12

街の外れまで来てしまった。

人通りが少なくなる。


「もどりましょうか。」

「そうだね。」

林君はずっと緊張している。

ふたりきりになったら、どんな風になるのか不安だったけど、

緊張しているのを見てたら、そんな不安は飛んで行った。

と言うより、なんとかこの緊張をほぐそうと面倒見のいいおばさんみたいになってくる。


彼女というよりおばさんか。


おかしくなって笑いそうになる。


奥歯をくいしばって耐えた。


ここで笑ったら林君は萎えてしまうと思った。


私ってこんなに男性を立てる性格だったっけ?

母性本能ってやつかなあ。


結局この日は、林君は緊張したままだった。


ぐるぐると街歩きをして疲れたけど、

ふたりきりになると性格が変貌して怖くなるよりずっとよかった。

途中、林君が調べたんだと言った流行りのカフェにも2軒寄ろうとしたけどいずれも長く並んでいてあきらめた。

林君からしたら何から何までうまくいかなかったって感じだろう。

でも私はそんなに気にならなかった。

計画を立ててくれていただけでも嬉しかった。


いっぱい話せたってわけではなかったけど、林君がどんな人かはわかったような気がした。

恋心は芽生えてない。よな?って自問する。

でも次の約束はして別れた。

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