強くなるという選択肢以外に無いと思う」
さっきまで軽い雰囲気で話していたシエルさんが、その言葉を言った時だけ……言葉と表情から出る威圧感が私達に重くのしかかった。
正直、いきなり初対面の人に殺しの仕事をやれなんて勧誘されて、その仕事をするための契約書なんて………絶対にサインするものかって思っていた自分が居た。
規約に関してもシエルさんから説明を受けたが、特にこれといった縛りもない……あってないような規約だということも言われたので、そこまで気にすることではない……と言われた。
自分の大切な人を守るために規約云々はおかしいだろ?っていう風潮から形骸化していったという経緯から、割とな無法地帯になりつつあるのも、人手不足の原因だと話している。
どこにいても、いつ死ぬか分からない世界………だったら、強くなるしか方法は無い。
やるしか、無いか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます