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人出が多く、ふたりで歩いていてもまぎれているようで少し気持ちが落ち着いた。
林君の緊張が伝わってくる。
気軽にしゃべれないでいるようだった。
そんな林君を見ていたら勇気が湧いてきた。
「ここはよく来るの?」と話しかけた。
「いや、実はほとんど来たことがない。」
ちょっとぶっきらぼうにそう言った。
「そうなんだ。まあ女の子が多いところだしね。」
「あこさんは?」
吹き出しそうになった。あこさんなんて呼ばれたことがない。
「あこさんはね、よく来るよ。」
なんか、段々リラックスしてきちゃった。
「いやあ、なんか緊張するんだよ、困った。」
と本当に困った顔をしている。
みんなの前では堂々として緊張なんてしてないのに。
意外と可愛いのね。
カップルが多い。
前のカップルは手をつないでいる。
私たちはどうなるのかしら。
「林君は東京出身だっけ?」
「違うよ。ド田舎だよ。」
「方言とかしゃべらないよね。」
「そう。」
なんか、歯切れが悪い。
「しゃべらないようにしてるとか?」
「うん。」
「私も地方出身なんだ。」
「うん。」
それから少しづつ私が話しかけて林君が返事をしてを繰り返した。
でもなかなか林君の緊張はとけないでいた。
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