第41話 店長視点

「おー盛大にやってんなあ」


キュイ部屋の柵を開けて中に入る。

中にはキュイが野菜と果物を食べ散らかしていた。


「どうしたー?ご機嫌斜めかー?」


キュイを抱えて食べ散らかしを片付ける。


膝に乗せて撫でてやると仕切りに手を噛もうとしてくる。


キュイが落ち着くまで膝の上で遊ばせる。


(どっちも世話が焼けるなあ)


理人は果物なら食べられるというので壁させて寝かせた。

食べて寝れば少しはマシになるだろうと。


シフトの穴も代わりを見つけて埋められた。

とりあえずは大丈夫なはず。


(しかしなぁ…)


一人で抱え込むタイプだとは思っていたがまさかここまでだったとは。


そんなことを考えていると膝の上のキュイは大人しくなって来た。


ついでにさっき準備した果物の残りをあげる。

お腹が空いていたのかよく食べる。


「最近構って貰えてなかったのか?」


聞いてみたが明確な答えが返ってくるはずもない。


確かおもちゃがあったはずだと近くのカラーボックスを見る。

そこには見覚えのある人形があった。

テディベアを持ってキュイに渡す。


お気に入りだったはず、と思っていると正解だった。


大事そうに抱えている。


しばらく眺めているとキュイはそのまま眠ってしまった。


寝床にそっと戻して部屋を出る。


暇になった。

勝手にソファに座ってあくびをする。



時間は既に13時過ぎ。


腹は減るがどうもできない。


そのうち理人も起きてくるだろう。


(しかしなぁ…)


起きてきたらどう話そうか。


難しい話はできる自信はない。

かといってこの場から逃げるわけにもいかない。


(説教は駄目だろうし、どうするか聞こうにもあいつ話すの苦手そうだしなー)



あー、と小さく声を出して考えを巡らせる。


ゴソゴソと音がした。


「店長、ありがとうございます」


理人が起きてきた。


「おー大丈夫か?」


さて、どうしようか。

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