15

沈黙の方が多くなっちゃったけど電車の中だからしょうがないか。

目的駅に到着。

林君は初めてだからスマフォを取り出してどっちだどっちだってやってる。

私も久しぶりだったけどだいだいこっちだったような気がするとはわかった。

でも林君を立てる。

私って結構こういうとこあるんだなあ。


なんとか正しく移動し始める。

人が多い。

今度は少しは話しやすくなった。


汗ばむ陽気だ。


「日傘持ってくればよかった。」

「暑いね。」

「日傘買って相合傘する?」

「日傘なんて売ってる?」

「そこで売ってる。」

ちょうど通りかかったお土産屋に日傘も置いてある。


「必要なら俺が買うけど。」

冗談のつもりで言ったんだけど、なんか断るのもなあと思って、

「買ってくれるの?」

「どれがいい?」

買ってくれることになった。


相合傘をすれば当然距離が近くなる。


傘を握る林君の手がぎゅっとなっているのがわかる。


「ちょっと涼しくなった。」

「うん。」

と言う林君の額に汗が見える。

もしかして冷や汗?


「そこを曲がったあたりにカレー屋があるけどカレーは嫌い?」

「ううん、好き。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る