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すごく並んでいる。まだ昼前なのに。

でも今回は並ぶことを選択した。

当然だけど並んでいると話すことになる。

林君は肩に力が入っていてリラックスして話せないでいるのが

手に取るように分かった。

なんでこんなに緊張してるんだろう。

そろそろ緊張が溶けてもいいころなのに。


「今日の服はどこで買ったの?」

「ああ、これちょっと派手だけど。」

「自分で?」

「いや、兄貴がグアムに行って。」

「そうなんだ。」


「グアムかあ。いいなあ。」

「。。。」


「林君、海外は?」

「ある。」

「どこ?」

「ずいぶんまえだけど、オーストラリア。」

「へえすごい。」


「海外旅行行きたいなあ。」

「。。。」


ちょっとさあ緊張し過ぎだって。

林君らしくない。


みんなの前ではあんなに明るくて元気なのに。


まだ時間がかかるのかなあ。


なんでこんなに緊張しているんだろう。

やっぱり今まで付き合ったことないのかなあ。

それにしても。


緊張をなんとかしようとして更に緊張しちゃってるのか。

悪循環というか負のスパイラルにはまっちゃってるのかなあ。

なんか気の毒に思えてくる。

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