𐎢‎𓊆9録𓊇𐎽 極み喰らう

[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]༆l̺͆l̺͆❂[[̲̅[̲̅ᛟ̲̅][̲̅ᛟ̲̅]その姿………この世界じゃ見ない顔だな?転移者か転生者がやってきたってところか[̲̅ᛣ̲̅][̲̅ᛣ̲̅]]☪︎l̺͆l̺͆༆[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]


「うぅ…………」


「逃げろ…………!!」


「美香!!早く!!」


「うぅ………う………!!」



しまった………!!


美香が恐怖で動けなくなってしまっている……!!


それもそのはずだ………動けている、頭がしっかりと働いている状態で状況を把握して動ける美香以外の3人がおかしいのかもしれない。


人の言葉を喋る化け物。


顎まで裂けた大きな口、そこから大きな棘のような鋭く長い牙が無数に覗いている。背中になゲームでしか見たことが無い、ドラゴンのような翼を生やしている。

目が無く、口からは先程見かけたはずの、カップルの血肉が垂れ下がっていた。


地面には、その肉片と思われる赤い塊と血溜まりがあった。



[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]༆l̺͆l̺͆❂[[̲̅[̲̅ᛟ̲̅][̲̅ᛟ̲̅]転生者にしては、珍しい見た目をしてやがるな……大抵は、この世界に順応するような見た目になっているのだがな?ここまで特殊な見た目をしているのは、何か訳がありそうだ。その血肉………どんな味がするのか、ゆっくりと味わってやるとするか……ここまで希少価値の高い肉……さぞかし美味い事だろうよ[̲̅ᛣ̲̅][̲̅ᛣ̲̅]]☪︎l̺͆l̺͆༆[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]


「ひぃ……………!?」


「美香………!!」


(私は……どうすれば…………!!)



全員が美香のピンチだと言うのに、恐怖で体が固まって動かない………動け!!動け!!と念じても、足も腕も言うことを聞いてくれない。


このままじゃ………このままじゃ……美香が………!!


大切な環境まで失って………それどころか、大切な親友……仲間までも、失う訳には……!!


そんなのは、絶対に………嫌だ!!






_____カランッ







「あっ…………」



私のスウェットのポケットから、USBメモリが落ちた。


今はそんなことを気にしている場合じゃないのは分かっている。しかし、USBメモリのプラスチックに覆われた部分が、何故か紅く光っている。


ただのUSBメモリだったはずなのに、煌々と光り続けている。


その光を見て、私はふと「これを使えば……美香を助けられる」と根拠も何も無い自信に身を駆られた。


そう思った瞬間、恐怖で言うことを聞かなかった体が何事も無かったかのように動かす事が出来、素早くUSBメモリを拾った。


その時に、たまたまが勝手に押し込まれ、私が化け物に向かって走っていく間に、私の手の中で刀の形と変化した。


自分でも、今の状況の全てが分かっていない。


目の前の化け物のことも、USBメモリが刀に変化したことも………そして、美香を助けたいという一心で、ここまで恐怖心が無くなり、美香のために体を張れる自分自身のことも。









___タッタッタッタッタッ………!!










「ゆみり!?」


[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]༆l̺͆l̺͆❂[[̲̅[̲̅ᛟ̲̅][̲̅ᛟ̲̅その、武器は…………!?一体、なんなんだ!?何の、力だと……言うんだ……!!!??[̲̅ᛣ̲̅][̲̅ᛣ̲̅]]☪︎l̺͆l̺͆༆[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]


「ゆみり!!そんな化け物ひとりじゃどうにも出来な_____」


「うぁぁぁぁあああ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!!」








___カタカタカタカタカタ……!!!!






[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]༆l̺͆l̺͆❂[[̲̅[̲̅ᛟ̲̅][̲̅ᛟ̲̅]この、術式………!!詠唱なしで、まさか…………こんなの、初めて見るチカラをぉぉ____!!!![̲̅ᛣ̲̅][̲̅ᛣ̲̅]]☪︎l̺͆l̺͆༆[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]


「美香に………手ぇ出すんじゃねぇぇぇえええ!!!!!」


[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]༆l̺͆l̺͆❂[[̲̅[̲̅ᛟ̲̅][̲̅ᛟ̲̅]_____!!??[̲̅ᛣ̲̅][̲̅ᛣ̲̅]]☪︎l̺͆l̺͆༆[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]










____ヒュッ………!!ズバァァァァァォンッ……!!!!!!………オォオォォォンッ………!!











「はぁ………!!はぁ……………!!」


「ゆ、ゆみり・・・・・・・?」



無我夢中で、我武者羅に刀と化したUSBメモリを化け物に向かって振り上げた。


刀が何かに当たった感触はあった。それが、化け物への致命傷になっているのかは分からない。


私は息を切らしながらも、化け物の方を向いて、化け物の方から何か仕掛けてこないかを警戒する。


美香は私の背中に隠れて震えている。目から涙を零しながら、「ありがとう、怖かった……」と呟いた。


私の、大切な、仲間を………こんな風にした化け物………死ぬかもしれないけど、私は……絶対に、この化け物の事を、許しはしない………!!


怖がらせて、号泣させて、無事では済まさない………少しでも、私という人間の恐ろしさっていうのを記憶に刻み込んでやる……!!


[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]༆l̺͆l̺͆❂[[̲̅[̲̅ᛟ̲̅][̲̅ᛟ̲̅]あ、がっ………[̲̅ᛣ̲̅][̲̅ᛣ̲̅]]☪︎l̺͆l̺͆༆[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]


「ん………………?」







____ブシュゥゥゥゥゥゥウウウ…………!!!!








「…………………!?」


[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]༆l̺͆l̺͆❂[[̲̅[̲̅ᛟ̲̅][̲̅ᛟ̲̅]ぎゃあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ああ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!![̲̅ᛣ̲̅][̲̅ᛣ̲̅]]☪︎l̺͆l̺͆༆[̲̅ᛗ̲̅][̲̅ᛗ̲̅]



化け物の頭が顎の下の部分から脳天の辺りで真っ二つに裂け、そこから紫色の体液が噴き出し、断末魔の叫びを上げながら地面に倒れ込んだ。


私と美香は近くに居たため、思い切り返り血?を浴びてしまい、全身が紫色に染まった。


体液の匂いは………不思議と臭くは無かった。逆に、いい匂いが漂っていた。トイレの芳香剤の、紫色のタイプの…………ラベンダーの匂いと言えばいいのだろうか?


それと全く同じ香りが、化け物の体液から私の鼻の中を埋めつくした。



あんなにも気持ち悪い見た目をしておきながら、体液が芳香剤の匂いとは…………どういう身体の仕組みをしているんだ?

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