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「このまま定職にはつかないの?」
「うん。全然考えてない。」
「そうなんだ。不安とかないの?」
「ないねえ。だってさ、無理だもん。勤めるなんて。」
まあ、そうだと思う。でも将来が不安にならないのかしら。
「なんとかなるしさ。」
その気持ちがあるから平気なのかしら。
なんとかなるかか。
私はこのままずっとさきおと一緒に年を取っていくのかしら。
なぜこんな考えが急に浮かんだんだろう。
結婚して家庭を持つ。
自分も当たり前のようにそう思ってた。
でも今は彼氏も居ないし、その見込みすらない。
もりみたいになんとかなるさって思えればいいのだけど。
急に不安に取りつかれる。
彼氏は要らないけど、家族は欲しい。
わがままなのかしら。
「家族は欲しいって思わない?」
「家族?結婚してってこと?」
「うん。」
「そうね。それは思わないわけじゃないけど、そういう人に巡りあえたらじゃない?」
「そうだけど。巡りあうって実際にはないじゃん。」
「やあねえ。勤めてるとそういう思考に陥るの?」
「そうかもしれないけど。もりにはわからないかもだけど。」
ああ、何考えてるんだ私。もりの前だと急に真面目なおばさんみたいになっちゃう。
「ごめん」と手を合わせた。「ちょっとだめね、今日の私。なんとかなるさ精神見習わなくちゃ。」
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